長い長い感想(の前半)
GM(Lain) 2011.11.14 [19:43]
みなさま、あらためて2ヶ月間たいへんお疲れ様でした!
無事ミッションクリアとなってGMとしては安堵しております。
遅くなりましたがお約束しました所感などを徒然に述べてまいりましょうか。
>みなさま
◆全体的な感想
「よくここまで持ち直したなあ」というのが偽らざる感想であります。
ぶっちゃけ戦闘が始まるまでは「うわあやべえ村全滅くるよこれ」とgkbrしておりまして、失敗ルートの描写だとか「どこでリアリティとカタルシスの折り合いをつけるか」とか「どこから負けルートに明確に舵を切るか」みたいな部分をわりと真剣に考えていました。
成功に至ったターニングポイントは結構な数がありまして、GMが認識するところでは、
・ガラフが射撃で敵の数を減らしていたこと。
・クーフェリアスの「ミス」のおかげで当初予定していた援護魔法が使用されず、結果的にスリクラの回数が増えたこと。
・スリクラが4回ともゴブリンの抵抗を抜いたこと。特に2回目から4回目の3回がすべて成功したこと。
・自由に動ける予備戦力を確保できていたこと。予備戦力の積極的な前線投入を行わなかったこと。
・衛兵と狩人を南門に配置していたこと。
・イアンのクリティカル2連発。
このくらいが挙げられます。
たぶんこのうちのふたつ、下手をするとひとつが抜けるだけで失敗に終わっていた可能性が高いように思われます。
なんというタイトロープ!
タイトロープを渡りきれた要因も色々ありまして、やはり出目が大きくはあるわけですが、それ以前に、
・村長や村人、特にイアンとの関係を良好に保てていたこと。
・アルフレドや衛兵sとの関係が良好であり、PCがほぼ一貫して合理的な提案をしていたこと。
このあたりも見逃せません。
じゃあなんでこんなに苦戦したの、という話になるわけですが・・・・・・。
◆足りなかったものはなにか
レンジャー技能と飛び道具、というお話が幾度か出ておりました。
まあ確かに飛び道具は足りていませんでしたが、本質的に足りてなかったのはソコジャナイ、とGMは考えております。
ひとことで言えば戦略。
苦戦の要因は戦略を決めきれていなかったことに尽きるのではないか、とGMは考えております。
・攻めるか守るか決められなかった。
・どこでどう戦うか、というのを戦う前に決められなかった。
このあたりが後々まで尾を引いていた印象です。
攻めるのであれば攻めるための、守るのであれば守るための準備というのが必要なわけですが、GMの見たところどちらも十分になされたとは言い難い状況でした。
攻める場合、まずは敵の居場所または進軍ルートを確定させる必要があります。
それには『足跡追跡』が必要ですがこれが可能なPCはおらず、唯一可能なNPCは村長の指示で行動を制約されている状況でした。
これを覆すルートとしてGMが想定したのが、「イアンをなんとかして連れ出すこと」です。
具体的には、
・イアンと家族の信頼を得ること。
・その上でイアンを説得し、イアンの母を説得すること。
・さらにその後、イアンと母が納得していることを材料に加えて村長を説得すること。
でした。
PCは最初の段階をとても適切にクリアしたわけですが、その後の段階に積極的に進むことはなく、攻めることを主張していたPCもこれらを提案することはありませんでした。
守る場合、GMが必須と考えていたのが罠と射撃です。
PLサイドが最も困るパターンというのが『飽和攻撃で強引に突破される』というものであり、これを効果的に(人手をかけずに)防ぐ手段が罠、遠くにいる(=時間的余裕がある)間に一方的に打撃を与えうるのが射撃、というわけです。
というわけでGMは「どこにどんな罠を設置するか」で悩まれることは想定しており、いくらか罠が無駄になることも想定していたのですが、そもそも罠が(というか移動障害が)ひとつもないという事態はまったくの想定外。
ついでに言うと貸与を要求されそうだなあと思っていた飛び道具は基本的に要求されず、現地でも借りれば借りられたはずの衛兵の弓も要求せず、ということで射撃についても想定より随分と手薄ではありました。
いやそれでもガラフさんイアンさん弓の威力パネェっす、という結果だったわけですが。
交戦域に同時に押し寄せるのが正面に配置された戦力のだいたい半分前後であればわりと楽に守りきれるというシミュレーションをしていたので、ターン3の行動宣言が出た時点でひどく慌てたわけです。
もう敵が全部いっぺんに来ることが明らかで、そうするとバランス的にものすごくタイトというか結構無理ゲー臭が漂うという。
で、冒頭の感想に戻る、というわけですね。
いや、ほんとうによく持ち直して成功へ持ち込んだなあ、と思っています。
◆戦術的なあれこれ
戦術的にはPC側がすごく冴えていたなあと感じております。
目立った戦術的ミスはなく、逆に南門に衛兵を回す判断、南門からの襲撃時に「即座に」「ガラフを」向かわせた決断はいずれもその時点でのベストな選択であったと思います。
また、太鼓を持つゴブリンを狙ったこと、ゴブリンロードにマルドルが近接戦闘を仕掛けて動きを封じたこともその後の戦況に与えた影響が少なくありません。
出目に関しても(特に重要なポイントで)目立って低いということがなく、PC個々の戦闘能力の高さを遺憾なく発揮できていたように思われます。
こういった積み重ねによって戦略面での不利を克服しうる、戦場での逆転がありうる、という部分を、GMはPCの英雄性のひとつの具体的な形であると考えています。
なにはともあれ戦場でPCが華々しく活躍できれば、少なくとも逆転の余地がある。
これはこれでかっこいいんじゃないかな、と思うんですよね。
その意味で、今回参加したPCは期待通りの活躍を見せてくれたと思っています。
◆ゴブリン側の戦略
かれらは一体何を考えていたのか、というのを明かしておきます。
戦略的には非常に単純、かつ戦術的にもオーソドックスなものでした。
ゴブリンの群れだと思ってたら軍隊だった、くらいの差はありますが。
■戦略目標
村全体の自由な略奪
■目標達成の手段(勝ち筋)
任意の場所で防衛線を突破し、3匹程度のゴブリンをフリーな状態で村の中へ送り込めれば勝ち。
■具体的な戦術
主力(ユニットU1とU2)で敵の主力を拘束。
その間に別働隊(ユニットS)で別方面から攻撃。
時機を見て予備戦力(ユニットL)を投入。
■撤退時期
戦略目標達成の見込みがなくなった時点で撤退。
■制約
ユニットU1、U2、Sおよびユニットから離脱した個体には太鼓の音でしか連絡・指揮ができない。
つまり、ゴブローにできたのは「前進」「斧投擲」「突撃」「別働隊投入」「撤退」を太鼓で指示すること、予備戦力(ユニットL)を指揮し前線投入の方法とタイミングを計ることのみでした。
彼が前線に積極的に出ようとしなかったのはここに理由があります。
ゴブリンどもは勝手に戦えるほど頭の程度も士気も高くなく、ゆえにゴブリンロードは常に指揮ができるように準備をしておく必要がありました。
指揮以外の雑事(直接戦闘もこれに含まれます)に手を突っ込む余裕などなかったわけです
その意味で、指揮系統を潰そうとしたPC側の意図は正しく機能していました。
彼にとって唯一の指揮手段である太鼓(とそれを叩ける手下)を失うことは大きな痛手だったのです。
◆GMの目的とシナリオの意図
当然ですがGMにもいろいろと目的はありまして、たとえば、
・大規模戦闘燃えるからやってみたい
・籠城燃えるから(ry
・防御戦闘燃(ry
あたりからはじまって
・シナリオの難易度と危険度を切り離すことは可能か(実験)
・大規模戦闘をある程度簡略に行えるようなルール運用は可能か(実験)
とか、
・足りないリソースをどう配分するかで悩んでほしい
・思い通りにならないNPCをどう動かすかを考えてほしい
というあたりが意図のごときものです。
大規模戦闘についてはカオスだし手間かかるけどだいたい何とかなるなあ、という印象ですね。
籠城と防御戦闘は十分やれたので満足ですありがとうございます。
欲を言えばこう、罠にかかって慌てるゴブどもを射撃で殲滅してゴブローが「ぐぬぬ」とかそういうシーンが見たかったというのもなくはないのですが。
難易度と危険度の切り離しには(多少のバランスの甘さはあるものの)おおむね成功しました。
調整次第で5レベル前衛くらいまでならなんとか受け入れ可能なゴブリン退治であったと思っています。
大規模戦闘のための追加ルールについてはええと、正直すみませんでした!
面倒でしたよね。でもあれ簡略化しないともっと面倒なんです・・・・・・(、、
足りないリソースというのは、戦闘前においては時間、戦闘開始後は人手を意味します。
戦闘前の分まで戦闘中に悩んでいただけたようでGMとしては満足しております。うふ。
思い通りにならないNPC、というのは今回ほぼ出てきませんでしたね!
これは純粋にPCのお手柄であるとGMは考えています。
NPCとの関係の作り方は正直なところ、お手本にしたいレベルでした。
常にNPCの立場を考えて行動・提言をしていただけたため、NPCとしてもこれに呼応する形で協力的になる、といういいスパイラルに嵌っていたのだなあと思います。
GMとしてもやってて楽しかったですありがとうございます。
◆やってほしかったこと
つらつらと列記しておきます。
もちろん、これが全部できるかというとなかなかできないわけで、この中でどれを選びどれを捨てるか、みたいな部分を考えてほしい、という期待に基づいたものです。
□柵の補修
□村周辺の調査
■移動障害の設置
■罠の設置
■襲撃のパターンの想定とそれぞれのパターンへの対処方法の策定
□衛兵との戦術の打ち合わせ
■狩人との戦術の打ち合わせ
■柵を突破された際のプラン作成と周知
■村人の避難計画の作成と周知
大体こんな感じですね。白がやったこと、黒がやってないことです。
襲撃時の村人の反応は特にGMが事態を複雑にしようと考えたわけではなく、「自分の目の前に具体的な危機が立ち現れるまでは、人間は案外危機に鈍感なものだ」という観点と、「危険をあらかじめ具体的に知らされておらず、統制されていない一般人が死の危険に晒されれば必然的にパニックが生じる」という観点から導かれたものです。
セッション中もどこか(たぶんチャット)で呟いた気がするのですが、間と場所が悪かった(そしてそれ以上に準備が足りなかった)ことに起因するものとご理解ください。
◆参考にしたものなど
GMが参考にしたのがLINTSさんも幾度か引き合いに出されていた『青藍の環』でした。
大規模戦闘のカオス、意のままにならないNPC、事前準備の重要性等々、戦闘の場を作るにあたって大いに参考にさせていただいております。
ヨハンさんにはこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございます。
だいたい『青藍の環』と「バトルテック」を足して2で割る(または割らない)感じになってればGMとしては大成功の部類なのですがどうでしょうか。