戦場、二日後

GM(Lain) 2011.10.02 [03:07]

> 「一つはアルフレド氏、もう一つは我々が持つ事にして、
>  有事の際は鳴らす事にしては如何でしょうかな?
>  我々が鳴らせば、森で妖魔と遭遇したという事じゃし、
>  アルフレド氏が鳴らせば、村へ妖魔が来たという事になる。
>  合図は、遭遇ないし襲撃してきた方角を表す為、4通り考えるのは
>  どうじゃろうか」

「なるほど、理に適っていますね」

 アルフレドが頷く。

 ではボリス、お前のものを渡しておくように。
 デニスは決めた合図を忘れないよう覚えておけ。

 方角ごとの合図――吹く長さと回数で区別する――を取り決め、ボリスから笛を受け取った。

 衛兵が使う呼子であればよく通る音でもあり、ほかの音に紛れる気遣いもない。
 村の東の端からでも、これから向かう北西方向の牧草地の端まで聞こえることだろう。

※ ※ ※

> 「イアン氏よ。貴殿は森の案内及び足跡の捜索と罠の設置をお願いしたい」

> 「再び負傷する事があれば、ワシとクーフェリアス氏が癒しましょう。
>  危険の渦中に飛び込んでしまうが、頼りになるのは貴殿のみなのじゃ。
>  宜しく頼みますぞ!」

「わ、わかりました」

 負傷、と聞いて傷を負ったときの衝撃を思い出したのだろうか。
 恐怖は拭い去れない様子ではあるものの、だから村を出たくないとは言い出さない。

 やはり心中には何がしかの覚悟が生まれているのだろう。

※ ※ ※

 村に残るアルフレドと衛兵たち、それに村人に見送られ、一行は村の北西に位置する門を出る。

「だいたいこのあたりを通って逃げてきたんです」

 イアンはまず、己が一昨夜通った道を逆に辿ることにしたようだ。

「このあたりで親父と俺が怪我をして」

 そこは昨夜、チルグラが一度捜索した近辺でもある。

 イアンは村の方を一度振り返り、そして行く手の森を見た。

「こっちです。こっちから斧が」

 西を指差した。

 そのまま西へ向かうと、入り乱れた足跡が幾重にも重なっている。

「このあたりで家畜を襲いでもしたんでしょうか」

 たしかに血痕も残されており、蹄が土を抉った跡もある。

「逃げるとしたら西なんですが・・・・・・」

 斧が飛んできた方向、そしてガラフが妖魔どもを目撃した方角とも一致する。
 もうすこし西へ行ってみましょう、とイアンは言い、森へ向けて少しずつ進んでゆく。

 さらに西へ進むと、地面の様子がやや変わっているのが素人目にも解るだろう。
 このあたりはさほど踏み荒らされた様子はない。

「横に揃った足跡ですね」

 イアンが地面を調べてそう告げた。

「何種類か――3種類だと思うんですが、混じった足跡です。
 揃ってるから解りやすいですね。全部で5匹分かな。
 で、それがだいたい横に揃ってます。
 こう、こっちからこっちの線で並んでる感じで、村のほうへ向かってます」

 南北に広がり、西から東へ向けて進んだようだ、と彼は言う。

「帰りの――たぶん引き揚げるときのだと思うんですが、その足跡はバラけてます。
 北から北西へ向いてるのはバラバラなんですが、東向きは揃ってますね。
 それと、ああ、北西向きの足跡の方が上にありますから、やっぱりこっちが引き揚げるときのでしょう」

 一行は足跡を追って更に北に進む。
 ふたたび足跡の数が増えた、とイアンは言う。

「ううん、増えちまうと逆に解りづらいな・・・・・・正確な数まではちょっと。
 ただ、ここから西へ向かったことは間違いないです」

 ガラフが発見した妖魔がいたのはこの辺りだ。
 そしてその妖魔どもは西へ逃げた。

 イアンは森の奥、更に西の方へ目をやり、そして村を振り返る。

「あの」

 そしてイアンは済まなさそうに言った。

「柵の外へ出るのは明るいうちだけ、村が見えるところまで、と村長に言われてるんです」

 それ以上は行けない、ということなのだろう。

※ ※ ※

 チルグラの調査は、イアンの追跡と並行して進められた。

 樹木線に沿うように、その内外の足跡を調べる。
 概ね、イアンの説明は正しいように思われた。

 森に入ると足跡の鑑別は難しくなるが、チルグラの注意力は新たな足跡を見落とさなかった。

 ガラフが妖魔を見かけたという場所、そして西へ引き揚げたであろうとイアンが言った場所。
 その近辺に、新たな足跡がある――4種類目だ。

 チルグラはこの足跡の主を知っている。
 ゴブリンロード。フリクセルが言う上位種にあたるもの。

 その足跡は乱れたところもなく、樹木線のすぐ内側、森の縁に立っていたようだ。
 その場所からほとんど動いた様子はない。

 その足跡の隣に控えるように、これも動いた様子のない足跡がもうひとつ。
 こちらはゴブリンのそれであった。

※ ※ ※

 結局、妖魔どもは襲ってはこなかった。
 村から呼子笛の音が聞こえてくることもない。

 足跡を追ううちに陽は傾き、やがてエストンの向こうへと落ちてゆく。
 地平線の下に消えるまでにはまだ時間が残されているが、あたりは徐々に暗くなり、夜の――妖魔どもの時間の到来を感じさせる。

 ひとまずは村へ戻り、食事を摂るべき時刻だ。

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■GMから

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>みなさま

 イアンの追跡は、D4(門)→C4(襲撃地点)→B4(入り乱れた足跡)→A4(揃った足跡)→A3(さらに西へ続く足跡)というような順序で行われました。

 Lain@GM : イアン 足跡追跡ダイスその1 2D6 → 6 + 3 + (4) = 13
 Lain@GM : イアン 足跡追跡ダイスその2 2D6 → 1 + 4 + (4) = 9

 A3近辺で数がはっきりしないと言っているのは主に出目的な問題です。

 また、チルグラの調査により、ゴブリンロードがA3にいたことが判明しています
 ロードはA3でほぼ動いておらず、またロードにゴブリンが1匹張り付いていたようです。

 ターン2では特に遭遇はありませんでした
 また、村からの急報もありません。

 とりあえずターンの切れ間は村へ戻ることとしてあります。

 なお、イアンが村の外で協力できるのはこのターンまでです(少なくとも村長が前夜付帯した条件は以下のとおりでした)。

>  昼間、村からあまり離れなければさほど問題はありますまい」

 ・・・・・・これは前のレスで明示しておくべきだったかもしれませんごめんなさい。
 でもきちんと読んでいれば解っていた筈なので訂正や巻き戻しは行いません。

 どうしてもターン3にイアンを引っ張り出したければ改めて要請がなされるべきと考えます。
 内容と頼み方によっては協力が得られるかもしれません。

 

 さて、追って別カテゴリを用意します。
 ターン3の行動についてはそちらへ投稿をお願いしますね!

 なお、次の進行期限は10月3日22時を予定しています。