帰還
ルーイ(たいまん) 2012.06.25 [13:15]
「ありがとうございます!」
銀の杖、なんて思いついたものだから、ちょっと言ってみたんだけど。
子爵は快諾してくれた。
金貨20枚を諦めることで、それをやってくれるらしい。
ロイド、お前の仲間はしばらく増えそうにないよ。
「細い棒杖だと嬉しいです」
カッコイイ。
うん、それだけの理由です。
* * *
食事はどうかと聞かれた。
そりゃあもちろん行くよ。
珍しい素材や手の込んだ料理を食べるのも、立派な経験だ。
せっかく貴族の屋敷にいるんだもの。
>「エリクセンがこんなことを言ってきていますが、お心当りは?」
子爵が急に振り返って、羊皮紙を見せた。
顔が赤くなる。
部下のこと把握しすぎだろあのひと!
「・・・あの、はい。
ローナムに手紙を出したいひとがいるので、使わせてもらえるなら、すごくうれしいです」
ぐぅ、バルカさんとマークさんの視線が!視線が!
* * *
食事も終わって、屋敷を出る。
マークさんは随分気を遣ってだいぶ疲れたみたいだ。
これも元商人ならではってことなんだろうか。
充分、今でも商売人の気質を持っている気がする。
「ミノタウロス亭で乾杯しませんか、おふたりとも。
慣れない料理ばっかりだったから、慣れたものを口にしないと、落ち着きませんよね」
オレは、そう言って笑った。
* * *
後日。
オランの郊外で、げっそりとしたまま、新しい羽ペンを走らせる。
さっき、ようやく使い魔の召喚に成功したんだ。
準備に三日。
儀式に半日。
倒れて死にそうだ。
石に立てかけた銀の棒杖が、日差しを反射して輝いている。
肩では白鳩、ローエと名付けたオレの新しい相棒が、のんびり座り込んで喉を鳴らしていた。
やめて、揺れると字が!字が!
大事な手紙なんだから!
―――オレもようやく、一人前になれたよ。
そう、ジゼルに報告するための。
--------------
PLより:
ラスト!
皆さまお疲れ様でした!
1000ガメルはやめて、銀の棒杖をいただきます!
無意味装備ヒャッハー!
アンセルム子爵の公用便、ありがたく利用させていただきます。
感想はまた別記事で!
ルーイ(たいまん) 2012.06.25 [13:00]
やっぱり、行きと帰りじゃ気分が違うな!
初夏の空気、あそこに見えるのはミード湖?
「湖畔でのんびりしたいなあ。
おふたりとも、二日酔いにはいいんじゃないですか!」
奇跡の力はすごいもので、ぐったりしていたマークさんもバルカさんも、すっかりピンピンしている。
オレは途中で抜けたから酒量はそう多くない。
* * *
「ロイド、フランク、いい子にしてたか!
あはは、オレといるより楽だったろ!」
久しぶりの相棒たちの首に抱きついた。
さすがに家畜の扱いになれてる場所に置いて行っただけあって、何のストレスもなかったみたいだ。
むしろ忘れられてたんじゃないかってくらい。
「預かっていただいてありがとうございました」
馬房の人たちにお礼を言っておく。
そして。
「ジゼル、街を案内してよ!」
ローナムの街がどんなところか、全然知らないままだもんな。
* * *
次の朝。
時間が経つのはあっという間だ。
セレンソンさんへの報告もあるから、そうそうゆっくりはできない。
クラエスさんとジゼルが、見送りに来てくれた。
別れ。
旅をしていれば、毎日のように訪れるもの。
「ジゼ「あの!」
声をかけようとしたら、ジゼルが絞り出すように言葉を発した。
>「手紙、書きますから!
> お返事ください、待ってますから!」
「うん。
楽しみにしてる」
それから、ちょっと言いにくいんだけど。
「・・・あのさ・・・あのね。
オレ、字はたくさん書くんだけど。その。
すっげえ、字、下手なんだよね。
あ、でもちゃんと手紙は書くから!
なるべく読みやすいように書くから、その、笑わないでよ?」
照れ笑いをしてから。
「また来る」
そう言った。
オレは冒険者で、ジゼルは兵士だ。
どっちも明日の命も知れぬ身。
約束なんて。
―――約束なんて、あって、ないようなもの。
でも。
「それまで―――そうだ」
草原にいたころから愛用していた羽ペンを取り出し、おもむろに詠唱を開始する。
『あまねく魔力よ、脆き物体に汝への障壁を築け。【マジック・プロテクション】』
お、うまくかかった。
「これをあげる。
お守り代わりに持ってて。
魔力を跳ね返す魔法をかけておいたんだ。
意味はないんだけど―――効力がずっと続く魔法って、これしか使えなくてさ」
笑って、ジゼルに渡した。
手に触れる。
「絶対、また会いに来るよ」
そのまま、手を重ねて。
>「絶対ですよ?」
「うん、約束」
触れた唇が、離れた。
------------------
PLより:
続く。
愛用の羽ペンをジゼルに渡します。
そのうちロケーション使えるようになったらロケーションできるよ!
(何をする気だ)
マジックプロテクションをかけたら達成値が16とか。
ある意味呪いのアイテムです(キリッ
12:54:48 たいまん@ルーイ マジックプロテクション 2d
Dice:2D6[5,6]=11
バルカ(魔音) 2012.06.25 [02:01]
マーク(悪根) 2012.06.23 [01:16]
>「......さて、便利な魔法があってですね。。。」
「相場の布施だと報酬の半分以上が吹っ飛ぶよな、ソレ。」
こんな頭でもその手の計算は出来るらしい。
「ロハならありがたく賜るぞー・・・」
ニヤっと笑った後、馬の立髪に突っ伏した。
※※※※※
>「ミノタウロス亭の皆さんにも、よろしく伝えてください」
>「道中、どうかお気をつけて」
「お二人も息災であられますようお祈り申し上げます。」
表情をニヤニヤと悪笑顔に変えて。
「また会う事があれば宜しくなー。」
ヒラヒラと手を振って、オランへの帰路へ。
ルーイ?出歯亀趣味はないので置き去りDA!
まぁ、馬がいるしすぐ追いつくだろう。
※※※※※
>「皆さんの迅速にして果敢な対処に、感謝せねばなりませんね」
「勿体無き、お言葉です。」
これは形式的な礼儀で言うのではなく本心である。
真に迅速だったのは子爵だったと、少なくとも俺は思っているのだから。
>「妖魔の脅威にはしかるべく対応したつもりでおりましたが」
>「当今頻繁な妖魔の出現、それが意図されたものであるとするならば――」
> いや、止しましょう、と子爵は顔を上げた。
「また、お困り事がありましたら角無しミノタウロス亭へ是非に。」
書状を手に一礼。
願わくば。その依頼内容が過度に不穏ではない事を。
※※※※※
>「のちの憂いがないではありませんが、人間には愉しみが必要です。
> 別の間に席を用意させました――よろしければ、
> 食事などしながらいま少しお話を聞かせてはいただけませんか」
「喜んで。」
さて。これはこれで緊張する場だぞ。
何とか表面に出さないようやってみるか。
>扉のところまで歩き、ああそうそう、と振り返る。
>「エリクセンがこんなことを言ってきていますが、お心当りは?」
視線を隣へ移し、彼だろうと示す。
あの騎士殿も、また大した人格者だと再認識するのだった。
PLより----------------------------------------------
お疲れ様です!
いやー、楽しかった。
悩んで迷ってもありましたが綺麗に終わったかなー
と胸を撫で下ろすのであります。
マークはこれで締め。
感想はGMのそれ後に投下させてもらいますね。
GM(Lain) 2012.06.22 [23:13]
「皆さんの迅速にして果敢な対処に、感謝せねばなりませんね」
王都オラン、アンセルム子爵邸。
エリクセンからの書状に目を通した子爵が最初に発した言葉だった。
「妖魔の脅威にはしかるべく対応したつもりでおりましたが」
冒険者たちの成功を祝しつつ、だが、子爵の表情は多分に憂いを含んでいる。
「当今頻繁な妖魔の出現、それが意図されたものであるとするならば――」
いや、止しましょう、と子爵は顔を上げた。
「今はあなた方への感謝を。
約束の報酬はこちらに――ああ、無論、エリクセンから受け取ったものはそのままお持ちください。
加えて、武具職人の工房にあなた方を紹介することもできます。
こういった形でしか感謝の意を表せないのはいかがなものかとも思いますが、私はどのような形であれあなた方に感謝したいのです」
ですからご希望があれば何なりと、と子爵は付け加えた。
バルカとマークの希望に頷いて、では早速書状を、と紹介状を書き上げる。
最後にルーイの希望を興味深げに聞いた子爵は、なるほど、と言いながら思案顔だ。
「銀の杖、ですか。
なかなか面白いものをご所望だ」
しばらく考え、ではこれでいかがですか、と条件を提示する。
「ご存知の通り、魔術師の杖は魔術師ギルドで手に入れるもので、職人のみで作りだせるものではありません。
ですが、幸い、導師にひとり知己がおります。
杖を職人に仕立てて貰い、その導師に発動体としての魔化を依頼することとしましょう。
ただ、かれも多忙な身ゆえ、紹介状ひとつでそこまでの無理を聞いて貰うことができません。
あなたの報酬を諦めていただけるのであれば、残りはわたしが負担しましょう」
いかがですか、と子爵はルーイに問う。
どこか愉しげな表情だった。
※ ※ ※
紹介状を書き終え、報酬を手渡した子爵は椅子から立ち上がった。
「さて、」
3人を見回し、言葉を続ける。
「のちの憂いがないではありませんが、人間には愉しみが必要です。
別の間に席を用意させました――よろしければ、食事などしながらいま少しお話を聞かせてはいただけませんか」
扉のところまで歩き、ああそうそう、と振り返る。
「エリクセンがこんなことを言ってきていますが、お心当りは?」
騎士がしたためた報告の書状、最後の一葉。
几帳面な署名のさらに下、余白の部分に、こう書かれている。
『追伸:なお、希望する者には、王都―所領間の信書につき公用使便の便宜を図られたく、お願い申し上げます』
-------------------------------------------------------
■GMから
この記事への返信は「400_帰還」カテゴリにチェックを入れて投稿してください。
報酬受領と騎士のお節介でした。
さて、本編のGM書き込みはおそらくこれで終了となります。
長らくの間(といっても予定よりだいぶ短いのですががg)おつかれさまでした!
感想はたぶん週末に書くとおもいます!
>みなさま
報酬については既に提示したものをお持ちくださいませ。
なお、最後のシーンで提示したとおり、希望があれば数日に1回オランと子爵の国許を往復している公用使に手紙を託すことができます。
・本人が子爵邸に持ち込むこと
・送れるものは巻いた羊皮紙以下のサイズのものであること
が条件です。
天候などによっては遅延することもありますが、おおむね安全に届き、中身を見られることもありません。
利用を希望される方は特殊な設定としてキャラクターシートに記載してください。
他のGMが運営するセッションで利用する場合は、事前にGMに許可を得てください。
>たいまんさん
銀の杖については、以下の条件のもとで報酬として取得できます。
・金銭報酬全放棄(=価格1000ガメル)
・武器として使うことができない
・形状は杖(メイジスタッフ)または棒杖(ワンド)
・ほか、発動体の制限に従う
こんなところでいかがでしょうか!
GM(Lain) 2012.06.22 [23:09]
> 誰だかわかりますか?」
マークの問いに、村人たちは誰だ誰だとお互いに顔を見合わせた。
エリクセン様か、それとも冒険者さんにまだお仲間がいるのか。
みな好き勝手に言い合っている。
> 「それは皆さんの領主であり、我々の依頼人。
> そう、フリクセル・セレンソン子爵閣下です。
マークが自ら披露した答えに、村人たちはおお、とどよめいた。
続く解説におうそうだそうだと頷き、歴戦の冒険者さんは言うことが違うのうとマークを持ち上げたりもする。
> 「そんなわけで。良き領主に恵まれた皆さんの幸運に乾杯!」
「領主様に乾杯!」
「冒険者さんたちに乾杯!」
――宴は深更まで、あるいは未明まで続いたようだ。
※ ※ ※
> 「大丈夫じゃ、なさそうだ」
引き寄せた肩は、ルーイのそれよりも少しだけ低く。
ほんのわずか強張った身体が、安堵したように弛緩する。
ジゼルは亜麻色の髪を、その頭を、ルーイの肩にもたせかけた。
甘えるように。
自分のすべてを預けるように。
※ ※ ※
> 「改まった話し方はなし、だよ。
> ね、ジゼル」
指で唇を塞がれた格好のジゼルは、ルーイの言葉に顔を上げた。
涙の筋が頬に残り、目を赤くした顔。
その顔でジゼルは微笑する。
> 「ちょっと、歩こう」
取られた手をそっと握り返して、ジゼルは頷いた。
自分のものではない鼓動が、手のひらから伝わる。
同じように速く、大きな鼓動。
ジゼルもそれに気付いたのか、繋いだ手に視線を落とした。
恥ずかしそうな、そして嬉しそうな笑顔を浮かべて指を絡める。
どこかで、また乾杯の声が響いた。
※ ※ ※
翌朝、と予定されていた出立は、結局、日が高く上ったあとのこととなった。
冒険者たちも村人たちも、ついでに言えば従士のふたりも些か酒が過多であったし、睡眠は過少であったから。
それでもローナムへ戻る一行を、村人たちは来たときにもまして暖かく送り出してくれた。
状況は来たときとは違う。
急ぐ旅でもない。
注意すべき脅威もない。
5頭の馬がのんびりと山道を下ってゆく。
往路では目を向ける余裕もなかった景色を眺めることもできるだろう。
初夏の空の下、ミード湖がぼんやりと霞んで見える。
依頼が――従士ふたりにとっては任務が――無事終わった、という解放感は、皆の口も心も軽くすることだろう。
道中も、野営の折も、会話が絶えることはない。
5日目の昼頃、一行はローナムに到着した。
※ ※ ※
翌朝。
久々の街で身体を休めた冒険者たちは、蛇の街道を南に下る。
クラエスとジゼルが、街の門まで3人を見送ってくれた。
「ミノタウロス亭の皆さんにも、よろしく伝えてください」
クラエスはそう言って3人とかわるがわる握手する。
「道中、どうかお気をつけて」
ジゼルが付け加える。
なにかを堪えるような表情だった。
――いいのかおい。
クラエスが低く呟くように言う。
「あの!」
その言葉に押されるように、ジゼルがルーイの方へ一歩踏み出した。
目尻を手で拭う。
「手紙、書きますから!
お返事ください、待ってますから!」
声がくっきりと強いのは、震えそうになる声を無理に押し出しているからだろう。
――ほんとうは。
ルーイは一昨日の夜のことを思い出すかもしれない。
――街になんか着かなければいいなって、今、思ってます。
ぽつりと漏らしたその言葉に篭められた心情を、彼女はいま必死に覆い隠そうとしている。
無理やりな笑顔で。
強がった声で。
子爵領を、そこに住む人々を守る従士の彼女にとって、片道半月の距離はあまりに遠い。
それでも。
「絶対に、」
ジゼルはルーイの手を両手で包み。
そっと、しかしはっきりとした意思を込めて引き寄せた。
「絶対ですよ?」
唇が優しく重なり、すぐに離れた。
するりと手が解ける。
ジゼルの手、その細い指の感触が、最後に残った。
-------------------------------------------------------
■GMから
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おわかれのシーンまで。
我に返るといろいろとしにそうですうぼぁー。
オランでもう1本投下する予定です。
バルカ(魔音) 2012.06.21 [22:38]
ルーイ(たいまん) 2012.06.21 [13:13]
「え、ちょ、ジゼル?」
涙。
な、なんで?
オレなんかしたか!
えーと。
だいじょうぶ、って言われてもなあ。
「大丈夫じゃ、なさそうだ」
そっと、肩を引き寄せて。
―――肩の震えが収まるのを待つ間、オレは、ぼんやりと揺れる炎を眺めていた。
宴の喧騒が、嘘みたいに遠くに聞こえる。
ジゼルの亜麻色の髪は、いい香りがした。
胸が、ばくばくした。
* * *
>「任を解かれたから、わたし、今夜はもう当直もないんです。
> だから――」
言葉の途中で、人差し指を、ジゼルの唇に触れた。
「改まった話し方はなし、だよ。
ね、ジゼル」
笑って言う。
鼓動は速いままだ。
平静を保ってる、フリをしてるだけだ。
くそ、かわいいな。
「ちょっと、歩こう」
柔らかな、でも少しこわばった手をとって。
手のひらに、少し汗がにじんだ。
-----------
PLより:
クソッ、なんて女子力だ!
太刀打ちできない・・・!
よっかかられると支えきれずに倒れる方、ルーイです。
この後は夜の闇に消えて行って場面転換でいいんじゃないかな!かな!
ホラ!ローナムで報告もしなきゃいけないし!?
マーク(悪根) 2012.06.21 [00:27]
>「マーク。あなたはチャ・ザの信徒たる私なんかよりも、
> よっぽど幸運の極意をつかんでいるようですね。
「元商人としてのサガか。あるいは無知故の気楽さかな。
そして深く信仰すれば色々と重くなる、と。難儀だねぇ。」
その辺も突き抜けてしまえばまた違うのかもしれないが。
※※※※※
ザ・宴会の只中。
「これはどうもどうも。」
空の杯が即座に酒で満たされる。
「さて、忘れてはいけない事が一つ。ここにはいらっしゃいませんが
今回、最もその働きを賞賛されるべき方がいらっしゃいます。
誰だかわかりますか?」
村人を見渡す。
「それは皆さんの領主であり、我々の依頼人。
そう、フリクセル・セレンソン子爵閣下です。
考えても見て下さい。私達がこの村へ到着するのが・・・そう。
1日、たった1日遅れたらどうなったか。あるいは2日遅れたらどうなったか。」
一拍置いて、杯の中身を飲み干す。
「子爵閣下が領地で起こった出来事を情報としてきちんと吸い上げ、
適切な判断と処置が為されたからこそ今のカルマがある!
そう言い切ってしまいましょう。」
空になった杯にまた、誰かが酒を注ぐ。
「そんなわけで。良き領主に恵まれた皆さんの幸運に乾杯!」
その後、ほどなくして呑み潰れた元行商紛いがいたらしい。
※※※※※
「むむむ・・・世界が・・・揺れる・・・」
まぁ、ただの二日酔いなのだが。
しかし、この状態に乗馬の揺れは堪える。
「場のノリを損なわずに酒量をコントロールするのが目下の課題だな、これは。」
ローナムまでは数日、そこからオランに戻るまでが半月。
「先は長いし。のんびり行けばいいか・・・」
PLより----------------------------------------------
ちょこちょことプロパガンダしてからマークは宴会締め。
ルーイ君はもっとゆっくりしていっていいのよ。
GM(Lain) 2012.06.20 [19:46]
> 「―――ジゼル?」
ぼんやりと呼びかけたその声に、ジゼルは微笑んだ。
息遣いが感じ取れるほどの距離。
伏せた目の、睫毛が――
> 「睫毛、長いんだね」
差し伸べられた手が、睫毛に、頬に、前髪に触れた。
ジゼルは黙って目を閉じる。
触れられるがままに、小さく、声とも吐息ともつかぬものが唇から漏れた。
> 「っ、ご、ごめん」
にこりと笑ったジゼルが、無言で首を横に振った。
――いいんです。
そう言うかのように。
慌しく礼を言って起き上がり、ばたばたと出て行ったルーイを、ジゼルは部屋から見送った。
だからルーイは、見送った彼女の表情を知らない。
かすかに残念そうな、そして不満そうな表情を。
※ ※ ※
> 「私は妖魔の集団を相手にするのはこれで3度目ですけどね。」
おお3度目、と相槌を打ちながら、村人はマークの杯に酒を足す。
少々こぼれた。彼もいいように酔っている。
> 「決め手になったのはいずれも魔法でした。私もよくよく運がいい。
魔法ですか、と彼はルーイを見やった。
いやお若いのにたいしたものですなあ、魔術師殿はみな博識と聞きますが。
恐怖と敬遠がそこにないではない。
だがルーイはなにしろ、村を救ってくれた冒険者のひとり。
> 「皆さんの中には魔法に対する恐れと言うか、
> 得体の知れなさを感じる人もいるかもしれません。
> しかし、言ってしまえばあれはこいつと同じ。」
その得物とですか、と別の村人が怪訝そうな顔をした。
> 「何事も使う人次第って事です。敵に使われればそりゃぁ恐ろしい。
> でも味方が使う分にはこれ程頼りになるものもありませんよ。」
そりゃあそうだと座の一同が頷く。
いやいやご尤もです、ところでマークさんあなたもどうですもう一杯。
> 「ですね。そして、魔法は万能ではありません。それを支えるのも、
> みなさんというわけです。この勝利の半分は、村のみなさんのおかげです」
バルカの言葉に村人がどっと沸き、いやあさすが神官様は含蓄のあるお話をなさる、と、酔った声で誰かがそう持ち上げた。
酒宴はまだ終わりそうにない。
※ ※ ※
> 「今回、色々考えたことは、きっと、今後の役に立つよ。
> ジゼルも、クラエスさんも。オレだってそうだ。」
そうだといいんですけど、と答えてジゼルはまた小さく笑った。
あまり飲んではいない筈だったが、その頬には血の色が差している。
周囲からはいつの間にか、仲間たちも村人もいなくなっていた。
すこし離れたところから大きな乾杯の声が上がり、笑い声がそれに続く。
> 「ねぇジゼル。
急に名を呼ばれ、ジゼルははい、と返事をしてルーイを見つめる。
> ジゼルが頑張ってるって思ったから、オレも頑張れたんだ。
> ありがと」
唐突な――すくなくとも彼女にとっては唐突な――一言が、なにかを突き崩した。
緊張からの解放。
宴の空気。
夜の闇。
なによりも、自分が必要としていた相手が、自分のことを考えていてくれたというその言葉。
それがジゼルのなかのなにかを崩し。
彼女の目、深い褐色の瞳が揺れた。
涙が零れる。
片手で目許を押さえ、もう片手をルーイの手に重ねた。
ほのかなあたたかさ。
それはあのとき、床の傍らでルーイの手を包んでいたそれと同じ温もり。
すこし堅くなった皮膚の感触。
束の間の別れの折、握られた手のそれと同じ感触。
――大丈夫です。大丈夫ですから。
嗚咽にかき消されそうな声で、ジゼルはそう繰り返した。
どのくらいそうしていたのか。
たぶん、そう長い間ではなかったように思われる。
落ち着きを取り戻したジゼルが、俯いたまま口を開いた。
「あの、」
幾度も逡巡し、ややあってようやく言葉を継ぐ。
「任を解かれたから、わたし、今夜はもう当直もないんです。
だから――」
-------------------------------------------------------
■GMから
この記事への返信は「400_帰還」カテゴリにチェックを入れて投稿してください。
ここで切る。
切るったら切る。よいこのswww(きりっ
>みなさま
カルナの宴会シーンです。
ルーイはこのあとどうするか決めてください!
メインのイベント(PL談)ですから!
ルーイばくはt
いえなんでも。
>みなさま(あらためて)
おつかれさまでした!
今夜中に募集板に解放手続中である旨を記載いたします。
その後はキャラシへの経験点の反映等が可能になりますのでよろしく処理してやってくださいませ!
なお、次のセッションへ応募しない限りにおいて、経験点・報酬の取得後も本編への書き込みは問題なく行うことができます。
相談所への書き込みや感想等もいただけるとありがたく存じます。
まあそのあたりはネタバレの後ですかね。
というわけで、GMはもうしばらく書き込みを続ける予定でございます。
よろしければもう少々お付き合いくださいませ!
バルカ(魔音) 2012.06.19 [23:35]
ルーイ(たいまん) 2012.06.18 [12:01]
手だけが、温かかった。
遠くで、声がする。
「―――ジゼル?」
目を開けると、すぐ近くに、ジゼルの睫毛が見えた。
「睫毛、長いんだね」
ぼんやりと、指を伸ばして、触れ―――
「っ、ご、ごめん」
何してんだオレ。
現状に気付いて、慌てて起き上がる。
そうだよ、村まで戻って来たのは覚えてるんだけど、そのあとどうしたんだオレ。
ゴブリンシャーマンが目を覚ました、とジゼルが教えてくれた。
「ああそっか、それまで寝かせててくれたんだ。
皆に迷惑かけちゃったな。
うん、すぐ行く。
ありがと、ジゼル。
はは、もう大丈夫だよ。
おかげで、ずいぶんすっきりしたから」
気恥ずかしさもあって、そそくさと、オレは部屋を出た。
* * *
ぐったり。
ああ、ぐったりだ。
マークさんの言うとおり、随分粘られた。
人間に対する憎悪なのか、王様に対する忠誠心なのか。
「根は深そうだなあ」
子爵に恨みでもあるやつか、たまたまこの辺にいた悪党か。
どっちにしろ、ゴブリンの集団を操れるだけのやつが黒幕ってことだ。
必要なら、また声がかかるだろう。
こういうでかい案件は、むしろ騎士団が解決できた方がいいもんな。
威信とかもあるだろうし。
ああもう気分悪い。
「ちょっと顔洗ってきます」
水の無駄遣いはよくないけど、顔洗うくらい許してもらおう。
* * *
エリクセンさんが到着したのは、10日後。
もうすっかり、気分も晴れた。
ライトに乗って、山駆けも少し練習してみた。
2,3回落ちて死にそうになった。
やまこわいやまこわい。
先発隊が全滅したのを察したんだろう、本隊は現れなかった。
追撃するべきだったかなとも思うけど、やっぱり数の差はなんともね。
10もヒヤヒヤしたけど、20はもっと怖い。
質も違いそうだしな。
「ありがとうございます」
金貨を受け取って。
出立を見送った。
* * *
その晩は、宴会が開かれた。
やっと襲来に怯える日々から解放されたんだ。
そりゃあ、うれしいよな。
任務を解かれたクラエスさんは早速ナンパしてる。
そういうキャラだったのか・・・
焚火を囲みながら、お酒をちびちびと飲みながら、今回のことを振り返る。
「ホント、日が暮れるまでにゴブリンに会えなかったらどうしようかと思ったよ。
橋が危ないっていうのは、分かってたはずなのにさ」
正直なところだ。
もし、橋の方から巡って行ったら。
本隊の尻尾くらいは掴めてたかもしれない。
「今回、色々考えたことは、きっと、今後の役に立つよ。
ジゼルも、クラエスさんも。オレだってそうだ。」
鹿の肉を頬張りながら。
にくうめえ。
肉は好きなんだけど、筋肉にはならないんだよなあ。
どういうことなの。
「ねぇジゼル。
ジゼルが頑張ってるって思ったから、オレも頑張れたんだ。
ありがと」
そう言って、オレはてれ隠しに笑った。
--------------------
PLより:
ヒャッハー、宴会だあ!
きょ、今日はこの辺で勘弁してやるぜぇ。
あんまりやりすぎるとジゼルを連れてそのまま以下略になりそうなので自重。
経験点1200点、報酬1000ガメル、頂戴いたします!
1ゾロ1回分つけてもいいですか?|'')
高品質武具はいりません(どーん
感想なんかはひととおり終わってから!
まだ終わってないし!
とにかく、とても楽しかったです。
シナリオ自体もそうですし、悪根さんも魔音さんも非常にやりやすくて楽しかった!
マーク(悪根) 2012.06.17 [15:37]
「思ったより粘られたなぁ。」
事切れたそれを前に長い溜息を一つ。
緊張と疲れが少しだけ抜けていく気がした。
「ちょっとばかし見くびってたよ。」
(通訳越しだが)妖魔と会話(?)するのは初めての体験。
もうちょいあっさりゲロると思っていた。
「一先ずはお疲れさん、だ。」
ルーイとバルカの肩を1度ずつ軽く叩く。
サバサバと。ほぼ素だが、少しだけ意図的に。
「じゃあ、俺はこいつを埋めてくるかな。クラエスとジゼルへ報告を頼む。
伝令を出して貰わないといけないし。報告書に纏めた方がいいかな。」
別働隊が全滅した事は既に敵本隊の知る所となっただろうか。
だとすれば、軽々にはこちらに手を出せないはずではあるが。
「今、カルナを空けるのはちょいとリスキーだ。
廃寺の方は騎士団に任せるのがいいんじゃないか。」
それまではカルナの防衛だ。
もうしばらくは油断大敵の精神で。
※※※※※
>――せいぜい人間同士で喰い合うがいい。
最後の土をかけ終わった時、
その捨て台詞が脳内にリフレインする。
「別にお前が呪わなくたってね。」
大なり小なり人は争って生きていくのだ。
まぁ、こればかりはやめる事が出来ないんだろう。
それこそ何百、何千年経とうとも。
「それでも滅びるまでは行かない気がするんだよな。」
この世界がある限りは。
楽観だろうか?
※※※※※
本隊が到着するまでの10日間は何事も起こらなかった。
橋も定期的に見回るなど、それなりに気を張る日々ではあったが。
>「偵察のみならず討伐まで成し遂げ、村の危機を救ってくれるとは
> まったく礼の言いようもない。
> ないが、『礼の言いようもない』で済ませられる話でもないのでな」
「あの時に討伐しなければ我々も危なかったですしね。
ともあれ、お役に立てたようで何よりです。」
事実、橋が落ちていれば敵本隊がカルナを襲撃した可能性は高かった。
結構な数の妖魔を相手にカルナを守るのは難しかったんじゃなかろうか。
>「我らはこれからディマスへ向かい、先発隊と合流して山に入る。
> ゆえに貴公らとはここでお別れだ――ああ、わが主、子爵にはこれを手渡してほしい」
「承りました。・・・ご武運を。」
あの廃砦でも一人も欠けずに戦い抜いた騎士団だ。
ほどなく新たな朗報が届けられる事だろう。
クラエスとジゼルもローナムまでは一緒だ。
実際に守る側の立場として村で過ごした経験は
騎士としての精神を育むものだったろうと思う。
>「出立は明朝。
> 伝令と村の守備の任、ご苦労だった。ただいまをもって任を解く」
「とどのつまりは・・・今晩は好きにしろとのお達しですよ。」
エリクソン氏が離れた後、そう言って笑った。
※※※※※
「私は妖魔の集団を相手にするのはこれで3度目ですけどね。」
酒入りの杯を片手に、眼前の村人に語りかける。
クラエスと同じく村人の輪に加わったところ話をせがまれたのだ。
「決め手になったのはいずれも魔法でした。私もよくよく運がいい。
ルーンマスターの仲間に毎回、恵まれていたわけですから。」
杯に一度口を付け、
「皆さんの中には魔法に対する恐れと言うか、
得体の知れなさを感じる人もいるかもしれません。
しかし、言ってしまえばあれはこいつと同じ。」
自分の腰に差した鈍器を軽く叩く。
「何事も使う人次第って事です。敵に使われればそりゃぁ恐ろしい。
でも味方が使う分にはこれ程頼りになるものもありませんよ。」
PLより----------------------------------------------
一先ずはお疲れ様でしたー!
非常にテンポよくサクサク進んだので
一ヶ月が更に短かった感覚です。
日記は子爵への報告までお付き合いさせて頂きますよ。
感想等はその後で纏めて。
ジゼルんへの対応はクラエスと同じく丸投げだ!喰らえぃっ!
また、経験点1200と報酬1000Gを確かに頂戴致します。
武具については銀の矢を1ダース購入させて頂こうかと。
GM(Lain) 2012.06.17 [03:08]
伝令を受けたエリクセンが配下を率いてカルナへ到着したのはそれから10日目のこと。
別働隊と合流できなかった本隊は、ついに村には現れなかった。
「偵察のみならず討伐まで成し遂げ、村の危機を救ってくれるとは」
開口一番、エリクセンが口にしたのはそのことだった。
「まったく礼の言いようもない。
ないが、『礼の言いようもない』で済ませられる話でもないのでな」
討伐分の報酬は別途用意したゆえ受け取って欲しい、彼はそう言い、金貨の詰まった袋を手渡した。
中には金貨が30枚――本来の依頼の報酬と同額だ。
「我らはこれからディマスへ向かい、先発隊と合流して山に入る。
ゆえに貴公らとはここでお別れだ――ああ、わが主、子爵にはこれを手渡してほしい」
貴公らが為したことについての報告だ、と付け加える。
次いで彼は出立の仕度をしていた従士のふたり、クラエスとジゼルを呼んだ。
駆けてきたふたりに、お前たちは任務を果たした、と告げ、ローナムへ冒険者殿と同道せよと続ける。
「出立は明朝。
伝令と村の守備の任、ご苦労だった。ただいまをもって任を解く」
よくやった、そう言ってエリクセンは笑った。
クラエスとジゼルは敬礼で命令に応える。
ふたりはそして、冒険者たちを振り返って笑顔を見せた。
クラエスはやれやれといった表情で。
ジゼルはすこし上気した顔で。
※ ※ ※
その晩は、村をあげての宴会となった。
小さな村にしては豪勢な食事に、酒も振舞われる。
当面の脅威が村と街道の周囲から排除されたことは、村人を大いに喜ばせ、また安堵させた。
村人たちは思い思いに礼を言い、また妖魔を退けた戦いの様子を知りたがる。
クラエスは幾度か冒険者たちに酒を注いだのち、あとは任せたとジゼルに状況を丸投げして村人たちの輪の中へ入っていった。
彼なりに気を遣ったのかもしれないし、別の目的があったのかもしれない。
おそらく両方だろう――村人の輪の中に入って最初にしたことは、村娘に声をかけることだった。
取り残された格好のジゼルはしばらく途方に暮れた態だったが、ややあって気を取り直したようだ。
冒険者たちの話を聞きながら、ぽつりぽつりと村にいた間の話をはじめる。
襲撃に備えていろいろなことを考えたこと。
襲われたときに集まる場所、逃げる方向。
狩人たちとどう連携するか。
戦えない村人をどう守るか。
「いろいろ考えたんですけど、考えるほど不安で。
本当にこれでいいのかな、大丈夫かなって考えながらクラエスと相談してました」
ぱちぱちと焚火にくべた薪がはぜる。
「早くもどってきてください、ってずっと思ってました。
すごく、すごく心細かった」
すこし離れたところ、村人たちが作る輪で大きな笑い声が弾けた。
夜は更けたが、村人も含めて、誰も寝ようとする様子はない。
宴はまだしばらくの間続きそうだった。
-------------------------------------------------------
■GMから
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>みなさま
そろそろエピローグ的な部分に入ってまいりました。
ので、ひとまず経験点と報酬を配布いたします。
■経験点&報酬配布
各人に、
・経験点:1200点
・報酬:1000ガメル+高品質武具の購入権(※)
※:高品質3までの通常材質武具または通常品質の銀製武具の購入権。
1品のみ、このセッション内でのみ有効、購入費用は別途支払を要する。
意匠等はPCの希望に沿う形で作成される。
以上を配布いたします。
■解放手続
このあとオランへ戻り、依頼主に報告をするというお仕事がありますが、そのあたりはお好みでお付き合いください。
手続としては、今後最低1回レスを入れていただくことと、経験点及び報酬の受領を確認していただくこと、武具の購入権を行使する場合はその旨と具体的な内容を宣言していただくことが必要となります。
これらが済み次第、済んだPCから解放といたします。
GMとしては、今後カルナで1または2本、オランで1本の日記を想定しております。
が、もっとがっつりやりたいと仰る向きに対してはこれを拒む気は毛頭ございません。
徹底的にお付き合いいたします。
GM(Lain) 2012.06.17 [03:00]
呪術師の尋問は結果として、まる一昼夜に及んだ。
人並みの知恵を持つということは人並みに嘘をつくということでもある。
そして、嘘をつき通すにはついた嘘を憶えておかねばならない。
疲労の極に置かれ、絶え間なく苦痛を与えられ、眠ることすら許されない妖魔に、嘘をつき通すことは不可能だった。
間隔を開け、訊き方を変えて同じ質問を繰り返せば矛盾する返答があることも少なくない。
そのたびにまた苦痛を与えられる。
ひたすらに、その繰り返しだった。
恐怖と苦痛よりも人間への憎悪が勝ったのか、呪術師の心は最後まで折れなかった。
屈服したのは肉体である――意識をまともに保つことも難しい状態に置かれ、ふと漏らした言葉をきっかけに矛盾を衝かれ、事実への道を開いてしまう、その連鎖。
本人もそれと気付かぬ間に、呪術師は少しずつ追い詰められていった。
尋問する側の体力との勝負になれば、呪術師はひとり、冒険者は3人である。
負ける筈のない勝負だった。
※ ※ ※
二日目の夜半頃、呪術師は死んだ。
体力はとうに限界を超えていたのだろう。
憎悪だけで魂を現世に留めているような有様だった。
自害を防ぐために牙を引き抜かれ、手足あわせて20の指は過半が失われ、体表はくまなく大小の傷で覆われていた。
冒険者たちが得た情報は少なくはない。
呪術師が率いていた集団は橋を落とすために先行した別働隊であること。
『王』が率い、後方に控える本隊は、さらに倍の数がいること。
橋が落ちたならば別働隊と合流したのちまずカルナを、そしてディマスを襲う予定であったこと。
本拠はディマスの西、やや離れた山中にある廃寺院であること。
自分たちはもともと妖魔の森にいたこと。
人間と、そして闇妖精の助力を得ていたこと。
――せいぜい人間同士で喰い合うがいい。
呪いじみた言葉を残して彼は意識を失い、その意識がふたたび戻ることはなかった。
-------------------------------------------------------
■GMから
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>みなさま
ひとまず尋問終了まで!
ここから先はエピローグでーす。
なお、モンスターの知能に関しては、
「人間並み」ならだいたい人間と同じように損得勘定や先読み、推測や合理的思考が可能であり、加えて情動もそれなりにある、という解釈を取っております。
人間が考え付くことならゴブローやゴブシャは考え付く、ということですね。
つまり、今回のような動きは、上位種に率いられていない群れには不可能ですが、上位種に統率された群れには普通に可能、ということです。
>魔音さん
尋問のシーンについて、キュアを使うか否かは意図して描写を省きました。
行使しうるか否かについて疑義があったためです。
理由については長くなりますが、だいたい以下の通りです。
神聖魔法の動作原理は「祈りと応答」であるとGMは考えます。
この祈りは心の底からのものでなければなりません。
また、PCの考える信仰のあり方と合致していなければなりません。
つまり、今回のケースにおいてキュアをゴブシャに行使するには、ふたつのハードルがあります。
・ゴブシャを癒すことを心の底から祈ることができるか
・情報を引き出して殺すためだけに相手を生かすことはバルカの信仰のあり方と合致するか
いずれもyesであればキュアは使用可能です。
この件に関してはルール的にどうこうというよりも、バルカ個人の信条と衝突するか否かの問題である、とGMは考えております。
ので、GMとしては、神聖魔法をこのような場面で使えるとも使えないとも申しません。
また、既に描写したとおり、使っても使わなくても結果に有意な差はありません。
バルカの信仰を考える一助、ロールプレイの一助としていただきたく思います。
GM(Lain) 2012.06.15 [02:16]
> 「ただいま」
ルーイの笑顔を見て、ジゼルも顔を綻ばせた。
と、その表情が急に変わり。
なにかを叫んで、手を伸ばす。
ふっと視界が回転し、そして暗くなる。
ルーイを受け止めたのは地面ではなく、誰かの腕だった。
暗転した視界。
相手の顔は見えない。
元気付けるように、手を強く握られた。
その手の感触を、ルーイは思い出したかどうか。
ルーイの意識と記憶は、そこで途切れている。
※ ※ ※
> 「ただいま」
そう言ったルーイの様子がおかしい。
吊橋から戻る最中も、何度もふたりから遅れていた。
そのたび、ほんのすこしだけ休んで行軍を続けてはいたのだが――。
一日中歩き通しに歩き、続けざまに魔法を行使し、妖魔どもの遺骸の始末もした。
もとより体力に恵まれているとはいえないルーイである。
体力気力の限界に達したのだろう。
「――ルーイさん?」
笑顔を怪訝そうな表情に変えて、ジゼルが呼びかける。
次の瞬間、その声が切迫した叫び声に変わった。
「ルーイさんっ!」
倒れるルーイをどうにか受け止め、腕で支えて地面に座らせる。
「怪我、怪我ですか!?
それとも――」
縋るような視線を、バルカとマークを交互に送る。
落ち着かせるには、少々時間がかかりそうだった。
※ ※ ※
ひとまず命に別状はない、そう知って落ち着いたあとも、ジゼルは握った手を離さなかった。
「ルーイさん、疲れすぎて倒れちゃったのよ。
休ませてあげないといけないから、村長さんに部屋をひとつ用意してもらって」
冒険者たちの帰還を知って駆けつけたクラエスに、ジゼルはそう頼んだ。
ジゼルに支えられたルーイと、ルーイを支えるジゼルと、しっかりと握られた手を順に見やって、クラエスは頷き、村長の家へ取って返した。
> 「ルーイの介抱はお任せします。代わりの見張りに入りますので。」
マークの言葉に、ジゼルははいと頷く。
「あ、でも、クラエスがすぐ戻りますから。
マークさんもバルカさんもすこし休んでください」
倒れるほどではないにせよ、疲労していることを、ジゼルは心配しているようだった。
※ ※ ※
呪術師がどうにか喋れる程度になるまで、到着から1刻半を要した。
ルーイが揺り起こされたのはその直後だ。
尋問をする予定、と事前に聞かされていたとはいえ、ジゼルはあまりいい顔をしなかった。
せめてもう少し休ませてあげたほうが、というのがルーイに付き添った彼女の言い分ではあったが、そのまま一晩寝かせるわけにもいかない、というところは承知している。
結局、ルーイを起こしたのはジゼルだった。
※ ※ ※
「――ルーイさん」
身体を揺すられる感覚と、囁くような声。
どこかへ行っていた意識を引き戻したのは、そのふたつだった。
目を開くと、意外なほど近くにジゼルの顔がある。
ベッドサイドに置かれた椅子に腰掛けたジゼルが、ルーイの顔を覗き込んでいた。
「あの、」
言いながら、自分でその距離に驚いたように、ジゼルが上体を起こす。
「――呪術師が起きたと、皆さんが」
握られていた手がほどけた。
その片方の手だけが、かすかに温かい。
「起きられますか?」
ジゼルの表情はあくまでも気遣わしげだ。
「マークさんとバルカさんは、先に納屋に行っている、と」
起き上がるルーイにどう言葉をかけたものか逡巡し、
「――あまり、無理しないでくださいね」
出てきたのは、そんな言葉だった。
-------------------------------------------------------
■GMから
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>みなさま
ジゼルのせいで長くなったので一旦切ります(ぇー
続き(というか情報的なメイン部分)は明日or明後日夜の予定ですー。
一応、週末には解放手続をはじめて週明けには解放、みたいな予定でおります。
なんか2ヶ月の予定が1ヶ月ちょいで終わってるとかペースパネェ・・・!
バルカ(魔音) 2012.06.13 [23:18]
マーク(悪根) 2012.06.13 [19:16]
日も傾いて宵の口。眼前にいた10の妖魔は仲良くオネンネ。
「ソーサラーは敵に回さないようにしないとなぁ。」
結局、全部ルーイが眠らせてしまった。バルカの一撃も重い。
あの杖持ちはこっちで起こさない限りしばらく目覚めないだろう。
「それじゃ、杖持ちはふん縛って、と。他は片付けるか。」
死体は森の住人が綺麗に平らげてくれないかね。
>「ゴホッ、うぇ」
ルーイはまだこういうのに免疫が無いようだ。
まぁ、それが普通だよなぁ。俺があの年の頃は・・・
行商紛い始めた頃? 馬も荷車もないから徒歩で麻袋担いで。
んー? まだ俺のが楽かな? だよな?
「あんま無理する事ないぞ。報酬は全員同額だし。
全員が同じだけ疲れるのが理想だ。俺の余った分も使わせろ。」
>「魔術師は、後ろで高みの見物をしておくべきですね」
「そう卑屈になる事もない。」
自分の長所より短所のが目立って見える年頃かな。
それでも短所を見ないふりするよりはいい。
※※※※※
>「――お帰りなさい」
>「でも、ご無事で、よかった」
「そちらもお疲れ様です。何事もありませんでしたか?」
カルナは特に何事もなかったようだ。
今回の連中が小賢かったからこれで結構、心配だったりしたのだ。
「ルーイの介抱はお任せします。代わりの見張りに入りますので。」
ルーイが気付くまではどうするかな。
カルナの偵察してた奴の足跡でも見つけておこうか。
※※※※※
「情報料は速やかな死、と言ったところかな。」
こいつも今更、助かるとも思っちゃいないだろう。
「オークのが手ぬるいようだったら俺が代わるな。」
水を張った桶を用意しつつ。
これは気絶したらぶっかける為のものだ。
ダーツの針でも使って色々やるか。
「背後関係の情報知ってたら儲けだ。
食料をどこから調達したかも気になる。
他に何かあったっけか。」
もっとも背後関係については期待薄だ。
精々、中間に入ってる奴の情報が知れる程度か?
背後に誰もいないって事はないだろうなぁ。
慎重に偵察した上に援軍経路を事前に潰すとか、
入れ知恵されてるだろうよ、これは。
「質問には俺達が既に知ってる事もさり気なく混ぜるといい。
全部、虚言を返すアホならそれでわかる。」
今日、見て来た事が利用できるだろう。
いつカルナの方に来たかとか、川をどうやって渡ったとか適当に。
「聞く事聞いたら・・・適当にカマかけ試して、それで終いかな。」
Dとか兵士について話が出てこなかったら適当に突っついて見るかぁ。
PLより----------------------------------------------
ルーイ君、お疲れー!
自害対策も要りますかね?
舌を噛みきって、なんてのは現実にはそう出来る事ではないようですが、
ソードワールドはバリバリのファンタジーですし。
>ゴブ死体
川に流すのは私も反対。森の糧になってもらいましょう。
>ゴブシャ
徹底的にいっておきましょう。
オークのが効果薄かったらマークがネチネチやります。
ご期待には答えねばなるまいて。
ルーイ(たいまん) 2012.06.13 [12:41]
厭な作業だった。
食糧でもない生き物に、ただトドメを刺すだけの作業。
鳥や獣を、食べる為に捌くのとは、全然違う。
ダガーを首筋に滑らせるたびに、気持ちの悪いものがこみ上げる。
「ちょっと手間ですけど、街道から少し離して、軽く土をかぶせておきましょう。
放置したら疫病が流行りそうだ」
ゴブリンシャーマン以外の処理が終わった時、オレは、胃の中のものをすべて吐いた。
「ゴホッ、うぇ」
罪悪感なんてない。
妖魔は敵だし、それ自体は何とも思わない。
ただ、生理的に気持ちが悪かった。
臭いも、感触も、全部が、厭だった。
「魔術師は、後ろで高みの見物をしておくべきですね」
水を口に含み、一度吐き出す。
次のひと口は、一気に喉を通した。
うまいな。水。
ぱん、と両頬を叩いて。
「バルカさん、さっきの干したイチジク。
一個下さい。
どうも、糖分が欲しくて」
オレは、気を取り直した。
* * *
村までの道中は、かなりきつかった。
吐いたせいで、体力ががくんと落ちてる。
でも、あの数を一網打尽にできたっていうのは、やっぱり嬉しい。
だから足取り軽く、とはいかないのが、オレの体力の無さだ。
メイジスタッフを杖にして。
ひたすら、街道を歩いた。
マークさんとバルカさんからは、しばしば遅れる。
昏倒したシャーマンを運んでもらってるのに、オレは全然遅い。
「すみません、ペース遅くて・・・っ」
急ぐ道じゃないけど。
力尽きてる感じが、かっこ悪かった。
* * *
「ジゼル」
村に到着して、出迎えてくれたジゼルの顔を見て。
「ただいま」
笑えたかは分からないけど。
オレは気が緩んだんだと思う、そのまま、意識を失った。
* * *
どれくらい経ったのか分からないけど、ゴブリンシャーマンが意識を取り戻した、と、ゆり起こされた。
少し、すっきりした。
胃のむかむかも、もうない。
「すみません、すぐ行きます」
ゴブリンの言葉を解すのは、オレだけだから。
必要とされるのは、嬉しい。
* * *
『芥なる細枝よ、魔力の導きをもて物言わぬ木偶、忠実なるしもべとなれ。【オーク】』
縛られて転がされる呪術師の前で、オークを作る。
[妖魔にも名前とかあるの?
興味あるな。
オレはルーイ]
ゴブリン語で、話しかける。
[他に仲間はいる?
なんでたったの10体で来たの?
色々、聞きたいな。
素直に教えてくれたら、眠らせてあげる。
でも、頑張ると辛いと思うよ]
唾を吐かれた。
臭い。手のひらでぬぐって、藁で拭いた。
『オーク、30秒おきに、こいつを殴って。
軽くね』
オークに命じる。
長い夜になりそうで、イヤだなあ。
でも、頑張らなきゃな。
---------------------
PLより:
なんか色々鬱陶しいロールプレイでスミマセン!
自己満足ヒャッハー!
ジゼルにもたれかかって気を失うとかやりたかったんですスミマセン。←重要
<ゴブリンの死骸
放置とか川に流すと疫病とか怖いので、街道から少し外して軽く土をかけたいです。
<ゴブシャ尋問
折角なので、徹底的にやりたいです。
オークには、ダメージが行かない程度に叩かせます。
あとは色々えげつない方法をきっと悪根さんが考えてくれる!(ぉ
オークは無事作れました!MP使いきるの楽しいでえ。
MP1/20
13:05:54 たいまんルーイ オーク 2d
Dice:2D6[1,5]=6
GM(Lain) 2012.06.13 [00:46]
マークの放った矢は呪術師を捉えられなかった。
半拍遅れて、かつんと立木に当たる音が響く。
呪術師の詠唱が終わりに近づいたそのとき。
二度目の【眠りの雲】の呪文が、先に完成した。
ふたたび現れ、一瞬で消え去るほの白い霧。
魔法の眠りに足を掴まれた呪術師は、そのまま眠りの泥沼へ引き込まれた。
慎重に近づいたバルカが、その頭を一撃する。
呪術師は低い呻き声を上げ、ひとつ痙攣して動かなくなった。
死んでこそいないが、当分起きてはこられまい。
※ ※ ※
あとに残るものは、単純で手間のかかる、愉快とは到底言えない作業だが、危険なものではない。
そこここに散らばる妖魔どもを昏倒させ、あるいは動けぬようにして止めを刺す。
ほとんどの妖魔が、声すら上げずに死んでいった。
ぎりぎりで目を覚ますものもないではないが、圧倒的に不利な状況から逃げ出せよう筈もない。
冒険者たちは、傷ひとつ負うことはないだろう。
死骸は浅く土を掘って埋めるだけにせよ、処理には相応の時間がかかる。
いまこの場で始末をつけるのであれば、村へ戻るのは夜も更けた頃になるだろう。
といって放置もできないとなれば、残る方法は川に流すくらいのことだろうか。
いずれにしても、当面の敵は片付いたということに変わりはない。
ひととおりの始末をつけて、冒険者たちは村へ、カルナへ戻ることになるだろう。
※ ※ ※
夜ではあるが、村はかがり火があちこちに焚かれて明るく照らされている。
見張りにはジゼルと狩人連が立っており、街道、そしてテナ川上流の森の方へ眼を光らせている。
最初に冒険者たちを認めたのはジゼルだった。
破顔し、大きく手を振る。
村の門を開け、冒険者たちの到着を待ったことは――持ち場を離れて迎えに出なかったことは、彼女の心情を考えれば上出来と言ってよいかもしれない。
日暮れまで戻ってこなかった冒険者たちが無事に戻ってきたことに、彼女は深く安堵した様子だ。
「――お帰りなさい」
どう声をかけるべきか逡巡して、出てきた言葉がそれだった。
ご無事で、と続けた台詞が途中で止まる。
服についた返り血が原因だった。
ひとしきり慌て、事情を聞かされ、顔を赤くして俯く。
「でも、ご無事で、よかった」
ようやく顔を上げたその表情は、橋を渡った折に見せたものと同じ、素の笑顔だった。
※ ※ ※
村へ連行された妖魔の呪術師は、到着後しばらく経ってからようやく目を覚ました。
ルーイがなにかを訊こうとすれば、不貞腐れたように笑い、血の混じった唾を吐きかける。
少なくとも、素直に何かを喋ろうという気はなさそうだ。
口を割らせるには手間も時間もかかることだろう。
冒険者たちが手間と時間を厭わなければ、それは呪術師にとっての不幸以外のなにかではないのだが。
-------------------------------------------------------
■GMから
この記事への返信は「400_帰還」カテゴリにチェックを入れて投稿してください。
ゴブシャさんは素で瀕死であります。
というわけで、前もっての宣言のとおり、TKOと相成りました!
>みなさま
ひとまず戦後処理として、ゴブシャ以外は殺るの確定、という雰囲気でしたのでさくっとやりました。
本格的な埋葬は時間的にまず無理ですので、いい加減に埋めるか川に流すか放置するか、といったところです。
どれを選んでいただいてもゲーム的にはほぼ影響がありませんのでお好きに処理してくださいませ。
ゴブシャについては、村へ連行する扱いとしました。
連行後意識を取り戻しますが、素直に吐く気はなさそうです。
GMとして確認したいのは、
・ある程度やってみて吐きそうになければ殺す
・手段を選ばず徹底して聞き出す
のどちらの方向でいくかということです。
後者であれば相応にえげつないことになるでしょう。
前者であれば情報を得られないまま始末することになる可能性が残ります。
なお、依頼は現時点までで得られた情報で達成できている、と考えていただいて構いません。
要は、PCとして妖魔にどのような態度で臨むかの確認、といったところですね。
始末のつけかたが決まったら先に進めることにいたします。
※追記:人目や世間体については特に気にしていただかなくて結構です。
人目については、村長宅の納屋あたりを使えることにしましょう。
世間体的にも、ゴブリンは基本的に人類の敵でありますので、痛めつけることそれ自体を楽しむとかそういうレベルまでいかないとなかなか白眼視してもらえません。