帰還、そして焼けない。

トロン(リュート) 2011.06.12 [21:36]

「さて、次は四層かな...ん?」

 ふと手を見ると、ぼんやりとした光。

 次第に輪郭を持ち始めたそれは、上位古代語となって周りに展開を始めた。

 既にその内容は僕の理解の範疇を超えており、ぱっと見ただけでは部分的な解読しか行なえない。

 見る限り、ここに転移してきた魔法陣に似た構成ではあるようだ。

 

「どうもタイムリミットみたいだね...お互いの魔法陣が干渉しないように気をつけて。何が起こるかわからないから」

 そう言いながらベルを呼び寄せ、肩に止まらせる。

 周りの光が気になるのか、ベルはしきりに首を動かしていた。

 

(大丈夫、なるようにしかならない)

 そも、抵抗するのも無意味だし、理解もできないものに何かしらの干渉をするというのも論外だ。

 浮遊感、落下感、何とも言えない感触が全身を包み、気がつくと遺跡入り口の魔法陣の上に戻ってきていた。

 どうも、全員無事帰ってこれたようだ。いや、正確には無事ではないのだけれど。

 

>>「帰って来た、ね」

 

「戻ってこれたみたいだね」

 遺跡から持ち出すことの出来た発動体の剣――ルーンハンドラーの状態を確かめながら、呟く。

 雷撃にやられた火傷はまだ痛むし、喉もなんだかいがらっぽいけれどとりあえずは無事。皆も似たような状況のようだけど、とりあえずは命に別状はない。

 そして僕たちの手には金貨150枚分以上の価値はありそうな金銀財宝、武器の数々。

 大成功と言えるだろう。

 

「何はともあれ、コンラートさんの所に行こうか...流石に疲れたよ」

 

     *     *     *     *     *

>>「今夜はこちらにお泊りですか」

「はい、お邪魔します。戦利品も色々ありますよ」

 異界の生物の肉とか、と言って笑う。

 

「さて、とりあえずは軽く汚れを落としてから食事かな...」

 埃やらなにやらで色々と汚れている。

 水浴びとまではいかなくとも、せめて顔や手くらいは洗いたい。

 

     *     *     *     *     *

「...ん??」

 カーツからもらったヘルハウンドの肉を串に刺し、塩をふって火で炙る。

 炙る。

 炙る、んだけど...

 

「一向に焼けない...毛皮だけじゃなく肉まで火を通さないのか」

 一向に焼ける気配がない。

 熱々にはなっているのに、生肉。ある意味異様だ。

 いや、こんなものを食べようとしている事自体が異様なんだろうけど。

 

「ええと、確かミラルゴの方の料理で生肉の料理が...」

 生肉を細切りにしてオリーブオイルと塩で味付けするというものだったはず。

 確か臭み消しに香辛料とか香草を使うはずだけど...

 

「うーん、香草がいるね。肉の臭み消しに効くやつがいいんだけど...カーツ、持ってる?」

 と聞きつつ、僕はピクルスを保存食の中から取り出す。

 これも微塵切りにして混ぜ込もう。

 

     *     *     *     *     *

 食事を終え、僕達は戦利品を並べてあれこれと話し合う。

 

「僕はこの剣と、ターコイズの腕輪が欲しいかな。分け前で足りない分はお金を出すよ」

 計算上はメガーヌとカーツに貸した分も合わせて大した出費にはならないはず。

 腕輪はお土産にする。

 彼女はあまりアクセサリーとかをつけないから、たまにはこういうものを贈るのもいいと思うし。

 

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PL欄

描写とか料理とか報酬の山分けの話し合いとか。

 

リュート : 生肉料理知識 2D6 → 2 + 4 + (6) = 12 (06/12-20:47:54)