闇を見据える

トロン(リュート) 2011.05.28 [20:53]

「......」

 闇の中に三人を送り出し、僕は自分の創り出した闇を見据える。

 深き闇――その中ではありとあらゆる光の存在は許されず、全てを覆い隠す。

 

 その中で響く剣戟の音、誰かの喝采、苦悶の声、啖呵。

 

「ふぅ...」

 まだ一分も経っていないというのに、この時間がやたらと長く感じる。

 状況が見えないだけに、叫び出したくなるような焦燥感に苛まれる。

 手にじっとりと汗が浮かんできているのが自覚できた。

 

 程なくして戦闘音が途絶える。

 

「......っ!」

 闇が解け、三人が立っているのが確認できた。

 セリトは怪我を負ったようだが、メガーヌとガラフは無事のようだった。

 大事無い様子にゆっくりと息を吐く。

 

「そうだね、もう少し行けそうだ。油断しないで行こう」

 メガーヌにそう答えながら、手をひらひらと振って汗を散らす。

 さぁ、次の階層だ。

 

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