帰る

メガーヌ(たいまん) 2011.06.13 [13:02]

 

「・・・・おや」

 

なんであたしはこんなところにいるんだい。


「くっさい部屋で酒樽抱いて喜んでたはずなんだけどねえ」


・・・手元に酒はあるね。
よし、夢とかじゃあないらしい。


「つまり、時間切れってことかね。
 魔法ってのは以下略だねえ」

 

うーん、と背伸びをして深呼吸。

 

「ようし、みんなお疲れさん!
 結構な収穫だったんじゃあないか!?
 夜はぐっすり眠れるねえ、ははは!」

 

隣にいたトロンの尻をがつんと叩く。

 

 

* * *

 

「マズッ」


黒犬の肉だ。
煮ても焼いても食えない、ってのはまさにこれだね。


「魔神とかいう連中の仲間なんだろう?
 ロクなもんじゃあないね」


トロンが工夫している。
マメな男だねえ。

 

「ま、いいさ。
 あんたたち、呑めないのは知ってるけどちょいと付き合いな。
 舐めるだけでいいんだよ。
 こういうのは付き合いだ」


グレン・グラスとかいう蒸留酒の樽に、慎重に穴を開ける。
むわっと漂う芳醇な香り。


「これが500年の香りだ。
 あんたたちも学者のはしくれなら、こういうのは覚えてなきゃあいけないだろう?
 味も知っておくべきさ」

食事前に急いで彫った、適当な作りの盃を5つならべて、2つにはなみなみと、3つにはほんの一滴を、そそぐ。

 

「今回の成果を祝って乾杯といこうじゃあないか。
 次に生きて会えるとは限らないんだ、こういうのは大事にしないとねえ、ははは!」

 

こつん、と盃をぶつけ、一気に咽喉へ流し込む。

 

「いいね、これが生きてるってことだ」

 

ばつん、とガラフの背中を叩いた。

 

 

* * *

 

オランまでは二日半の道のりだ。
夜は二回。
ちょいと時間が足りないねえ。

そうだ。

 

 

オランに着く前の晩。

 

火を囲みながら、おもむろにごそごそと木彫りのブローチを取りだす。


「なにしろ時間がなくてねえ」


ははは、と笑いながら、4人に配った。

 

 

あの黒犬の、肉球部分をブローチにしてみたのさ。
作りは単純だから、これならすぐ彫れる。

 

「生き残った記念だよ。
 あんたたちとまた仕事出来ることを願う。
 次に仕事する時まで、持ってておくれ。

 しかし、あんたたちが下戸じゃあなければもっと良かったのにさ!
 ははは!」


手彫りのゴブレットに注いだ蒸留酒を掲げて、ぐいっとあおる。

 

ガラフ、あんただけでも付き合ってもらうよ?

 

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PLより:

皆さまお疲れ様でした!

最後に木彫りの肉球ブローチを皆さんにプレゼント(いらねえ)。
達成値17の超上物っすよ!どんなんだ!

13:24:02 たいまん 木彫りー にくきう! 2d+8 Dice:2D6[5,4]+8=17