転機

GM(Lain) 2012.11.27 [18:55]

「――あ、」

 目を閉じ、反射的に頭を庇ったキャロラインがおそるおそる目を開ける。

 その眼前で、エレアノールが巨鳥に捕えられていた。

「いやああああああああああああ!」

 悲鳴。
 だが、巨鳥はそれにたじろぐ様子も見せない。

 身体を捻り、膝で押し込むような蹴りを入れ、しかし巨鳥もその程度の抵抗には慣れているのだろう。
 エレアノールの攻撃をあしらいながら、嘴で更なる一撃を加えようと上体を反らす。

> 「離せっ!!」

 その瞬間、拘束の緩んだ手が、羽毛の奥の身体を掴んだ。
 力任せに引き剥がす。

 身体に食い込んだままの鉤爪が皮膚を裂いて――巨鳥の体重の、その重みが身体から抜けた。
 一瞬遅れて繰り出された嘴をかわし、体勢を立て直し、歩兵槍をしっかりと握り直す。

 引き剥がされた巨鳥も地面を蹴り、その翼で風を掴んで上昇に転じる。

 仕切り直しだ。

 視界の端に、へたり込むキャロラインの姿が見えた。

※ ※ ※

 アシュレイに声をかけながら、しかしウードは上空の巨鳥どもから視線を外さない。

 巨鳥はタイミングを計るように旋回し、ふたたび降下に移る。

 隠れる場所に乏しい草原で、逃げることのできない相手にはそれで充分なのだろう。
 その巨大さゆえに小細工など不必要であり、また不可能でもある。

 だが、この相手は。
 どのようなわけか逃げようとせず、それでいてあっさりと捕えられもしない。

 ウードの側から見れば、方向こそ変わったものの、先ほどと同じ攻撃だ。
 攻撃のリズムやタイミングも、その方法も。

 嘴も鉤爪も、空中から襲い来る軌道を見切ってしまえば何ほどのこともない。
 二度目の攻撃は、かすりもせずに通り過ぎた。

> 「ふん、相手が悪かったな鳥野郎。
>  避けるのは得意中の得意なんだよ!」

 その罵声に答えたものかどうか。
 巨鳥が一声、高く鳴いた。

※ ※ ※

 ウードの一声で狼狽から立ち直ったアシュレイは、さらに詠唱を重ねる。

 行使する魔法は同じ【眠りの雲】。
 捉えられたラバを、まず救わねばならない。

 仲間たちは持ち場を守って踏みとどまっている。

 巨鳥に掴まれたエレアノールは拘束を振り切り、ウードは度重なる攻撃をすべてかわした。

 呪文の詠唱が完成し、己の中から魔力が引き出されてゆく感触が続く。

 範囲を絞り込まれた空間に、魔力によって生み出された白い霧が現れ、一瞬で消えた。
 だが、巨鳥とラバには、その一瞬でこと足りたようだ。

 一頭と一羽はともに眠りに引き込まれ、地面に倒れた。

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■GMから

 進行でーす!

 そういえば第1ラウンドで処理を忘れておりましたが、ヴァルチャーに反撃を試みることができるのは行動順位0でしたね。
 したがって、ヴァルチャーの行動順位で鉤爪の攻撃が命中した場合、その時点で【捕獲】状態となるため、あらかじめ【脱出】を宣言していない限りそのラウンドの行動はキャンセルされます。ご注意くださいませー!

 引き続き第3ラウンドの行動をどうぞ


◆結果&ステータス:第2ラウンド

 A21:ウード ビルをかばう【防御専念】
 A19:アシュレイ ヴァルチャーCにスリクラ(成功、C睡眠)
 A18:エレアノール ヴァルチャーAを振りほどき(脱出成功)
 A15:ヴァルチャーA エレアノールを捕獲したまま攻撃(脱出/はずれ)
 A15:ヴァルチャーB ビルを攻撃→ウードに攻撃(はずれ/はずれ)
 A15:ヴァルチャーC ベンを捕獲したまま攻撃(睡眠によりキャンセル)

 ウード MP:07/13
 アシュレイ MP:05/18
 エレアノール HP:14/15

 キャロライン
 ビル HP:10/15
 ベン HP:07/15 【睡眠】<移動力半減:一時>


◆宣言:第3ラウンド

 A21:ウード ???
 A19:アシュレイ ???
 A18:エレアノール ???
 A15:ヴァルチャーA キャロラインを攻撃
 A15:ヴァルチャーB ビルを攻撃
 A15:ヴァルチャーC 【睡眠】(ラウンド終了時に覚醒判定)