オランにて

ルーイ(たいまん) 2012.06.25 [13:15]


「ありがとうございます!」

 

銀の杖、なんて思いついたものだから、ちょっと言ってみたんだけど。
子爵は快諾してくれた。
金貨20枚を諦めることで、それをやってくれるらしい。
ロイド、お前の仲間はしばらく増えそうにないよ。


「細い棒杖だと嬉しいです」


カッコイイ。

 

うん、それだけの理由です。

 

* * *

 

食事はどうかと聞かれた。
そりゃあもちろん行くよ。
珍しい素材や手の込んだ料理を食べるのも、立派な経験だ。
せっかく貴族の屋敷にいるんだもの。


>「エリクセンがこんなことを言ってきていますが、お心当りは?」

子爵が急に振り返って、羊皮紙を見せた。
顔が赤くなる。

部下のこと把握しすぎだろあのひと!


「・・・あの、はい。
 ローナムに手紙を出したいひとがいるので、使わせてもらえるなら、すごくうれしいです」


ぐぅ、バルカさんとマークさんの視線が!視線が!

 

* * *

 

食事も終わって、屋敷を出る。

マークさんは随分気を遣ってだいぶ疲れたみたいだ。
これも元商人ならではってことなんだろうか。

充分、今でも商売人の気質を持っている気がする。

 

「ミノタウロス亭で乾杯しませんか、おふたりとも。
 慣れない料理ばっかりだったから、慣れたものを口にしないと、落ち着きませんよね」

 

オレは、そう言って笑った。

 

 

 

* * *

 

後日。


オランの郊外で、げっそりとしたまま、新しい羽ペンを走らせる。
さっき、ようやく使い魔の召喚に成功したんだ。
準備に三日。
儀式に半日。
倒れて死にそうだ。
石に立てかけた銀の棒杖が、日差しを反射して輝いている。


肩では白鳩、ローエと名付けたオレの新しい相棒が、のんびり座り込んで喉を鳴らしていた。


やめて、揺れると字が!字が!
大事な手紙なんだから!

 

 

―――オレもようやく、一人前になれたよ。

 

 

そう、ジゼルに報告するための。

 

 

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PLより:


ラスト!

皆さまお疲れ様でした!

1000ガメルはやめて、銀の棒杖をいただきます!
無意味装備ヒャッハー!

アンセルム子爵の公用便、ありがたく利用させていただきます。

 

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