後始末

ラッシュ(夏季ごおり) 2011.11.03 [23:22]

「すまねぇ。逃がしちまったぜ・・・。」

 防衛が請け負った任務とはいえ、目の前でみすみす逃がしてしまったことに悔恨の念はある。

「しっかし、どれだけの戦力を持って嫌がったんだ・・・。」

 ゴブリン王だけじゃなく、その後ろに黒幕がいたんじゃないか? そんな気がした。

「人的被害がなくて何よりだったな・・・。」

 あれだけの戦力があったのでは、ねぐらを見つけたとしても手出しは出来なかったかもしれない。

ならば、調査よりももっと他の事をしていれば、あるいは村人にもっと協力を頼んでおけば、もっと戦局は優位になったかもしれない。

例えば、弓矢や投石器をかき集めるとか、作ってもらうとか、そういうことだ。

「ったく。自分の先見のなさにイライラするぜ。

今さら言ってもしょうがネェ事だけどよ・・・。」

 後悔先に立たず、ってヤツだ。

俺は借り物のメイスを門に立てかけ、地面に突き刺しておいたロング・スピアを手に取った。

>「寛容たる星王ラーダよ。
>敬虔たる貴方の信徒が、この様な蛮行に身を染める事をお許しください...」

 ガラフが祈りの言葉を口にする。

そろそろ"後始末"の時間だった。

「というわけだ・・・。

悪いが、死んでくれや。」

 祈りの言葉を俺なりに意訳して、告げる。

妖魔に共通語がキチンと通じたかどうかは分らないが・・・。

「あばよ! 恨むなら、あんたらの王を恨みな。」

俺は、槍を迷うことなく突き刺して回った。