帰還

ガラフ(テッピン) 2011.06.14 [16:30]

外でひとしきり物思いに耽った後小屋に戻ると、今正に黒魔犬の実食をしている最中だった。

 

>「マズッ」


メガーヌが予想通りの感想を口にする。さもありなん。


>「魔神とかいう連中の仲間なんだろう?

> ロクなもんじゃあないね」


ロクなもんじゃないのを承知で口にしたのは何処の何方でしょうな、とは思ったが口には

出さないでおく。対岸の火事がこちらに飛び火するのは遠慮願いたい。

 

意外なのはトロンで、カーツェナルから香辛料を借りてまでして何とかおいしく食べようと

努力している。これも学究の徒としての好奇心故だろうか。

―――自分は真似しようとは思わないが。

 

>「ま、いいさ。

> あんたたち、呑めないのは知ってるけどちょいと付き合いな。

> 舐めるだけでいいんだよ。

> こういうのは付き合いだ」


黒魔犬の味を口から一刻も早く追い払いたいのか、メガーヌが遺跡で獲得した

高級酒―――名はグレン・グラスと言ったか―――に手を掛け、惜しげも無く開封した。

周囲に得も言われぬ芳醇な香りが漂い始める。


>「これが500年の香りだ。

> あんたたちも学者のはしくれなら、こういうのは覚えてなきゃあいけないだろう?

> 味も知っておくべきさ」

 

木工職人としての腕を活かし、いつの間にか作っていた手彫りの盃に次々と酒を注いでいく。

二つには、並々と。三つには、ほんの一滴を。

 

>「今回の成果を祝って乾杯といこうじゃあないか。

> 次に生きて会えるとは限らないんだ、こういうのは大事にしないとねえ、ははは!」

 

こつん、と盃をぶつけ、一気に咽喉へ流し込む。

今までに呑んだ事のない濃厚かつ豊かな味が広がっていく。

これは、旨い。 

 

>「いいね、これが生きてるってことだ」

 

ばつん、背中を叩かれ、少しむせ返る。

 

「そうですな。生きていなければ、この味は知る事は出来なかった。

 生きていればこそ、酒を味わう事が出来る。有難い事です...」

 

*********************************** 

 
>「なにしろ時間がなくてねえ」


オランに到着する前の晩。メガーヌからそれぞれに、木彫りのブローチを渡された。

どうやら、黒魔犬の肉球部分を模したものらしい。

 

>「生き残った記念だよ。

> あんたたちとまた仕事出来ることを願う。

> 次に仕事する時まで、持ってておくれ。

> しかし、あんたたちが下戸じゃあなければもっと良かったのにさ!

> ははは!」


「これは面白い主題で彫られましたな...姉の細やかさがよく出ておる。

 お守りとして、大切に持っていましょう、有難く頂戴します」

 

一風変わったブローチではあるが、普段は韜晦されていて見えない、

メガーヌの持つ繊細さや女性らしさがよく出た、実に愛らしい仕上がりとなっている。

 

「ワシもまた姉と一緒に仕事をしたいですからな。次は坊や扱いされないよう、

 少しは背中を安心して預けて貰えるよう精進するつもりです」

 

照れ隠しとばかりにメガーヌはゴブレットに注いだ蒸留酒を掲げて、ぐいっと煽った。

目が、付き合え、と言っている。

 

『付き合いましょう、どこまでも。他ならぬ姐さんの頼みですからね...』

 

他の誰にも分からないよう、ドワーフ語で答え、返事とばかりに酒を飲み干す。

夜は賑やかに、柔らかく更けていく...

 

===================================

 

PLより:〆の投稿のつもりです。皆さんお疲れ様でした!

     そしてたいまんさん、ブローチ有難うございます!確かに受領致しました。

     きっとガラフは大切にすると思いますよ♪

カーツェナル(さの) 2011.06.14 [00:50]

 持ち帰ったヘルハウンドの肉を、トロンさんが肉を串に刺し、塩をふって火で炙ってる。

>「一向に焼けない...毛皮だけじゃなく肉まで火を通さないのか」

 炙っても炙っても火が通らないみたい。

>「うーん、香草がいるね。肉の臭み消しに効くやつがいいんだけど...カーツ、持ってる?」

「うん、あると思うなの」

 トロンさんに言われ、料理道具を置いている場所から香草を取り出し渡す。

――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-―――

>「臭みは慣れちゃうとそこまで気にならないんですけど。ううん」

 興味本位で味見に来たコンラートさんが、若干後悔したような表情で感想を述べて行く。

 確かに美味しい、というわけではないけど・・食べられない訳でもない。

「やっぱり異界に住む生き物は、こちらの世界の肉の質とは全く違うなのね」

 もっと叩いて柔らかくして、タレに漬け込めば食べれるかしら?

 ふむ、と少し考え込む。

 とは言ってもそう簡単に手に入る肉でもないし、気にしなくていいかなぁ?
 
 
>「ま、いいさ。

> あんたたち、呑めないのは知ってるけどちょいと付き合いな。

> 舐めるだけでいいんだよ。

> こういうのは付き合いだ」

 そういって、グレングラスの樽に、慎重に穴を開けるメガーヌさん。

 むわっと漂う強いお酒の香り・・

>「これが500年の香りだ。

> あんたたちも学者のはしくれなら、こういうのは覚えてなきゃあいけないだろう?

> 味も知っておくべきさ」

 ボク達がお酒苦手なのを知っているメガーヌさんは、ほんの少しだけ、お酒を入れてくれた。

>「今回の成果を祝って乾杯といこうじゃあないか。

> 次に生きて会えるとは限らないんだ、こういうのは大事にしないとねえ、ははは!」


「うん、ありがとうなの、メガーヌさん」

 こつん、と盃をぶつけ、飲む。

 むむ、やっぱりなんていうか・・お酒の味ってよくわかんない・・

――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-―――

 オランに着く前の晩。

 火を囲みながら、おもむろに何かを取りだすメガーヌさん。

>「なにしろ時間がなくてねえ」

 ははは、と笑いながら、皆に配ってくれた。

「わ、木彫りの・・・肉球?」

 ヘルハウンドの肉球をブローチにして作ってくれたみたいなの。

>「生き残った記念だよ。

> あんたたちとまた仕事出来ることを願う。

> 次に仕事する時まで、持ってておくれ」


 触って見ると、肉球の部分が沈み込む仕組みになっている。

 手を離すとゆっくりと元の位置に押し戻されていく。

 何回か押して遊んでいると、中で木が擦れ合うのか"キュっ"と音がする時があるなの。


「おもしろーい! メガーヌさんありがとうなのっ」

 ぽちぽちと押して、木の柔らかな感触を楽しむ。

 時々鳴る音が結構楽しいなの♪

 
 ふふ、メガーヌさんがくれた木彫りの品物はこれで3つ。

 大切な宝物が、また1つ増えたなの。

――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-―――

PL:キャー!(゚∀゚)にくきぅー!

   たいまんさんありがとー!!(*ノwノ) 大事に遊びますw

GM(Lain) 2011.06.13 [21:08]

 食事の席に、コンラートが顔を出した。

 幾皿か、料理を持ってきている。
 食事のかわりに話を聞かせてくれ、ということなのだろう。

 聞けば、たまに来る冒険者に金を払って鹿や鳥を獲ってもらうことがあるのだそうだ。

「割合、食事はいい方だと思いますよ」

 コンラートはそう言って笑った。

「ところで」

 一向に焼けない串の肉を指して言う。

「焼けてませんね。もう少し火に・・・・・・」

 言いながら手を伸ばし、何気なく串を摘もうとして、

「ぅ熱ぃいっ!」

 軽く火傷をしたようだ。

「え、なんですかこれなんなんですか無茶苦茶熱いじゃないですか!」

「は」

 事情を聞かされたコンラートは、呆けたような顔で頷いた。

「ヘルハウンドの。はあ」

 少し赤くなった指先に息を吹きかけながら、思案顔だ。

「たしかに炎では傷つかないと聞きましたが。はあ。
 焼けませんか・・・・・・なるほど。まあ、道理ではありますね」

 串はこれだけ熱いのに、と、まだぶつぶつ呟いている。
 肉はまだ赤い。どう見ても生肉にしか見えない。じっさい、生肉なのだが。

「あの、冷めたら、少しだけでいいんですけど」

 おそるおそる、という風情で口に出す。

「一口、味見させていただけませんか」

 コンラートは調理前と調理後の都合2度、その肉を口にした。

「うーん、硬いですねこれ。スジ肉みたいなかんじです」

 噛みながら言う。

「ああ、でも、赤身でよかったかもしれません。
 これ脂乗ってたらべたべたで余計臭みが出そうですから」

 腿の肉はほぼ赤身で、脂肪はほとんど入っていない。
 ヘルハウンドのごとき魔獣は、長期間飲まず食わずでも生きていけるという話だ。
 だが、食事がなければ脂肪も溜まらないのだろう。

 全くないわけではないのだが、その脂すら、どういった理由か、熱で溶け出してくるということがない。

「臭みは慣れちゃうとそこまで気にならないんですけど。ううん」

 あまりいい味ではないようだ。

 トロンが刻んで香草と香辛料を混ぜた料理は、臭みが取れてそれなりに食べられる味にはなった。
 決して美味というわけではないが、食べられない品でもない。

「話のタネにはなりそうですけど」

 けど、の後を続けなかったのは、コンラートなりの礼儀だったのかもしれない。

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■GMから:
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 後日談として、例の肉の描写であります。
 可もなし不可もなし、努力を考えると割に合わない味、というところでしょうか。


>たいまんさん

 開封した『グレングラス』はもう売り物になりませんが、日常その他で自分で飲んだり仲間に振舞ったりする分には特に問題ありません。
 樽の容量はだいたい1升瓶くらいの大きさを想定してる、とお考えください。
 1升だと2泊すれば空けちゃいそうな気もしますが、まあそのあたりはご随意にどうぞ!

 瓶の大きさとしては『マハトイェスカヤ・スタルカ』も同様です。

メガーヌ(たいまん) 2011.06.13 [13:02]

 

「・・・・おや」

 

なんであたしはこんなところにいるんだい。


「くっさい部屋で酒樽抱いて喜んでたはずなんだけどねえ」


・・・手元に酒はあるね。
よし、夢とかじゃあないらしい。


「つまり、時間切れってことかね。
 魔法ってのは以下略だねえ」

 

うーん、と背伸びをして深呼吸。

 

「ようし、みんなお疲れさん!
 結構な収穫だったんじゃあないか!?
 夜はぐっすり眠れるねえ、ははは!」

 

隣にいたトロンの尻をがつんと叩く。

 

 

* * *

 

「マズッ」


黒犬の肉だ。
煮ても焼いても食えない、ってのはまさにこれだね。


「魔神とかいう連中の仲間なんだろう?
 ロクなもんじゃあないね」


トロンが工夫している。
マメな男だねえ。

 

「ま、いいさ。
 あんたたち、呑めないのは知ってるけどちょいと付き合いな。
 舐めるだけでいいんだよ。
 こういうのは付き合いだ」


グレン・グラスとかいう蒸留酒の樽に、慎重に穴を開ける。
むわっと漂う芳醇な香り。


「これが500年の香りだ。
 あんたたちも学者のはしくれなら、こういうのは覚えてなきゃあいけないだろう?
 味も知っておくべきさ」

食事前に急いで彫った、適当な作りの盃を5つならべて、2つにはなみなみと、3つにはほんの一滴を、そそぐ。

 

「今回の成果を祝って乾杯といこうじゃあないか。
 次に生きて会えるとは限らないんだ、こういうのは大事にしないとねえ、ははは!」

 

こつん、と盃をぶつけ、一気に咽喉へ流し込む。

 

「いいね、これが生きてるってことだ」

 

ばつん、とガラフの背中を叩いた。

 

 

* * *

 

オランまでは二日半の道のりだ。
夜は二回。
ちょいと時間が足りないねえ。

そうだ。

 

 

オランに着く前の晩。

 

火を囲みながら、おもむろにごそごそと木彫りのブローチを取りだす。


「なにしろ時間がなくてねえ」


ははは、と笑いながら、4人に配った。

 

 

あの黒犬の、肉球部分をブローチにしてみたのさ。
作りは単純だから、これならすぐ彫れる。

 

「生き残った記念だよ。
 あんたたちとまた仕事出来ることを願う。
 次に仕事する時まで、持ってておくれ。

 しかし、あんたたちが下戸じゃあなければもっと良かったのにさ!
 ははは!」


手彫りのゴブレットに注いだ蒸留酒を掲げて、ぐいっとあおる。

 

ガラフ、あんただけでも付き合ってもらうよ?

 

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PLより:

皆さまお疲れ様でした!

最後に木彫りの肉球ブローチを皆さんにプレゼント(いらねえ)。
達成値17の超上物っすよ!どんなんだ!

13:24:02 たいまん 木彫りー にくきう! 2d+8 Dice:2D6[5,4]+8=17

カーツェナル(さの) 2011.06.13 [00:55]

【正式報酬決定コール】

 ・カーツ 1337ガメル + 寄木の小箱      + 1522点+60点

 ・セリト  1117ガメル + フランジドフレイル  +  1422点+40点

 ・ガラフ  1492ガメル + フューネラルアクス  + 1422点+40点

 ・トロン   -93ガメル + ルーンハンドラー&ターコイズの腕輪 + 1322点+30点

 ・メガーヌ 197ガメル + 豹紋の戦斧&酒2種 + 1322点+20点

 上記が今回参加PCの確定報酬&経験点でっす♪(゚w 。)

ガラフ(テッピン) 2011.06.12 [21:45]

銘酒をセリトとカーツが発見し、さて次の行き先は...などと話をしていた矢先、

変化が現れた。

 

最初は指先がぼんやりと光り出す。次第に輝きは強まり、

身体の回りに古代語らしき文字が浮かび上がり、魔方陣を形成していく。

どうやら強制送還の時が来たようだ。

 

>「どうもタイムリミットみたいだね...お互いの魔法陣が干渉しないように気をつけて。

> 何が起こるかわからないから」

 

魔術師であり古代語に対する見識の深いトロンの言に従い、その場でじっとする。

輝きが一際激しくなり、魔方陣が完成する。

そして突如襲われる浮遊感―――。

 

***********************************

 

>「帰って来た、ね」

 

>「戻ってこれたみたいだね」

 

気がつくと、我々は遺跡入り口の魔方陣の上に立っていた。

つい先程まで、生きるか死ぬかの探索をしていた事が、俄かに信じられない。

今頃になって、身体の節々が痛み出し、激しい疲労感に襲われ、倒れそうになる。

緊張の糸が切れ、気力で抑えていた疲労や負傷が一気に吹き出たのだ。

 

>「何はともあれ、コンラートさんの所に行こうか...流石に疲れたよ」

 

トロンの尤もな意見に、賛同の意を示した。 

 

「賛成じゃ。早くこの重い鎧を脱ぎ捨てて楽になりたいわい...」

 

************************************

 

>「今夜はこちらにお泊りですか」

 

出迎えたコンラートの問い掛けに否応もなく即答する。

 

>「はい、お邪魔します。戦利品も色々ありますよ」

 

「是非お願いしたい。動きたくても残念ながら身体がこれ以上動いてくれんでな...」

 

>「さて、とりあえずは軽く汚れを落としてから食事かな...」

 

「食事か。それはワシも望む所だが、黒魔犬の肉だけは勘弁させて頂く。

 あれは趣味でないのでな...好きな者のみで味わうがよかろう」

 

トロンさえもがヘルハウンドの肉を食べる、と言い出したので、この青年への

評価を内心書き換えつつ、つい後ずさりしてしまう自分であった。

 

「スマンがワシは外の空気を吸いに行かせて頂く。一人で出るが、心配する事は

 ない。久しぶりに星の動きでも占いたくての...」

 

************************************

 

星空がいつもに増して美しい。

死線を潜り抜け、生きているという実感を強く感じているせいだろうか。

 

今回、古代語魔術を操る強大な不死者と戦った。

必死だったせいもあるが、今までの様に抑えきれない憤怒と激情には駆られなかった。

その時考えていたのは、二度と仲間を死なせまい、という想い。

憎しみを叩きつけるのではなく、生きる力をぶつける事―――。

 

護身用に携帯してきた銀の手斧を翳す。

月の光を受けたそれは、柔らかい光を湛えている。

 

<土は、土へ>

 

下位古代語で刻まれた言葉。

今までの自分は、後悔と自責の念を不死者にぶつける事で、

自分の無力を正当化しようとしていたのかも知れない。

しかしそれは単なる転嫁、逃避に過ぎない。

自らを死地へ誘い、何時かは身を滅ぼす事になるだろう。

無論、自分が生命を賭して追わねばならない奴が居る。

未だ正体が掴めない、紅い瞳の不死者の王...

 

だが、これからは。

新たな仲間を守る為に。

自分が味わった悲しみを再び繰り返さない為に。

そして、星王ラーダの使徒として、死して尚安息を求めて彷徨える魂を救う為に。

自らの力を、使おう。

 

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PL:フューネラルアクスと過ごす夜。

トロン(リュート) 2011.06.12 [21:36]

「さて、次は四層かな...ん?」

 ふと手を見ると、ぼんやりとした光。

 次第に輪郭を持ち始めたそれは、上位古代語となって周りに展開を始めた。

 既にその内容は僕の理解の範疇を超えており、ぱっと見ただけでは部分的な解読しか行なえない。

 見る限り、ここに転移してきた魔法陣に似た構成ではあるようだ。

 

「どうもタイムリミットみたいだね...お互いの魔法陣が干渉しないように気をつけて。何が起こるかわからないから」

 そう言いながらベルを呼び寄せ、肩に止まらせる。

 周りの光が気になるのか、ベルはしきりに首を動かしていた。

 

(大丈夫、なるようにしかならない)

 そも、抵抗するのも無意味だし、理解もできないものに何かしらの干渉をするというのも論外だ。

 浮遊感、落下感、何とも言えない感触が全身を包み、気がつくと遺跡入り口の魔法陣の上に戻ってきていた。

 どうも、全員無事帰ってこれたようだ。いや、正確には無事ではないのだけれど。

 

>>「帰って来た、ね」

 

「戻ってこれたみたいだね」

 遺跡から持ち出すことの出来た発動体の剣――ルーンハンドラーの状態を確かめながら、呟く。

 雷撃にやられた火傷はまだ痛むし、喉もなんだかいがらっぽいけれどとりあえずは無事。皆も似たような状況のようだけど、とりあえずは命に別状はない。

 そして僕たちの手には金貨150枚分以上の価値はありそうな金銀財宝、武器の数々。

 大成功と言えるだろう。

 

「何はともあれ、コンラートさんの所に行こうか...流石に疲れたよ」

 

     *     *     *     *     *

>>「今夜はこちらにお泊りですか」

「はい、お邪魔します。戦利品も色々ありますよ」

 異界の生物の肉とか、と言って笑う。

 

「さて、とりあえずは軽く汚れを落としてから食事かな...」

 埃やらなにやらで色々と汚れている。

 水浴びとまではいかなくとも、せめて顔や手くらいは洗いたい。

 

     *     *     *     *     *

「...ん??」

 カーツからもらったヘルハウンドの肉を串に刺し、塩をふって火で炙る。

 炙る。

 炙る、んだけど...

 

「一向に焼けない...毛皮だけじゃなく肉まで火を通さないのか」

 一向に焼ける気配がない。

 熱々にはなっているのに、生肉。ある意味異様だ。

 いや、こんなものを食べようとしている事自体が異様なんだろうけど。

 

「ええと、確かミラルゴの方の料理で生肉の料理が...」

 生肉を細切りにしてオリーブオイルと塩で味付けするというものだったはず。

 確か臭み消しに香辛料とか香草を使うはずだけど...

 

「うーん、香草がいるね。肉の臭み消しに効くやつがいいんだけど...カーツ、持ってる?」

 と聞きつつ、僕はピクルスを保存食の中から取り出す。

 これも微塵切りにして混ぜ込もう。

 

     *     *     *     *     *

 食事を終え、僕達は戦利品を並べてあれこれと話し合う。

 

「僕はこの剣と、ターコイズの腕輪が欲しいかな。分け前で足りない分はお金を出すよ」

 計算上はメガーヌとカーツに貸した分も合わせて大した出費にはならないはず。

 腕輪はお土産にする。

 彼女はあまりアクセサリーとかをつけないから、たまにはこういうものを贈るのもいいと思うし。

 

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PL欄

描写とか料理とか報酬の山分けの話し合いとか。

 

リュート : 生肉料理知識 2D6 → 2 + 4 + (6) = 12 (06/12-20:47:54)

カーツェナル(さの) 2011.06.12 [20:54]

 腐りかけた箱の中に残されていたのは、

 長期保存の効くはずだったであろう食料品のなれの果て。

 500年と言う年月にも耐え得る食料など、そうあるものでもない。

 後は酒樽や瓶。


「あれ? ・・ねぇセリト、これ見て」

 薄れた焼印で『グレングラス』と記された、厳重に封をされている小さな樽。
 
 そして、コルクと蝋で厳重に封を施されており、陶製の瓶に収められている酒瓶。

 破れたラベルには、消えかけた文字で『マハトイェスカヤ・スタルカ』。


「あの文献に記されてたお酒なの」

 ボクもセリトもお酒は殆ど口にしないので、それに関しては知識がない。


 以前、調べ物をしていた時に何の拍子か、ボクの頭の上に落ちて来た羊皮紙の巻物があった。

 居合わせたセリトがそれを受け止め、なんだろうと二人で調べたんだっけ。  
  

 その羊皮紙に記されていたのが、『グレングラス』と『マハトイェスカヤ・スタルカ』。

 かつては名のあった、でも今はもう存在しない銘柄・・だったかな。

 いつもなら、お酒の銘柄なんて興味も湧かなくてそのままだったけれど。

 意外な所で役に立ったなの。

――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-―――

 その時。

 指先が、ぼんやりとした光りだした。

> 明確な輪郭を持ち始め、手や足、身体の末端に近い空中に魔法文字を浮かび上がらせてゆく。

> ゆらゆらと動き、明滅を繰り返しながら、それらは徐々に光を増してゆく

 異変を感じたのか、ベルさんもトロンさんの肩に留まり、周りを不安そうに見ている。

> 直後、急速に光を増した魔法文字の羅列が、各々の周囲に魔法陣を織り上げた。

 また、あの感覚。

 あれ、あんまり好きじゃないなの。

 何が起こっているのか、まだ理解出来ないからだとは思うけれど・・

――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-―――  

 ――気が付くと、遺跡入口の魔法陣の上に居た。

 皆、一緒。

「帰って来た、ね」

 緊張の糸が切れたのか、疲労感が押し寄せて来る。

 でも・・無事帰って来た。


 外に出ると、日が暮れていたなの。

 小屋へ顔を出せば、コンラートさん迎えてくれた。

 食事をし、遺跡の中の事を話をしながら、夜は少しずつ深まっていく。

――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-―――

 星空を見上げて、ぼんやりと物思いに耽る。

 転送の魔法陣。

 複雑な術式を施された魔術灯。 

 創造主の命のみを忠実に行使する石や骨の従者。

 そして、500年間ずっとあの場所に留まり続けたあのコ。


 魔力を具現化して自然に在らざる物を作りだす・・・

 どうして、あのコのような存在が生み出されたのか。

 精霊の力だけでは解明出来ないなの・・


 色んな方向から考えなきゃ。


 父様がそうであったように。   

 ボクにも、魔力を具現化する力はあるかしら。

 自然なる力と、自然ならざる力。

 その二つを上手く制御出来るかしら。


 ――ううん。

 きっと、出来る。

 ボクは父様と母様の娘。

 出来ない訳なんかない。


 それに。

 その力は、皆を守ってくれる力になるなの。 

――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-―――

PL:だんじょんお疲れ様でした!(゚w 。)

   セリトとダイス目同じなので一緒に調べてた事にした(

   二人とも酒飲まないから無理矢理ですw

GM(Lain) 2011.06.12 [18:58]

 ――気がつくと君たちは、遺跡入口の魔法陣の上にいる。
 傍らの魔法装置には確かに見覚えがあるが、出発のときにいたはずのコンラートは今はいない。

 魔法陣はぼんやりとした光を、そして天井近くの魔術灯が無機質な白い光を放っている。

 何事もなかったかのような――ともすればこれまでの探索の現実感を失わせるような佇まいだが、君たちの疲労感、ところどころに負った傷、そしてなによりも数々の戦利品は間違いなく現実だ。

 傷の痛みも激しい疲労も萎えかけた気力も、結局のところは充実感に取って代わられる。
 冒険者にとって、成功した遺跡探索というのはつまり、そういうものなのだ。

 外に出ると、日はとうに落ちている。
 小屋へ顔を出せば、コンラートが迎えてくれることだろう。

「今夜はこちらにお泊りですか」

 寝床というほど上等なものはないが、雨風を凌げる屋根と火はいつでも貸す、とのことだった。
 食事の支度をしながら、コンラートは遺跡の話をあれこれと聞きたがる。

 食事をし、話をしながら、夜は少しずつ更けていく。

 明日の朝ここを発てばオランまではまた2日半の道のりだ。
 ギルドへ報告を入れ、戦利品を売り払って報酬を受け取ればこの仕事は終わる。

 今のうちに分け前を相談しながら、長かった1日を振り返るのも悪くはなさそうだ。

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■GMから:
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 本編のゲーム的な進行はこのあたりで〆となります。
 報酬の分配と経験点の配布については、確定のコールがPL相談所に投下されたのをGMが確認した段階でGMが募集板と「GMより」のカテゴリに書き込みます。分配・配布の書き込みがあった時点で各PCを解放することといたします。
 その後はキャラクターシートへの反映をしていただいて構いません。

 解放後も適当に残って雑談や後日談など入れてやってください。
 ただし、混乱を避けるため、次のセッションへの応募後は本編(=PL相談所以外のカテゴリ)への書き込みは一切これを禁止いたします

 PL相談所への書き込みについては、1週間から10日程度、書き込み権限を残しておきますので、その間は自由に行っていただいて差し支えありません。

 あ、ヘルハウンドの肉を食うなら味の描写など入れますね。後日談的に。
 コンラートも興味本位に味見したがるかもしれません。

 事務的な手続きは既に提示したとおり進めていく予定です。
 ネタバレや感想なども順次書き込む予定でおります。

 皆さんもご感想などいただければ是非に!