冒険者は何人?

オート(スキュラ) 2012.09.27 [01:05]

どうでも良い話だが私は寒さに弱い。


「ふあっくしょい!あ゛ー...」


気温に由来するくしゃみを一発。
狭い寝台の上で、薄い毛布を手繰り寄せる。

8月の暑さが今となっては恋しいこの時期。
山越えの仕事と聞いて、秋冬用の装備を揃えて本当に良かった。
いや、これでもまだ足りなかったかもしれない。
昨日からの雨もあいまって、山の夜は『冷える』どころの話ではなかった。
もう少し太るか筋肉がつくかすればいいのだが。


「ウードとエレアノールは風邪など引いて...は...は...は...ックション!」


仲間の心配をしようとしたが、あえなくかき消される。
このタイプのくしゃみが連続で出るのは風邪をひく前兆だ。
30年近くも風邪っぴきをやっていれば、くしゃみ一つで予測が付いてくる。
どうやら他人を気にしている場合ではないようだ。


「う゛ー...とにかくメシだな」


食べるものを食べないと体が冷えきったままだ。
薄いなりに暖まっていた寝床に別れを告げ、食堂に向かう。


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体温の維持のために消耗していたのか、朝に弱い私としては珍しく
腹いっぱい朝食を食べることが出来た。
熱いスープで体がポカポカと温まってくる。これで風邪も回避できるだろうか。


「...そういえばリオテーク、君は何しにこんな所に?
 私は仲間と一緒に仕事で来たんだが」


なぜか学院の、ラムリアース留学生組の片割れを発見したので声をかける。
もしかして彼女も冒険者なのだろうか。
遠く西方からオランまで来て、それから更にこの地の果て・天との境界のような
グロザムル山脈までやってくる...コレが若さというものだろうか。

ちなみに私はこの山道で、何度も休憩を申し出てはパーティーの足を引っ張った。
体力がつくより先に倒れてしまいそうだ。


「まぁ、降りるときは気をつけてな。
 何かあったら故郷の家族が泣くぞ」


夜間のゴウゴウという音から、すでにシトシト雨へと移行しつつある空を見ながら
食べ終わった食器を片付けに席を立つ。
二人と合流せねば。


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なにかと騒がしい商人たちのテーブルを避けて隅に陣取る。
こんな場所で商人以外となれば、それはだいたい冒険者ということになる。
山深い宿の片隅に、にわかに冒険者の集まるテーブルができていた。


「...エレアノール、空はどうだ。
 いつ頃晴れると思う?」


マグカップを両手持ちに握り締めながら聞いてみる。
街を離れての自然の中だ。エレアノールの感覚も、大分当てになると思うのだが...

.
.
.
.

そうして天のごきげんを伺っていると、
来客と話し終えた風の宿の主人がこちらを見、話しかけてきた。


>「冒険者の方々、でしょうかな。
> 商人ともただの旅人とも見受けられませんが――」


どうやら、仕事が一つ増えたようだった。


「ふむ、ここでこうしていても生活費は掛かるわけだし...
 ウード、やるか?」


ほぼ答えは決まったようなモノだとは思うが、一応聞いておく。
ウードの判断力や注意力は明らかに私やエレアノールを凌ぐ。
相談事と決定事で、ウードに尋ねない理由はない。


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結局、増える仕事は一つではなく、二つであった。
宿の主人だけでなく、行商人(...とはいうが)の一人が儲け話を持ちかけてくる。
どちらも4人程度までを欲しているらしい。


「.........作業と護衛、か」


周りを見渡す。
我々スワローテイルの他にも何人か、冒険者風の者が居るようだった。
全員参加するなら、どちらも受ける事ができるだろう。
となれば誰がどちらに行くかだが...


「あー、仕切るようで悪いんだが皆、聞いてくれ。
 ひとまず自己紹介といかないか?」


席を立ち上がって呼びかける。


「誰がどちらを受けるにしろ、一人で行くわけじゃあない。
 何ができる、どういう人間なのか。最低限の情報は共有したほうがいいと思う。
 特に野外活動やロープワークが得意な者は教えて欲しい」


「ひとまず、私はオートという魔術師だ。
 体力に自信はないが魔法が多少使えるし、あとロープや高所も扱える」


「個人的な希望を言えば護衛を受けたい。
 最近物入りでな...とりあえず、以上だ」


再び席につく。
さて、どうなるだろうか。



-PL-
どちらの仕事を受けるかは、PLBBSの相談を待ちます。

ということで自己紹介をしてみました。
よろしければカクカクシカジカで能力や技能を知ってることにさせていただけると幸いです。