今夜のこと

マルドル(LINTS) 2011.10.05 [01:08]

森の調査は存外に時間を食い、あっと言う間に日が暮れかかる。

  >「みなさんどうしましょう?

  >今の時間からではイアンさんに無理を言って罠を仕掛けるのも難しいですし

  >大人しく警備に付くのが無難だとは思いますが」

「そうだな、村へ戻ろう」

クーフェリアスの意見に同意し、皆で村へ戻る。
その道すがら私の申し出を受け調査した結果、新たな事実が判明した。
やはり、敵の数は12.二手に分かれて行動しているようだ。

「ありがとう、イアン。
 わざわざ寄り道までしてくれて、調べてくれて。
 あんたのお陰でいろいろ分かったよ、助かった」

若い狩人へ、礼を述べた。
しかし、なぜそんなに目をそらすのだろう。
私のは単に胸と足と腹が出ているだけだ。
色気ならチルグラのほうがあると言うのに。




村へ戻り、用意された食事を皆で摂る。

「うん、うまい。身体が温まるよ」

質素ながら心が篭っている。
何より、温かい飯を食えるというそのこと事態、大いなる幸せなのだ。


そして、ひとつの朗報。
もうひとりの狩人、クルトが帰村したと言う。

私達のフォローできなかった南側の森の話。
そして罠と聞いて、チルグラが興味深そうに質問している。

「私はマルドルだ。何かあったらよろしく頼む」

私もクルトへ簡単ながら挨拶をした。


その後、必然的に作戦会議となる。
今後の方針をどうするか。

守るために守るか、あるいは守るために攻めるか。
ガラフとラッシュの言葉は、自然にどちらかの選択になってくる。

「しかし、アジトの急襲か...面白そうだな」

ふふっとラッシュへ笑う。

「ガラフの言うとおり、野伏の技を持たぬ我々では
 敵の本拠地へ徒に飛び込むようなもんだが、
 『攻撃は最大の防御』とも言うしな。
 ただ、今はまだなんとも言えぬのが本音だよ。
 ガラフの意見に近しいと述べておこう」

「そしてガラフの言う敵がアジトを変えてくるかどうかだが、
 ラッシュの言うとおり、確証がない。
 もし南方から襲ってきても、ねぐらは同じで単に攻撃場所を移動しただけかもしれん」

「どっちにしても、門外で動くのは明日の朝だ。
 しかし、この夜の時間を無駄にする理由も無い」

「今はまだ推測だらけだが、ただひとつ、分かっていることがある。
 ――『妖魔は、必ず村に来る』。
 人間を刺激すれば、自分達が殺されるかもしれぬのに、な。
 それだけ切羽詰った事情があるんだろう」

「敵は真っ先に、家畜を連れてったんだよなあ。
 要するに食いもんを欲している。
 この前連れ帰った家畜、ぼちぼち食べつくしてるんじゃないかなあ」

「何度も同じ場所――つまり、牧草地近くへ来るとなれば、
 奴らの目的は家畜だと分かる。
 こちらにも策が講じられよう。
 場所を変えて現れるとか、より積極的に動き出すとなれば、
 食料をより強く欲するか、あるいは別の目的も考えられよう」

ガラフとラッシュへ、笑う。


「なあ。この夜は奴らの『行動の検証』といかんか?
 単に守るだけでも待つだけでもない。
 奴らの好きに動いてもらって、手の内を見せてもらうんだ」

「これまで通り、家畜狙いの牧草地か、
 あるいは迂回して南側へ現れるか。
 昨夜のようにただの見張りか、それとも――村を襲ってくるか」

「あえて、動いてもらう。
 もちろん、村へ危害を加えようとしたら
 全力で阻止するがな」

「夜にこちらから確認できずとも、朝を待って足跡を見ればいい。
 それだけ敵の動きが、より明確になるはずだ」

「せめて今日中に鳴子を仕掛けられればよかったが、
 調査だけで半日かかっちまった。
 明日はまる一日使えるし、クルトという助っ人も来てくれた。
 動きに余裕はできるだろう」

「ただ、今夜の敵の出方次第じゃあ、考えを変える必要もある。
 こっちの思いも寄らん行動を取ったり、
 防柵を乗り越えかねんほどの攻撃が来たら――」

いろいろ、腹を括らにゃあな。

どっちにしても、夜に出来ることは限られている。
ならば、出来ることを最大限に行うしかない。

「"姿隠し"の魔法が使えりゃ、
 妖魔の近くまで行って様子を見れたんだがなあ」

思わず呟いた。



やがて、それぞれ持ち場へつく。
休むもの、見張りにつくもの。
「クーフェリアス、リュエン。あんた達はどうする?」

それから

「チルグラ。小石にライトの魔法をかけて、もっていてくれるかい?
 光の漏れないよう小袋に入れて、いざとなったら
 どこでも投げられるようにすればいいんじゃないか?」

と、彼女へ提案してみた。
精神力を使うのは彼女自身の負担になる。
だから、判断は委ねることにした。




今夜もガラフと共に寝ずの番をする。
篝火の指示をするアルフレドへ

「火は、より多く焚こう。
 夜の闇は、そうでなくとも人の心に不安を与える。
 光は、敵に我々の警戒をアピールすると同時に、
 不安に怯える村の女子供を幾らか安心させてくれよう」

そう伝え――

「――そうだ、仮に牧草地や森の近くで、
 夜、我々冒険者と妖魔が衝突する事態となって。
 『明かり』の支援は可能だろうか?
 松明を投げる、あるいは火矢を射掛ける等の行動は、できるだろうか。
 もちろん、距離の問題もあるから無理にとはいわぬが――」

ふと思い立って、質問をした。


PL>
ラッシュ案、ガラフ案面白く拝見させていただきました。
マルドルとしては「どちらとも言えない」と言うスタンスですが、
賛成は状況次第、という形でしょう。

3?4ターンは寝ず番します。
見張りというより、より積極的な観察に軸をおきたいと考えています。
敵の現れた西側方向をメインに見ます。
南側からの攻撃があるなら、今夜にでも兆候を残すと思いますし。

チルグラには、ライトの小石を作ることを提案します。
我々の光源確保でもあるし、敵側に投げれば視界が広げられますしね。
この点は、ぱんこたんの判断に任せますー。

アルフレドへの質問も、光源に関してのものですね。
もし今夜、襲撃が来たことも想定して、
せめて光源の確保だけでもしっかり決めておきたいと思ってのことです。
敵さん、明日なんて待ってくれないしね(笑)