その先にあるもの
パティ(Cocoa) 2011.12.26 [03:29]
『さーてとっ。残ってくれててありがとう、キミたちっ』
物言わぬ生き残り達へ、下位古代語で声をかける。
意味があるかと言えば無いけど......なんとなくそういう気分だ。
目についた一冊を手に取り、ぽんぽん、と労るように埃を払ってやる。
うん、この状態ならまだしっかり読めるねっ。
あたしが学院に通いつめてする事といえば、なにより読書だ。
手に取り一枚めくれば、未知のものごとが、見知らぬひとの手によって記されている――。
手のひらの上で、いくつもの世界が広がってゆく感覚は、何度経験しても色褪せない。
古い書物独特の、黴っぽいような埃っぽいような匂いも、慣れてからはむしろ好きだ。
半ば崩壊した遺跡のなか、そんな匂いに包まれながら調査に没頭する。
* * * * * * * * * * * * * * *
「............ふーむぅ」
ざっと見る限り、これなら学院でも読めそうな内容ばかりだ。
案外昔の魔術師も似たようなものだった、ってトコだろうか。
でも、珍しくない内容でも古書という価値がある。
長く語り継がれるうちでの変遷、今は存在すら忘れ去られた旧説、などなど......。
こういった書物が存在する限り、そこに研究の余地はいくらでもあるのだ。
「うん、こりゃ結構な収穫だねぇ。
動植物の本ばっかりで、目立った知識はなさそーだけど......」
特にあたしの目につくのは、土壌などの地勢と、分布の関係。
つまり、この残った書架の内容を見るかぎりは、
動植物が存在するにあたって最適な環境――という知識を必要としていた、ように見える。
ただ勉強するだけなら、鉄格子も、作業台も必要無いだろう。
それに石従者や竜牙兵などの、魔法生物の存在。
"造物主のひとりは、水や土、空気を扱っていた"......なんてシー達の長に聞いたっけ。
「......生物の創造魔術。
ここってそっち系統の遺跡、なのかもしれないねぇ」
傍らのジャオユンに話しかける――というより独り言に近い形で呟く。
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じゃあ......遺跡全体に残る水の爪あとは、創造に必要だったモノなんだろうか?
仮説を確かめたくなって、土砂の崩れ方なんかをあたしはじっくり観察する。
「......うーん、こりゃ、ノームのおっちゃんの仕業かなぁ」
なんせ、ここで生きてた人が書架なんかに手をつけた跡がない。
こうなっちゃったのは研究の失敗とかじゃなくて、古代王国滅亡後の自然現象、というほうが近そうだ。
「ただ単に地下水か――この先で水を使ってたか――」
今は土砂で埋もれたその先を、あたしはじっと見つめる。
通路か部屋があったように見える、その先を。
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しゃがみ込み、土砂と小さな建材のかけらをかき集める。
この遺跡のある場所は一体世界のどのへんなのか――
もしこれが特徴のある土壌や建材なら、いずれ役立つ資料になり得るかもしれない。
......導師さんに要らないって言われたらテキトーにお土産にしよう、うん。
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とかなんとか、やってたら。
>「ぱってぃ! ぱってぃちゃーん! ご指名よー!」
「は、はーぃっ?!」
何その軽い感じ!?
と、呼ばれて見ると、大量の銀のカードだ。
「へぇ、すごい!
これ、本のタイトルとかめちゃくちゃ書いてあるよ!
著者も日付も、要約まで――埋もれちゃった本とかの分もありそうだねぇ。
これ、持って帰ったら魔術師ギルドの人、すんごく喜ぶと思うな!
やったねぇ、こりゃお手柄だよ、おっちゃんっ」
っていうかその前にあたしも見たいぐらいだ!
ジャオユンの素晴らしい発見に、にっこり笑いかけながら背中をぽむぽむと叩く。
「あっちの古本も、良さそうなの見繕っておいたから......そうあれ、たくさん。
......うん、ジャオユンならばっちり持てるよねっ、ご指名だよっ」
適材適所ってやつね!
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PL:
あれこれうとうとしながら書いたらこの長さだよ!(、、*
ほぼフレーバー日記です。
■したいこと
◎羊皮紙に土砂とか石材のかけらを包んで持ち帰りたいですー!
(なーんとなくextraと繋がってそうなので面白いかなーとか......=w=)
持ち帰ったら資料として報告書と共に魔術師ギルドの人に渡す予定ですが、
資料にならんとボツになった場合は、甲子園の土よろしく土産話用に持ち帰りたいですっ。
いちおう羊皮紙一枚消費しておきますっ。
■状態
HP13/13 MP9/18 ランタン所持
消費:油x1、羊皮紙x2