好事家達と小市民。

ガラフ(テッピン) 2011.06.12 [10:11]

結局カーツェナルの希望通りヘルハウンドの肉を回収し、先行していた3人と合流する。

非力な彼女ではそこそこ大きな肉塊は抱えきれないので、自分が持っていく。

...自分の優しさが恨めしい。

 

>「おう、カーツ。おかえり。

> 首尾はどうだったね?

> ああ、まあ肉だけでもいいんじゃないか。

> 脱出したら成功祝いに焼いて食おうじゃあないか、ははは!」

 

「姉も食うつもりですか!?なんと物好きな!!」

 

この一団においては、どうやら自分は少数派らしい...

 

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トロンの学識、セリトとメガーヌの経験を以ってしても魔物の正体は掴めなかった。

確実なのは、不死者ではない事と、何らかの魔法生物であろうという事。

 

>「さて、わからないぞ...どうしたものかな。また力押しか? うーん」

 

>「ま、力押しだな」

 

>「ああ、いいんじゃないか。

> じゃ、あたしはアレがこっちに来た時の為に待機してようかねえ」

 

「結局、散々話し合っても結論はいつも一緒な気がしますな...」

 

いつもの力押し。まあ、それがこの面々には一番良く似合っているのだろう。

 

>「よし、ここは魔法で押し切ろう。メガーヌの斧に火炎付与をかけて、

> あとは攻撃魔法で遠距離から撃滅と」

 

先のフロアイミテーターの時と同様、鉄格子を活かして魔法で一斉攻撃する事となった。

自分は有事に備えて<癒し>の祈りの準備に入る。

トロンが接近戦に備えてメガーヌの斧に<火炎付与>の呪文を唱える。

 

>『万能たるマナよ、炎となりて宿り、敵を討て!』

 

見る見る内にメガーヌの戦斧に魔法の炎が燃え上がる。

 

>「おおう、こいつはいいね。

> 前も使ったけどさ、死にぞこないどもにはよく効くんだよねえ」

 

「流石、古代語魔術の援護は頼もしい限りですな。今回、ワシは後ろに控えさせて

 頂くが、ワシの出番がない事を願っておりますぞ...」

 

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こちらが身構えるのを察したのか、黒い影が腐臭を伴いながら向かって来た。

戦いの始まりだ。

カーツェナルとセリト、二人の精霊使いが松明に揺らめく炎の精霊の力を行使すべく、

呪文の詠唱を開始する。

 

『火よ、火蜥蜴よ。

 願わくばその身、焔の矢と化せ。 立ちはだかる彼の者達に、焔の洗礼を』

 

『火の精霊よ、我が導きに従え、炎の矢となりて敵を撃て』

 

呪文は完成し、松明から放たれた炎が魔物に向かって真っ直ぐに伸びていく。

内1匹は激しく身を焦がし、その場に倒れ、燃え尽きていった。

しかし、

 

>「あれ?」

 

残るもう1匹に向かったのは、何故か途中で軌道を逸らし、激しく乱舞した挙句、

お互いぶつかり合って消滅してしまった。

 

>「...たーまやー」

 

その予想外の光景に、普段は寡黙で隙の無いセリトが半分呆けたように呟いている。

 

>『万能たるマナよ...光となり、穿て!』

 

初撃で仕留め切れなかった時に備えていたトロンが、

すかさず<光の矢>の詠唱を完成させた。流石油断がない。

セリトから放たれた光の矢は、白色の帯を視界に残して魔物に強かに命中し、

激しい輝きを残して消えていく。

 

>「浅いっ!?」

 

かなりの打撃だったが、まだ僅かに残していたようだ。

ガス状の身体をトロンに纏わりつかせてきた。咄嗟に口を押さえ、塞ぎ込むトロン。

だがそこに、控えていたメガーヌが紅く燃え上がる戦斧を叩きつけた。

炎に焼かれ、異臭を撒きながらくずおれていく魔物。

こうして、戦いは終わった―――。

 

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>「さて...何かあるかね、っと...」

 

異臭がまだ濃く澱んではいるが、早々に捜索を開始する。

この部屋はどうやら食料の備蓄場所だったようだ。

長い年月の間に木箱ごと腐ってしまったものも多い。

何か保存状態のよいものが残っていればいいが...

 

>「うーん...ケホッ。どうにもゴミばかりに見えるけど」

 

トロンは先程吸い込んだ魔物の気体のせで体調が優れないようだ。

どうにも集中力を欠いているように見える。

 

>「...右手でポカポカ、左手でポカポカ、みんな?ポカポカ......デストロォーイッ!」

 

>「くすくす・・セリトったら」

 

腐れかけた木箱を半ばヤケクソ気味に叩き、破壊してしまうセリトと、

その様子を微笑ましく見守るカーツェナル。

...微笑ましいのか、これは?

 

しかし、そのおのろけ気味の二人が保存状態のよさそうな酒を2本、発見した。

聞けば好事家にかなりの金額で売れるらしい。

酒は嗜む程度には呑むが、高級なものになるととんと疎いので、

二人の意外な見識に驚いてしまった。

 

「これは...正しく嗜好品、と言った風情ですな。

 500年前の銘酒...どの様な味がするか知識神の神官として気にはなるが、

 一杯の値段を考えると腰が引けてしまいますな。

 まあ、これは相応しい方々へ適正な価格で譲るのがよいのではなかろうか...」

 

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PLより:ますます加速していく不思議空間の件について。