未知との戦い

パティ(Cocoa) 2012.01.02 [00:13]


「............」

怪物を、扉の外から改めてじっくり観察する。
凶悪そうだ。ふつうの生物らしい匂いもイマイチ感じないし、それに......。

「この扉の所で立ってると、逃げる前に二体に襲われちゃいそうだねぇ。
 ......ゴメン、やっぱりジャオユンにまず中に入ってもらったほうがいいかな」

冒険者は命を賭けて見返りを得る仕事だ。
でも実際のところ、前に立つ人がそのリスクを負う場面がとても多い。
それが合理的だから――でも、いつもあたしはこの身の無力さを歯がゆく思う。

それでもせめて、相手の力量が分かっていれば良かったんだけど......。

「うん、頼んだよっ! でも、無理はしないで」

アライアからの奇跡を受けて、気力は十分だ。
今あたしに出来ることは、その力でジャオユンを守る事。
目を閉じ、息を大きく吸い、ふーっと吐く。

「よしっ、行こう!」



  * * *  * * *  * * *  * * *  * * *



>「でえええりゃあああああいっ!」

歪んだ扉を通りぬけ、ジャオユンが吠える。
勢いのついた連接棍の先がくるくると円を描き、怪物を見事に打ち付けた。

「おおおおっ、すっごい!!」

ジャオユンの使う不思議な得物。
フレイルって、何をどうやってこんな自由自在に動かすんだろう!
あたしなら相手よりも自分を打ち付けてしまいそうだ。

「っ! 早――」

二体の怪物は、ジャオユンの強烈な打撃に手数で応戦する。
これは――、

>「パッティちゃん、任せたぜえ!」

「おっけー、少し踏ん張っててよ、おっちゃん!」

その手数を減らせば、なんとかなる!


『ウィル・オー・ウィスプ、出ておいでっ!』

薄暗い遺跡の中、他の匂いが少ないからか、いつもより身近に感じられる光の精霊。
扉の隙間からジャオユンの背中をかすめ――怪物と共に爆ぜた。
よしっ!

一体減った余裕からか、ジャオユンは怪物の反撃をするすると流す。
まだ油断は出来ないけど、戦況はほとんどこちらに傾いたと言っていいだろう。

少し冷静になったあたしの目には、刻一刻と激しい戦場へと変貌してゆく部屋の様子が映る。
長引けば長引くほど、この書庫の中は荒れてしまうに違いない。
......。

『ウィル・オー・ウィスプ、――ジャオユンと書庫を守ってーっ!!』

ばちん。
眩しい光が一瞬、部屋の中を満たした。



  * * *  * * *  * * *  * * *  * * *



そうこうして、戦いは早々に幕を閉じた。

>「ふぅ?。いやーけっこうさっくりいったなー! すげえよパティちゃん!
> なんつーかこうばちーんてこう」

「ありがとっ。
 って言うか、ジャオユンの打撃が凄かったから、それにつられたんだよ、うん!
 強いねぇ、おっちゃん!
 ねね、怪我は大丈夫?」

厚い鎧の上からは、その怪我のほどはよく分からない。
でも、ジャオユンの平気そうな様子からして、軽傷の部類だろう。
うん――良かったっ。

>「よっしゃ。時間がもったいねえ。とっとと探しますか」

「そだね、探そう!」

見たところ、ここは大判の書物が多い――ジャンル的には研究内容そのものではなさそうだけど。
うん、手応えがありそうだ。


書架を見る。


長いこと待たせたね、久々に会いに来たよっ。
あたしはほんとのご主人様たちじゃあないけど、誰も読まないんじゃ書物が可哀想だよねぇ!



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PL:
あけましておめでとうございます!>w<
と、今さらながら、まずは戦いの様子をUPであります。

キャー! ジャオユンさんカッコイイー! ?キャー!/
戦闘方針が上手く回ったですね。
パティも頑張ってくれてよかったです。(''*