宴の夜
GM(Lain) 2012.06.20 [19:46]
> 「―――ジゼル?」
ぼんやりと呼びかけたその声に、ジゼルは微笑んだ。
息遣いが感じ取れるほどの距離。
伏せた目の、睫毛が――
> 「睫毛、長いんだね」
差し伸べられた手が、睫毛に、頬に、前髪に触れた。
ジゼルは黙って目を閉じる。
触れられるがままに、小さく、声とも吐息ともつかぬものが唇から漏れた。
> 「っ、ご、ごめん」
にこりと笑ったジゼルが、無言で首を横に振った。
――いいんです。
そう言うかのように。
慌しく礼を言って起き上がり、ばたばたと出て行ったルーイを、ジゼルは部屋から見送った。
だからルーイは、見送った彼女の表情を知らない。
かすかに残念そうな、そして不満そうな表情を。
※ ※ ※
> 「私は妖魔の集団を相手にするのはこれで3度目ですけどね。」
おお3度目、と相槌を打ちながら、村人はマークの杯に酒を足す。
少々こぼれた。彼もいいように酔っている。
> 「決め手になったのはいずれも魔法でした。私もよくよく運がいい。
魔法ですか、と彼はルーイを見やった。
いやお若いのにたいしたものですなあ、魔術師殿はみな博識と聞きますが。
恐怖と敬遠がそこにないではない。
だがルーイはなにしろ、村を救ってくれた冒険者のひとり。
> 「皆さんの中には魔法に対する恐れと言うか、
> 得体の知れなさを感じる人もいるかもしれません。
> しかし、言ってしまえばあれはこいつと同じ。」
その得物とですか、と別の村人が怪訝そうな顔をした。
> 「何事も使う人次第って事です。敵に使われればそりゃぁ恐ろしい。
> でも味方が使う分にはこれ程頼りになるものもありませんよ。」
そりゃあそうだと座の一同が頷く。
いやいやご尤もです、ところでマークさんあなたもどうですもう一杯。
> 「ですね。そして、魔法は万能ではありません。それを支えるのも、
> みなさんというわけです。この勝利の半分は、村のみなさんのおかげです」
バルカの言葉に村人がどっと沸き、いやあさすが神官様は含蓄のあるお話をなさる、と、酔った声で誰かがそう持ち上げた。
酒宴はまだ終わりそうにない。
※ ※ ※
> 「今回、色々考えたことは、きっと、今後の役に立つよ。
> ジゼルも、クラエスさんも。オレだってそうだ。」
そうだといいんですけど、と答えてジゼルはまた小さく笑った。
あまり飲んではいない筈だったが、その頬には血の色が差している。
周囲からはいつの間にか、仲間たちも村人もいなくなっていた。
すこし離れたところから大きな乾杯の声が上がり、笑い声がそれに続く。
> 「ねぇジゼル。
急に名を呼ばれ、ジゼルははい、と返事をしてルーイを見つめる。
> ジゼルが頑張ってるって思ったから、オレも頑張れたんだ。
> ありがと」
唐突な――すくなくとも彼女にとっては唐突な――一言が、なにかを突き崩した。
緊張からの解放。
宴の空気。
夜の闇。
なによりも、自分が必要としていた相手が、自分のことを考えていてくれたというその言葉。
それがジゼルのなかのなにかを崩し。
彼女の目、深い褐色の瞳が揺れた。
涙が零れる。
片手で目許を押さえ、もう片手をルーイの手に重ねた。
ほのかなあたたかさ。
それはあのとき、床の傍らでルーイの手を包んでいたそれと同じ温もり。
すこし堅くなった皮膚の感触。
束の間の別れの折、握られた手のそれと同じ感触。
――大丈夫です。大丈夫ですから。
嗚咽にかき消されそうな声で、ジゼルはそう繰り返した。
どのくらいそうしていたのか。
たぶん、そう長い間ではなかったように思われる。
落ち着きを取り戻したジゼルが、俯いたまま口を開いた。
「あの、」
幾度も逡巡し、ややあってようやく言葉を継ぐ。
「任を解かれたから、わたし、今夜はもう当直もないんです。
だから――」
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■GMから
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ここで切る。
切るったら切る。よいこのswww(きりっ
>みなさま
カルナの宴会シーンです。
ルーイはこのあとどうするか決めてください!
メインのイベント(PL談)ですから!
ルーイばくはt
いえなんでも。
>みなさま(あらためて)
おつかれさまでした!
今夜中に募集板に解放手続中である旨を記載いたします。
その後はキャラシへの経験点の反映等が可能になりますのでよろしく処理してやってくださいませ!
なお、次のセッションへ応募しない限りにおいて、経験点・報酬の取得後も本編への書き込みは問題なく行うことができます。
相談所への書き込みや感想等もいただけるとありがたく存じます。
まあそのあたりはネタバレの後ですかね。
というわけで、GMはもうしばらく書き込みを続ける予定でございます。
よろしければもう少々お付き合いくださいませ!