幸せに必要なのは愛情と少々の金。
ガラフ(テッピン) 2011.06.06 [19:33]
古代魔法王国の亡霊を弔った後、気持ちを新たに探索を再開する。
次の目標は、床にこれ見よがしに金品がばら撒かれていた部屋だ。
余りに露骨過ぎる故に、却って対策が絞り易かったのだ。
何より床全体から魔力を感じると言う―――怪しい。
頼れる我等が軍師殿の言葉を思い出す。
>「フロアイミテーターっていう魔物を知ってるかい?
> 床に擬態する魔法生物の一種でね、
> 生き物が足を踏み入れた途端獲物に絡み付いて、
> 絞め殺した上で消化してしまう魔物なんだけど...
> 金や銀、宝石なんかは消化できないんだよね」
「おお、その魔物なら知っておりますぞ。尤も、文献から得た知識なので
トロン氏の様に直接相対した訳ではありませんが。様々な物証を並べるに、
これはかなり疑いはかなり濃厚じゃな...」
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件の部屋の前に到着する。確認の為に、カーツェナルが矢を撃ってみる事になった。
「フロアイミテーターとかいう魔物なら、多分・・痛がると思うなの」
「うむ。それが一番手っ取り早いじゃろう。鉄格子の外からならまず安全じゃろうしな」
矢を番える。流れる水の様に弓を引き絞り、そして、放つ。
鋭く風を切った鏃は、硬い床に弾き返される...のではなく、吸い込まれる様に突き刺さった。
すると無機質な筈の床が、まるで生き物の様に激しくうねりだしたではないか。
>「...やっぱり、フロアイミテーター?」
>「へーえ、あれがフロランタンってやつかい」
「...だったようじゃな。トロン氏の<魔力感知>が無かったら、全員おいしく頂かれてたと
言う訳か。生きた心地がせんわい...あんな怪物と出会うのは、せいぜい書物の中だけに
しておきたいものだの」
推測通りの結果に、期せずして安堵の溜め息が漏れる。
しかし、一度開けた筈の錠前が、フロアイミテーターの活動開始と時を同じくして
閉じられたのをカーツェナルが発見し、一同の背中に冷たい汗が一筋流れる事となった。
>「中に入ってたら、出れなかった、て事だよね・・」
>「トロンが魔力の感知でしくじってたら、全員お陀仏ってわけだ。
> いいね、凶悪でさ。
> その分ネタがバレっちまえば哀れなもんだねえ」
ただ一人、メガーヌだけは緊張感のない事を言っていたが...
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事実を確認した所で、危険の排除に行動を移す。
中に入ると飲み込まれてしまう。
なら、活動を停止する迄、鉄格子の外から撃ち続ければいい―――。
>「さて...では安全と確認できた所で、針ネズミの作成に取り掛かろうか」
セリトとカーツェナルが弓を構える。
「ここはワシ等の出番じゃな。メガーヌ姉とトロン氏はしばしお待ちくだされ」
自分も背負っていた長弓を降ろて構えると、腰の矢筒から矢を1本取り出し、番えた。
「星王は野蛮な暴力は否定されるが、自衛の為の戦いは否定されておらん。
それに古代の魔法の罠にむざむざ喰われてやる程にはまだ達観も諦観もして
おらんでな。悪いが撃たせて貰いますぞ―――」
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あっさり終わるかと思われたフロアイミテーターの排除だったが、
魔法生物らしい豊かな生命力と、信じられないような動きとで
しつこく食い下がる。
放たれ続ける矢を触手ではたき落とし、身体を激しく変形させて避ける。
やっと活動を停止した際には、何十本もの矢が床に転がっていた。
>「お疲れさん。悪いね、弓もなくってさ、ははは!」
肩で息をしている我々に、メガーヌが労いの言葉を掛けてきた。
「この位は。姉には今までたくさん頑張って頂きましたからな。
トロン氏との酒盛りは楽しめましたかな?」
此方が必死に矢を放っていた真横で、懐から酒を取り出し飲んでいたのははっきりと
見ていたので、多少皮肉交じりに返事をしておく。これ位は言ってやってもよかろう。
>「さ、宝石の値踏みでもしようじゃあないか。たんまりありそうだよ!」
>「さて、あれだけ暴れてると宝石などは傷がついているかも知れないが、
> 回収するとしようか」
「そう致しますかな。星王は拝金主義を固く戒めておられるが、今回ばかりは
ワシも 労苦に見合っただけの報酬を貰いたくなっておりましての...」
自分には向かない作業と知りつつ、文字通り重い腰を持ち上げ、
金品の回収作業の手伝いを開始する。
すると、今までの苦難にラーダが恩情を下さったのか、宝石や金貨の類は
奇跡的に殆ど損傷のない状態で回収する事が出来たのだ。
「これは...日々の節制と奉仕が報われたという事かな。幸せに生きる為には
愛情の他に多少の金も必要、と星王も仰っておる事だし、ここは素直に
喜んでおく事にするかな!」
と、口では平静を保ちつつ、内心は大いに喜んでいたりする自分であった...
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PLより:珍しくガラフのダイスが探索に貢献した件について。