依頼人たち
GM(Lain) 2012.10.01 [00:15]
> 「あー、仕切るようで悪いんだが皆、聞いてくれ。
テオバルトとキャロライン、ふたりの依頼主がオートに視線をやる。
こういった場で口火を切れる人間は重要だ――仕事を引っ張って行ってくれる可能性が高い、という意味において。
> 何ができる、どういう人間なのか。最低限の情報は共有したほうがいいと思う。
先ほどまでの少々険悪と言えなくもない雰囲気はどこへやら、ふたりしてうんうんと頷いている。
オートの言い分は取り立てて目新しいものではない。
順当な、悪く言えばありきたりなものだ。
だが、ありきたりなことをありきたりにこなせる人物が実は貴重である、という事実はよく忘れ去られる。
かたや役人として、かたや商人として、普段から多くの人間と接するふたりであればこそ、ありきたりなことを敢えて口に出して場をまとめたオートに目を留めたものだろう。
※ ※ ※
> 「各自のできることからすると、これがバランスの取れた編成になるんじゃないかと思うんだが
オートの提案に反対する者はない。
「あれ、仲間と離ればなれだけどおj――お兄さん、いいの?
いや、あたしは全然構わないけどさ無事ブラードまで下れれば」
キャロラインが口にしたのはある意味で当然の疑問であった。
しかし、彼女自身が言うとおり、編成にこだわる気は無いようだ。
テオバルトも、彼の依頼に必要そうな人数が集まったとあって、口を挟む様子はない。
※ ※ ※
じゃあ面子も決まったところで、と言いながらキャロラインが腰を上げた。
「えーと・・・・・・アシュレイ、リモーネ、エル、ウード、でいいんだよね。
あたしちょっと話付けてくるから、その間、北と南、どっち回るか相談しといてほしいんだ」
条件整理するね、とキャロラインは続ける。
「北側はここからしばらくクライバー川の支流に沿って下りて、そのあと本流の脇を遡る形になるね。
目の前、北西にあるフーバー山を巻くような形で流れてるから、クライバー川に沿って登って鞍部を越えて、あとはだいたい下るだけになるみたい。
鞍部のところだけはちょっと急な岩場があるけど、あとはだいたい森の中を通るってさ」
「南側は峠まで登り返したあと、ここのすぐ南、イステル山の尾根筋を通ってくことになる。
全行程、だらだらした登りと下りを繰り返す感じね。
峠からしばらく上ると草原に出て、この絵図の区間はだいたい草原みたい」
「行程は南北どっちも半日行動で二日ってとこ。
徹夜で歩けば一日で踏破できるかもだけど、あたしがちょっと無理かな。
まあ、天気だなんだでトラブルがあっても三日か四日で踏破できると思う」
「あたしはどっちのルートでも普通に歩く分には行けると思う。
どっちも実際に歩いたことないけど、まあ、話聞く限りは行けると思うんだ。
連れてくのはラバが二頭。荷物は軽めにするつもりだから、実質一頭分くらいを分けて積む形になるね」
飼葉とかも持ってかないとだし、と付け加え、
「まあだいたいそんな感じよ。
野歩きに慣れてるなら――慣れてるよね?
あたしよりマシな結論出せると思うんだけど、お願いしていいかな?」
言うだけ言うと、キャロラインは商人の一団のところへさっさと歩いていく。
冒険者たちの答えを待つ気はなさそうだ。
※ ※ ※
「オートさん、エリオさん、ラキアードさん、でよろしいですか」
テオバルトは安堵した表情でそう切り出した。
「必要な道具はおおよそこの宿に置かせて貰っております」
そちらはあとで見ていただくとして、と続け、
「先ほど、ブラードへ鳩を放ちました。
今日中に届いたとして、人足を集めるのに最低でも二日。
ブラードからここまでが五日。
計一週間ほどが作業の期限です」
それ以上かかると復旧作業が遅れかねませんのでね、とテオバルトは言う。
「とは言え、実際のところ二日三日もあれば終わるとは思います」
現場への往復を含めてもその程度で、
「現場の近くに泊まるような形であればより短く済みましょうが――」
なにぶんこの状況ですから、様子を見ながらがよろしいでしょう、と結論する。
「崩れた箇所はまだ薄暗かったこともあり、はっきりと確認はできておりません。
しかし幅は数十歩、崩落地点の上端から街道までは高さにしておおよそ10歩から15歩ほどかと」
つまりその部分の絵図を作成し、崩落の危険の有無を見極め、崩落部の上を巻いてブラード側とある程度の行き来ができるようロープを張る、というのが冒険者たちの仕事となる。
「杭や槌、ロープ、鉤、手斧などは申し上げたとおりこちらで用意いたします。
現場へ行くにも量が多くては苦労しましょうから、荷車と馬を使えるよう手配します。
ほかに必要そうなものがあれば何なりと仰ってください。
ああそうそう、皆さんの持ち物で作業に必要な消耗品があれば、こちらで買い上げますよ」
ほかにも何か聞きたいことやご希望があれば遠慮なく、とテオバルトは言った。
協力を惜しむ気はどうやらなさそうだ。
「ああそれと、その現場の近辺ですが、時折妖魔が出るという話が聞こえております。
この天候ゆえ、そうそう大規模な群れが動いているとも思えませんが――」
どうか十分にお気をつけて、とテオバルトは話を締めくくった。
------------------------------------------
■GMから
この記事への返信は「100_導入部」カテゴリにチェックを入れて投稿してください。
>みなさま
とりあえず分割については確定としましょうか。
依頼人からいろいろ出てきましたが、
・各自の装備品
については出発前(=このカテゴリを〆るまでの間)に確定させてください。
特に記載がない限り、キャラシに書いてあるものをそのまま持ち込んだこととします。
また、通常品質・通常材質の武具やその他の装備品については、ここに来る前に買っておいたという扱いで購入していただいて結構です。
調査組が事前購入した物品については、テオバルトが言っているとおり、必要に応じて買い上げて依頼に利用する形となります(このへんが実質的な前金とお考えください)。
なお、必要と思われる判定については特にGMに許可を取らずに宣言&判定をしていただいて構いません。
ただし、判定を行った場合、その宣言は取り消せなくなりますのでご注意ください。
また、判定自体の要否・採否はPLさんの要望を汲みつつGMが判断いたします。
>護衛組のみなさま
ルートの選定をお願いいたします。
キャロラインは、基本的にPCにマルナゲする方向です。
ルートの選定にあたってキャロラインから出る情報は上述のとおりですが、その他PCが調べておきたいことややっておきたい判定などありましたら適宜宣言&判定をお願いします。
>調査組のみなさま
杭30本
ロープ100m
鉤10個
くさび50本
小型ハンマー2つ
杭打ち用の大槌ひとつ
作業用のハンドアックス(必筋5)ふたつ
このあたりが作業用の物品として提示されております。
あと、荷車+馬1頭ですね。
ほかに必要そうなものがあれば要望を出してやってくださいませ!