奇跡ふたたび
GM(Lain) 2011.09.18 [23:36]
> 「ワシはフリクセル子爵の命を受けただけに過ぎん、礼には及びませんぞ。
> それに困っている者も見過ごすのはラーダの、いや、光の神々の教えに
> 背きますでな...星王は懸命に困難に立ち向かう者を、けしてお見捨てには
> なりませんぞ!」
ガラフの言葉は彼らに正しく理解されたのかどうか。
だが少なくとも、力づけようという意志は伝わったに違いない。
そして何よりも、彼らにとって最も大切な一人の生命が救われた事実は揺らぐものではない。
妻の涙は止まることがないが、それでも随分と落ち着きはしたようだ。
※ ※ ※
> 「さて...息子殿。
> もし見ていたのなら、教えて頂きたいのだが。
> 父上に此処までの深い傷を負わせた相手の風貌を、出来る限り詳しく
> 知りたいのじゃ。もし分からないなら、見ていた者を紹介してくださるのは
> お願い出来ますかな?」
思案顔になった息子に、クーフェリアスが声をかける。
> 「その左腕、良ければ私で治しましょうか?」
「は」
声をかけられた彼は、びくりと振り向いた。
「あー・・・・・・あなたも、なんですか」
奇跡を行使できる神官は決して多数派というわけではない。
彼らは自分たちがどこにいるか知っている。街から離れた、山あいの小さな村なのだ。
そんな場所に奇跡を行使する神官が複数いる、ということ自体がそれこそ奇跡のようなものなのだろう。
> 「では左腕を」
その言葉に答えて包帯を取り、傷口があらわになった腕を差し出す。
父親のそれとは比べるべくもない傷だが、やはり痛むのだろう、包帯を取る折にはかすかに顔をしかめた。
血は止まっているものの、傷口はいまだぱっくりと口を開けており、その周囲は赤く腫れ上がっている。
そしてふたたび、治癒の奇跡。
見る間に傷口が塞がり、腫れが引き――日に焼けた肌にうっすらと白い跡だけを残し、傷が消えた。
傷口のあった箇所に触れ、左手を握り、開き、息子の顔に驚きの表情が広がる。
彼は慌ててクーフェリアスに礼を言い、頭を下げる。
母親に左腕を見せて母ちゃんこっちも治っちまったよと嬉しそうだ。
――ようやく涙を止めることに成功した母親の涙腺がふたたび決壊したことは、言うまでもない。
※ ※ ※
> 「これでもう大丈夫でしょう
> 後は破傷風の恐れもあるのでアルニカでもあれば飲んでおいた方がいいんですが...」
「あー、昨日もハショウフウがどうのって言われて酒で傷口洗ったんです」
あれは沁みたと顔をしかめる。
「アルニカ、ですか」
明日、長にでも聞いてみましょう。
どの道、夜のうちは村の外にゃ出られんですからねえ、と彼は言った。
※ ※ ※
一騒ぎが鎮まってのち、息子(イアンというそうだ)がガラフとクーフェリアスの質問を思い出した。
「ええと。
親父に怪我させた相手ですか・・・・・・」
開け放したままだった扉から、先ほどとは別の村人がひょいと顔を覗かせた。
「イアン、長が呼んでるってよ――あれおめえ腕はどうした」
いやそれが聞いてくれよ、この人――じゃなかったこちらの神官様が。
畏敬の視線からは、当分解放されそうにもないようだ。
-------------------------------------------------------
■GMから
この記事への返信は「120_ハルストレーム」カテゴリにチェックを入れて投稿してください。
村人「あ・・・ありのまま今起こったことを話すぜ!
『どうせ助からないだろうからと坊主を連れて行ったら坊主がヨーセフを治しちまった』
ついでにもう一人の方が倅の怪我まで治しちまったらしい
何を言ってるのかわからねーと思うがおれも(ry」
イメージとしてはだいたいそんなかんじです。
ありがたやありがたや。
>みなさま
ひとまずここでこのシーンは切って、呼ばれた息子はマルドル&村長と合流ということにしましょう。
ターン4休憩組はそろそろ飯食って寝てくださいねー。
>ラグランジュさん
破傷風とアルニカのチェックは問題ありませんです。
むしろセージっぽくて大変よろしいのではないでしょうか!