夜明けまで
GM(Lain) 2011.09.24 [01:16]
チルグラとガラフは、北西の門――柵外の耕地と牧草地へ通じる門から外へ出る。
畑からも牧草地からも、晩夏の虫の声が聞こえる。
虫たちの声と、そして時折吹く風に草木の葉が揺すられる音のほかには何も聞こえない。
ガラフの持つ松明の明かりが届くのはせいぜい10歩ほど。
チルグラにとっては、その先は全くの闇だ。何も見えない。
ガラフは闇を透かして牧草地を、そしてその先の森を見据える。
怪しいものはなにもない。
少なくとも先ほどのように、妖魔どもが出歩いているということはなさそうだ。
イアンとヨーセフが妖魔たちから斧を投げつけられたという場所のやや手前、丈の高い牧草の根元に、チルグラは粗末な手斧を見つけた。
半ば錆びた鉄片を木の棒に括りつけたような代物で、お世辞にも真っ当な出来とは言いがたい。
だがそれでも刃はそれなりに研がれており、当たり所が悪ければ酷い怪我を負うことになるだろう。
斧の刃に血はついていない――外れたもののようだ。
イアンとヨーセフが襲撃を受けた現場には、数多くの踏み跡が残されていた。
踏みしだかれた牧草に、かすかに血痕が残っている。
ここに斧は落ちていないようだ。
持ち去られたのか、それともどこか見えづらい場所に落ちているのか。
チルグラの見るところ、足跡は3種類。
コボルド、ゴブリン、ホブゴブリンのそれだ。
正確な数までは解らないが、イアンの語った『5』という数字から大きく外れたものではないだろう。
足跡は入り乱れており、明確な進行方向を見定めることは難しい。
もしそれを調べるのであれば、さらに奥へ、森のそばへと歩を進める必要があるだろう。
それは、夜が明けてからのことになるだろうか。
※ ※ ※
もしマルドルが防柵の検分をするのであれば、防柵は全体として概ね良好な状態に保たれていると判断できるだろう。
ただし仔細に調べれば、村人が言っていたように、ところどころ脆くなっている箇所は見受けられる。
風雨に晒され、あるいは虫に食われて木材が腐りかけている場所。
家畜が身体をこすりつけでもしたのか、体重をかけるとややぐらつく場所。
そのように脆くなっている箇所は全体の長さに対して2割を下回る程度だろう。
遠目に見てわかるものではないゆえ、脆い箇所を狙って仕掛けることも不可能だ。
補修にかかる手間は、すべての場所を補修するとして10人で半日がかり、といったところだろうか。
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■GMから
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第0日ターン4の行動に対してざっくりとレスであります。
>ぱんださん、テッピンさん
チルグラが複数の足跡(コボ、ゴブ、ホブ)と手斧1つを発見しました。
宣言の意図として「なるべく柵から離れたくない」というものがあると判断し、深追いはしていません。
最大進出範囲はイアンとヨーセフが妖魔に襲われたあたりまでを想定しております。
>LINTSさん
マルドルの行動について最終的な決定がなされておりませんがとりあえず進行しました。
マルドルがガラフとチルグラのフォローをするのであれば後段は無視してください。
フォローと防柵のチェックは両立できません。
結果を見てからではアレかもしれませんが、当初予定されていた行動をした、という形にしていただければと思います(無茶振り)。
防柵の破損については、ゲーム的に申し上げれば
「強度が通常の半分程度の箇所がある」
「攻撃側は事前に脆い箇所を知ることができない」
「攻撃して脆い箇所に当たる確率は1/6」
という感じです。