一日の作業を終えて

GM(Lain) 2012.11.01 [03:12]

 役割を分担した3人は、それぞれに己の仕事に取り掛かった。

 ラキアードは周囲の警戒。
 オートは危険箇所の判別。
 エリオは絵図の作成。

 エリオは早速絵図を描き始めた――といっても、まずは全体の状況をある程度把握しなければならない。
 ついでに、手の届く程度の範囲の崩れそうな場所も検分を始めてしまう。
 いずれやらなければならない作業であるからには、先にできるところまでやっておく、というのも悪くはない選択肢になる筈だ。

 予定通り、半日ほどで絵図はおおむね完成した――が、まだ数箇所欠けている部分がある。
 土砂の陰になってこちら側からでは見えない部分が幾箇所かあるのだ。

 完成させるためには、土砂を乗り越えるなり何なりの手段を使って反対側まで行かねばならない。

 雨のない分前日よりはマシと思えるが、渡るには危険であることに変わりはない。

※ ※ ※

 オートは崩壊の危険があると思われる箇所を洗い出す作業を始めた。
 といって、何か特別なことをするわけではない。

 滑りやすく手がかりの少ない急な斜面をその場まで登り、状況を実地に確認する。
 木の様子や周囲の地面――言ってしまえばそれだけだが、自分自身が落ちぬように気を払いながら作業を行わねばならない。
 低い場所のうちはそれも大して脅威にはならないが、10歩15歩の高さともなればそうも言っていられない。
 時間を惜しんで作業を片付けようとするならば尚更だ。

 危ない瞬間がないではなかったが、オートはひとまず無事に一日の作業を終えた。
 絵図をあらかた描き終えたエリオも加わったおかげだろうか、低いほうの半分はその日のうちに片付いてしまった。

 想定以上の出来、と言ってよいだろう。

※ ※ ※

 ラキアードは周囲を警戒する。

 商隊であってもときに護衛を必要とするような山の中である。
 そうそう多くはないとはいえ、油断している間に野生動物や妖魔どもに出くわす、というのはあまり愉快な話ではない。

 己の本分を剣士と自認するラキアードであるから、仲間が危険に晒されることのないよう見守るという役どころは望むところでもある。

 崩落現場の斜面は急で、そこを上り下りすることはそれ自体危険を伴う行動だ。
 だから、その場で直接何者かに襲われる、というケースはさほど多くはないだろう。

 むしろその上、緩斜面から飛び道具を使われることや、斜面自体がそう高くない場所を降りた敵が街道を進んでくること、そういった部分を警戒すべきと思われた。

 昼を過ぎた頃、急斜面の上方でがさがさと音がした。
 見上げれば、そこには一頭の熊がいる、と知れるだろう。

 双方に飛び道具があるわけではなく、ラキアードにできるのは精々が仲間たちに声をかけて警戒を促す程度のことだ。

 だが、熊は熊で、人を好んで襲うというわけではない。
 無防備な姿を晒していればいざ知らず、目が合い、警戒されていることが明らかな状況で人を襲うほどには、その熊は飢えていなかった。

 しばしの睨み合いののち、熊は現れたときと同じように、がさがさと音を立てながら緩斜面の林の中へ消えていった。

※ ※ ※

 日暮れまでの作業で、絵図はあらかた完成した。
 危険箇所の判別も、調査そのものに危険の伴う高所部分を残しているとはいえ、半方は終わっている。
 訪れた危険も、警戒の網に掛かって危険とならぬままに消えた。

 昨日と同じように汚れはしたが、昨日と違って怪我をする者もなく、そしてこの成果。
 上々の一日であったと言えるだろう――あとは宿へ戻って、明日への英気を養う時間だ。

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■GMから

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 ・絵図作成、危険箇所判別の作業進捗はだいたいそんなかんじです。
 ・聞き耳&危険感知、了解しました。昼過ぎに1匹、警戒網に引っ掛かった奴がいます。
  熊、と言ってしまっておりますが、全員「怪物知識」または「動植物知識」による判定をどうぞ。
  知名度的に誰かひとりくらいは成功します・・・よね?w

 というあたりで第1日の作業終了であります!

 明日か明後日あたり、また宿屋のシーンを入れますが、それまでも適当に描写していただいてかまいません!
 帰り道には特になにがあるでもないので、そのまま無事に宿まで戻っていただいて大丈夫でーす。