翌朝、出発前に

エリオ(だんがん) 2012.10.20 [15:19]

僕は、ゆっくりと目を覚まします。

美味しい食事と、寝心地の良い寝具。
偶然とはいえ、親子を助けたことで、僕らには思いがけない厚待遇が巡って来ました。
幸運と交流の神、チャ=ザに感謝を。

あー
毛布、温かいなあ。

....
.......

このままずっと寝ていたい気分でしたが、僕らは、本来の役目を果たさねばなりません。


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土砂崩れの復旧調査 二日目

一日目は思わぬ事態に
土砂崩れに巻き込まれた親子を救出
(ライナルト氏、パウル君)
御者もいたはずだが行方不明

昨夕から雨が降っていた
また地面が崩れないか心配

今日もがんばろう

一仕事終えての一杯は格別
昔、近所のおじさんたちの言っていた意味がやっとわかった
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身支度を整え、簡単に日記をつけると、僕は部屋を出ました。
「おはようございます!」
途中、すれ違った宿の主人にご挨拶。


食堂につくと、昨日の親子が起き出してきていました。
「もうお加減はよろしいのですか?」
痛々しい包帯や添え木を見れば一目瞭然で、我ながら何を言っているんだろうと呆れてしまいましたが。

>「まったくお礼の言葉もありませんが、せめてお名前なりとお教え願えませんか」
そういえば、自己紹介する機会を逃していたのでした。
「僕はエリオです。エリオ・アリアス。駆け出しですが、学者などをやっております」
時間があれば商売の知識をぜひご教授いただきたかったのですが、と笑って付け加えます。

それから。
お聞きしたいことがありますと切り出しました。

思い出すのは辛いかもしれませんがと前置きして、
「御者の方の背格好はどのようなものでしょうか?」
無理強いはせず。宜しければ、と。

今後調査を行なっていけば、亡骸などを見つけることになるかもしれません。
あるいは、普請が始まってからであれば、人足の方に弔いをお願いすることもできます。
僕らが後を引き継ぐことで、ライナルトさんの自責の念が少しは軽くなることを祈って。

 

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二日目の朝から出発前までの書き込みです。