さっさと行きやがれ!
ラッシュ(夏季ごおり) 2011.10.21 [00:54]
(――笛の音、だと!?)
クーフェリアスが吹いたのではない。
もっと遠く、恐らくは南門――。
>「ワシは...」
>「...南門へ応援に向かう!」
ガラフの声だ。
笛の意味するところが応援要請である以上、誰かが南門に向かわなくてはならない。
南門の状況は全く見当もつかないが、だからこそ、臨機応変に対応できるガラフは適任だった。
>「深追いするなよ?あくまで任務は防衛、村に被害なく、妖魔の数を
>減ぜられればそれでよいのだからな」
深追いも何も、そんなことができるほどの余裕のある状況ではない。
だが・・・。
「けっ。テメェなんぞいなくても、しっかり守りきってやるぜ。
さっさと行きやがれ!」
本当に、そんな余裕などありはしないのだ。
先ほどチルグラが眠らせたはずのゴブリンが一匹立ちあがろうとしているのが見えたのだ。
「リュエン! こっちは任された!!
あれを何とかしてくれ!」
まったく。不測の事態とやらは、どうしてこう連続して発生しやがるんだ?
>「いいか、死ぬなよ?蛮勇を誇らず、冷静さを見失うな」
「うるせえ! そっちこそ突っ走るなってっだ!
それより、アルフレドにヤバかったらもう一度笛を吹くように言っとけ!」
そうは言ったが、もしそうなった時、応援に行ける自信なんて、まったくこれっぽっちもないのだった。