孤独?

カーツェナル(さの) 2011.06.03 [07:11]

 ボクが召喚した闇の精霊によって崩れた敵を、じっと見つめる。

 もう、動かない。

 負の生命の精霊も、もう感じない。


>「...ふむ、結局何だったのだろうな」
 
 セリトも皆も、正体が分からなかったなの。


 鍵も掛けられていない鉄の扉の部屋の中で、

 朽ちた調度品達に囲まれ、骨の従者を一体従え、ここに蹲って居た。


 どうして、ここに居続けたなの?

 だってここに来るまでの道には、石従者と竜牙兵以外の障害物なんてなかった。

 動こうと思えば、動けたはずなの。

 何が、貴方を此処に留めていたなの?


 部屋を見回す。

 朽ちた調度品は、机や書棚、それに羊皮紙の束。

 まだ形を留めている羊皮紙は、もう何が書かれてあったのかも読み取れる状態ではない。

 ここは、このコの、部屋?


 負の生命を持つ者は、その場に縛られるモノ?

 分からない。

 またボクには分からない事が多すぎるなの。


>「黒水晶...古代魔法王国人の成れの果てかな?」

 トロンさんが、額に嵌っている黒水晶を見て呟く。


>「古代魔法王国人はこの黒水晶を身につけることによって

> 魔力の塔と呼ばれるモノから無尽蔵の魔力を得ることが出来たらしいね。

> それがどういった方法で、どういった仕組みなのかは知らないけれど」

 そして、亡骸からその黒水晶を抜き取った。


>「誰にも省みられないこの場所にずっと独りぼっちというのも寂しいだろうし、

> 連れ出してみようかな。本意じゃないかもしれないけれど、そこは敗者の運命ってことで」


 そう、かな・・

 独りぼっち、だったのかな。


 小さな、白茶びた亡骸。

 寄り添うように、骨の従者。
   
 物言わぬ従者は・・居ないと同じ?

 
 分からない。

 最初の階層の、メガーヌ達さんが調べた部屋には、人の亡骸もあった。

 独りでは、なかったはず。

 それとも・・

 何かの事故で、独りに?


 こんな事を考えていたらガラフさんには叱られるのかな。

 だってこのコは、負の精霊を持つ者、不死者だったんだもの・・

 皆、傷を負った。

 ボクも、危なく戻れなくなる所だった。

 でも・・

 負の生命の力を感じない亡骸は、もう、闇の眷属ではないなの。

 永劫の時の呪縛から解放された者。

 

 背負い袋から、飴玉と、クッキーをいくつか取り出し、そっとその亡骸に添えた。


 ボクにして上げられるのは、これくらい。

 ボクは、その黒水晶がこのコだとは思えないなの。

 だって、それは"無尽蔵の魔力を引き出していた道具"なんだよね・・?

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 このコが持っていた剣は、トロンさんの手に渡った。

 魔法の発動体になる代物だという。

 古代魔法を行使するには、発動体と呼ばれる品を必ず装備する必要があるらしいなの。

 トロンさんは剣も使えるようだし丁度良い品なのかな。


 メガーヌさんが、この部屋の中から価値のありそうな品を見つけたみたい。

 青く、複雑な文様を纏ったインク壷。

 他には特に何もないみたい。


 部屋の奥にあるレバーを目指す。

「レバー、動かします」

 皆に声を掛けた。

 準備が整ったなら、ボクが動かすなの。

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PL:個人的な見方。

   どうしてそこに存在していたか、怪物判定失敗した事が悔やまれます。

   黒水晶の事も、カーツには分からないので、悩み込んで見ました。

   だんじょんが終わった時に、どんなネタバレがあるか楽しみです。

   そこまで考えてないよ!てのなら、それはそれで。