"蒼月"
カーツェナル(さの) 2011.06.09 [05:01]
重く頑丈そうな鉄の扉の前へと進む。
メガーヌさんはこの奥で何かの唸り声が聞こえたと言ってたなの。
セリトとメガーヌさんが協力し、鍵開けと罠の解除に取り掛かる。
扉の鍵は開き、罠も無事解除され、油を差された扉は音もなく静かに開く。
中に待ち構えていたのは、二匹の大型の黒い犬だったなの。
>「あれはヘルハウンドっていう異界の生物の一種だよ。動きは早いし体力も結構ある、
> 何よりあいつ獣の癖に火を吹くんだよね...前にそれで火傷したことがあるんだ。
> それにアイツは闇を見通す眼をもっているから、闇も効かない。
> 小細工無しの勝負になるよ。ちなみに火も効かない。可能であれば火を吹かれる前に
> 速攻で一体は潰したいところだね」
トロンさんが説明をしてくれた。
「ふぅん・・異界の・・生き物」
異界、という言葉に少しだけ疑問を感じる。
どんな所なんだろう。
何でそんなところに居たコが、ここに留まって居るんだろう。
>「・・・要するに犬ってことだろう?
> じゃあとっととやっちまおうかねえ!」
>「...そう言われると身も蓋もありませんな。いや、確かに見た目はまんま犬ですが」
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魔犬達はこちらに全く気付いていないみたいなの。
トロンさんが魔法を行使するらしい。
あの、雷撃の魔法を。
>「トロンの電撃を合図に、一斉に突っ込む、と。いいね、シンプルでさ」
>『万能たるマナよ! 雷槍となりて、貫け!』
素早く印を切り、呪文を紡ぐ。
あのコの使った魔法。
あのコが手にしていた魔剣。
だけど、魔剣の機嫌が悪いのか、詠唱が完成しても電撃は発生しない。
>「あれっ?」
>「・・・ま、そういうこともあるさ」
この機を逃しては皆が危険になる。
僕は"蒼月"を強く握り、一匹に狙いを定めた。
――行くよ、"蒼月"!
こちらに全く気がつかない魔犬達の隙を突き、一気に距離を縮める。
"蒼月"は狙い澄ました場所を確実に捉えた。
深く刺さったその蒼い三日月は、獲物の黒い皮膚の下に吸い込まれる様に沈んで行く。
ボクは力がない。
だから、身体をひねって回転させ、引き裂く事で殺傷力を増さなくてはならない。
しかし、今手にする"蒼月"は、それを可能にしてくれる代物だった。
突然の激痛に悲鳴に近い咆哮を上げる魔犬。
ルーサーンの先端でもう一匹の魔犬を鋭く突くセリト。
"蒼月"の攻撃にのた打ち回る魔犬に、
勢いを存分につけたモールを叩きつけて止めを刺すガラフさん。
メガーヌさんも力強く斧を振るい、切り付ける。
置かれている状況をやっと飲み込んだ魔犬達が、体勢を立て直す。
再び"蒼月"で切り込むも、今度は刃が通らない箇所に当たったようだった。
セリトがルーサーンを大きく振りかぶり、その打撃部分を強く叩き付ける。
魔犬はセリトの攻撃から逃れはしたものの、そこへ駆けつけたトロンさんに気付かなかった。
その手にはあの魔剣。
トロンさんの一閃を受け、魔犬は動きを鈍らせ・・
待ち構えていたガラフさんが大きく振りかぶり、容赦なく叩き潰した。
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>「...武器としては良いんだけど、発動体として使うにはちょっと練習いるね、これ」
魔剣を手にしたトロンさんが呟く。
やっぱり、それぞれクセがあるなのね。
"蒼月"もそう。
何だか機嫌が良い時と、悪い時があるみたい。
常に湿り気を帯びたその蒼い刃は血を吸う事はなく、
傾けるだけで、滑るように表面に付着しようとする血や脂を落として行く。
>「さて、何か値打ちモノはあるかな?」
見れば、部屋にはいくつかの武器が置かれてあり、その中には銀色に輝くモノも。
「使えそうな物、あるといいね」
そう言って、辺りを探し始めた。
でも。
やや気になっているのは魔犬の方・・
武器のことは、ボクにはあまり知識がなくて・・ちょっと気持ちが疎かに。
ヘルハウンドって言ったっけ。
このコの皮って剥げるのかなぁ・・
「ねーえ? ちょっと、このコの皮剥いで持って帰りたいんだけども、いいかな?」
何に使うかなんて、まだ考えてない。
だけど、狩った獲物の皮が使えそうなら、剥ぎ取って利用するのがボクのやり方。
食べれるものなら、その肉だって無駄にしちゃいけないなの。
・・・・・・・・・・これ・・・・・・・・・・食べ・・れるの・・かな・・?
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PL:はぢめてのアクアブルーで2回転♪(゚w 。)嬉しい☆