山の朝
GM(Lain) 2012.11.13 [20:45]
さすがに懲りたものだろう、狼は結局その後襲ってこなかった。夜が明ける。
空が明るくなり、徐々に気温が上がってゆく。
闇の底に沈んでいた谷が淡い光に照らされて浮かび上がり、墨色一色だった景色が色を取り戻してゆく。
やがて陽が上った。
南側の谷から朝靄が這い上がり、眼下、昨日歩いてきた稜線をぼんやりと霞ませている。
目を覚ましたキャロラインは、まだ疲労が抜けきらぬ様子ではある。
だが、今のところ歩くに支障はなさそうだ。
「明け方、ずいぶん寒くなってさあ。暗いうちに目が醒めちゃった」
寒いから毛布から出られなかったんだけどねえ、と笑う。
テントから出てあたりを見回し、踏み荒らされた地面と飛び散った血、それに怪我をしたラバに気付いたようだ。
「――ゆうべ、なにかあったの?ビルが怪我してるみたいだけど。
それにおにーさんだいぶお疲れじゃない?寝てないの?大丈夫?」
※ ※ ※
朝食を摂り、出発の支度を整える。
火の始末をしてテントを畳み、各々が自分の荷物を背負う。
――と。
朝靄に包まれた稜線を、いくつかの影が越えてゆく。
影絵のようなそれを、ウードとエレアノールは知っている。
妖魔――ホブゴブリンとゴブリンだ。
影が重なり合い、どれだけの数がいるかは解らない。
だが、10を上回ることはないだろう。
そして彼らがこちらに気付いた様子もない――風を避けて目立たぬ岩陰にテントを張っていたし、そもそもそのテントももう片付けてしまっている。
加えて朝靄の中だ。
山頂近辺で夜を過ごす人間などそうはいない、という先入観もあるのだろう。
だからこの妖魔どもが道行きの妨げになることはない。
無視して進んでしまえばよいだけの話だ。
問題は、彼らが稜線を越えた先、その方向にあった。
南から北へ。
妖魔どもの行く先には街道がある。
追わなければ、妖魔どもはそこで一働きするかもしれない。
追うならば、どう急いでも一刻半ほどの時間を失うだろう。
妖魔を追うべきか否か、今ここで決めねばならない。
------------------------------------------
■GMから
この記事への返信は「2A5_明くる日」カテゴリにチェックを入れてください。
お約束の「次のイベント」であります。
進行方向と反対側の稜線を、街道へ向かって越えるゴブリン&ホブリンの一団を発見しました。
妖魔は冒険者たちに気付いていません。
キャロラインも妖魔には気付いていないようです。
妖魔を放置すれば、街道近辺で悪さをする可能性があります。
放置しない場合、強行軍をして1ターン、通常行軍で2ターンのタイムロスとなります。
また、妖魔の正確な数は現段階では不明ですが、本文中に記載のとおり、10を上回ることはなさそうです。
>みなさま
というわけで妖魔どもを追ってちょっかいを出すか否かをご決定くださいませ。
期限は15日一杯としましょうか。
タイミングがあまりにアレすぎてアレなんですが、「2日目朝の固定イベント」なんですと言い訳しておきますね。
べつに間に合うか間に合わないかギリギリのタイミングだからこういうことしてるわけじゃないのよ!よ!