宴席にて

GM(Lain) 2012.06.17 [03:08]

 伝令を受けたエリクセンが配下を率いてカルナへ到着したのはそれから10日目のこと。
 別働隊と合流できなかった本隊は、ついに村には現れなかった。

「偵察のみならず討伐まで成し遂げ、村の危機を救ってくれるとは」

 開口一番、エリクセンが口にしたのはそのことだった。

「まったく礼の言いようもない。
 ないが、『礼の言いようもない』で済ませられる話でもないのでな」

 討伐分の報酬は別途用意したゆえ受け取って欲しい、彼はそう言い、金貨の詰まった袋を手渡した。

 中には金貨が30枚――本来の依頼の報酬と同額だ。

「我らはこれからディマスへ向かい、先発隊と合流して山に入る。
 ゆえに貴公らとはここでお別れだ――ああ、わが主、子爵にはこれを手渡してほしい」

 貴公らが為したことについての報告だ、と付け加える。

 次いで彼は出立の仕度をしていた従士のふたり、クラエスとジゼルを呼んだ。
 駆けてきたふたりに、お前たちは任務を果たした、と告げ、ローナムへ冒険者殿と同道せよと続ける。

「出立は明朝。
 伝令と村の守備の任、ご苦労だった。ただいまをもって任を解く」

 よくやった、そう言ってエリクセンは笑った。

 クラエスとジゼルは敬礼で命令に応える。
 ふたりはそして、冒険者たちを振り返って笑顔を見せた。

 クラエスはやれやれといった表情で。
 ジゼルはすこし上気した顔で。

※ ※ ※

 その晩は、村をあげての宴会となった。

 小さな村にしては豪勢な食事に、酒も振舞われる。

 当面の脅威が村と街道の周囲から排除されたことは、村人を大いに喜ばせ、また安堵させた。

 村人たちは思い思いに礼を言い、また妖魔を退けた戦いの様子を知りたがる。

 クラエスは幾度か冒険者たちに酒を注いだのち、あとは任せたとジゼルに状況を丸投げして村人たちの輪の中へ入っていった。

 彼なりに気を遣ったのかもしれないし、別の目的があったのかもしれない。

 おそらく両方だろう――村人の輪の中に入って最初にしたことは、村娘に声をかけることだった。

 取り残された格好のジゼルはしばらく途方に暮れた態だったが、ややあって気を取り直したようだ。
 冒険者たちの話を聞きながら、ぽつりぽつりと村にいた間の話をはじめる。

 襲撃に備えていろいろなことを考えたこと。
 襲われたときに集まる場所、逃げる方向。
 狩人たちとどう連携するか。
 戦えない村人をどう守るか。

「いろいろ考えたんですけど、考えるほど不安で。
 本当にこれでいいのかな、大丈夫かなって考えながらクラエスと相談してました」

 ぱちぱちと焚火にくべた薪がはぜる。

「早くもどってきてください、ってずっと思ってました。
 すごく、すごく心細かった」

 すこし離れたところ、村人たちが作る輪で大きな笑い声が弾けた。

 夜は更けたが、村人も含めて、誰も寝ようとする様子はない。
 宴はまだしばらくの間続きそうだった。

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■GMから

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>みなさま

 そろそろエピローグ的な部分に入ってまいりました。
 ので、ひとまず経験点と報酬を配布いたします。

■経験点&報酬配布

 各人に、

 ・経験点:1200
 ・報酬:1000ガメル高品質武具の購入権(※)

 ※:高品質3までの通常材質武具または通常品質の銀製武具の購入権。
   1品のみ、このセッション内でのみ有効、購入費用は別途支払を要する。
   意匠等はPCの希望に沿う形で作成される。

 以上を配布いたします。


■解放手続

 このあとオランへ戻り、依頼主に報告をするというお仕事がありますが、そのあたりはお好みでお付き合いください。
 手続としては、今後最低1回レスを入れていただくことと、経験点及び報酬の受領を確認していただくこと武具の購入権を行使する場合はその旨と具体的な内容を宣言していただくことが必要となります。
 これらが済み次第、済んだPCから解放といたします。

 GMとしては、今後カルナで1または2本、オランで1本の日記を想定しております。
 が、もっとがっつりやりたいと仰る向きに対してはこれを拒む気は毛頭ございません。
 徹底的にお付き合いいたします。