悪意再び

トロン（リュート） 2011.06.06 [21:42]

　カーツが金銀宝石の散らばる床に向かって弓を引き絞り、放つ。

　突き立つ矢、うねりだす床、暴れだす触手、踊る金銀宝石。

「ああ、やっぱりねぇ...なんというか似てるなぁ、この迷宮とあの迷宮」

　露骨に見せ付けてくる露骨な財宝、フロアイミテーターが動き出すと自動で鍵がかかる鉄格子。

　鉄格子自体に罠はなかったらしいから、床と連動でもしているんだろうか？

　踏むか、フロアイミテーターが動き出したら退路を断たれるとなると...なんとも悪趣味な罠だなぁ。

　悪意に満ちてる。

　そもそもこの部屋は何のための部屋なんだろうか？ この変な位置にある鍵穴の意図はなんだろう？

　作成に失敗した魔法生物でも廃棄する場所なんだろうか。あるいは侵入者の死体処理場？

　どちらにせよあまり良い想像はできない部屋だ。

>>「へーえ、あれがフロランタンってやつかい」

「フロアイミテーター」

　どっかと腰を下ろしたメガーヌの横に立ち、彼女の言葉を訂正しながら弓を引き絞り始めた銀月の面々を眺める。

>>「あんたもやるかい、暇だろう」

「ドワーフの火酒なんてやったら呪文を詠唱できなくなるよ...」

　苦笑いしつつ、先ほど手に入れた発動体の剣をゆっくりと振る。

「それに前に出会ったときはイーサン一人で一分かからなかったからね。そんなにゆっくりしている時間は...ほら」

　時間にして一分と少し、次々と放たれる矢に流石の魔法生物もたまらないのか徐々に動きが鈍り、やがてその身を崩して果てた。

　後に残るのは金貨銀貨と少し傷ついた宝石たち。

「さて、拾うくらいは手伝おうかな...」

　抜き身の剣で誰も傷つけないように気をつけつつ、古代の銀貨や金貨を拾い始める。

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PL欄

テッピンさんナイスダイス(｀･ω･´)