深更の援軍

GM(Lain) 2011.09.15 [23:46]

 村内にはそこここにかがり火が焚かれ、農具や棍棒を持った不寝番の男衆が森の方を警戒している。
 一言で言って物々しい雰囲気だ。

「入ったら門を閉めろ」
「あいつらは来てないか」
「村長のところへ人を遣れ」

 村人の間では、そんな言葉が低い声で交わされている。
 声を聞きつけて家から出てくる者もおり、周囲は徐々に騒々しくなってくる。

 深夜とあって集まる人数はさほどのものではないが、それでも集まってきた村人たちは武装した一行を頼もしい援軍と見たようだ。
 携えた武器を見てはやれ槍だ剣だと言葉を交わし、あの杖は魔術師かあの鎧は騎士様かと囁きあう。

 人々のざわめきに触発されたか、家畜家禽の類も騒ぎ出した。
 村人に聞けば、昨日の襲撃以来、無事だった家畜の類はすべて防柵の中へ入れているという答えが返ってくるだろう。

※ ※ ※

 周囲に視線を転じれば、村の様子が見て取れるだろう。

 真夜中の暗がりとあって家の数までははっきりしないが、おそらく規模は数十戸。山あいの村としては大きな部類に入るだろう。
 目に入る建物やその周囲の様子を見るに、暮らし向きは悠々というわけではなさそうだ――山あいの村としては普通のことではある。

 家や納屋、牧舎など、建物は全般に頑丈でどっしりとした作りのようだ。
 村人が裕福なわけではない。
 そうでなければエストン山中の冬を越すことができないからだ。

 村の周囲には丸太を組んで作られた防柵が備えられている。
 高さは人の背丈をやや上回る程度、木組みは密にしっかりと作られており、たとえ子供でも木組みの隙間から出入りすることは難しそうだ。
 横木があることから、そこを足がかりに柵によじ登ることはさほど難しくはないだろう。

 村人の言葉によれば、暇を見て手を入れてはいるが、雨風に晒されて丸太が朽ちかけたり山羊や牛が身体を擦り付けて杭が抜けかけたり、で脆くなっている部分はそこかしこにあるのだという。

 すぐに倒れるほどのところはない様子だが、注意する必要はありそうだ。

※ ※ ※

> 「私はガルガライス出身、ミスルトゥのマルドル。
>  子爵殿より妖魔退治の依頼を受け、アルフレド殿と共に参った冒険者の一人だ」

> 「夜遅く、予断を許さぬ状況の中、手数をとらせて申し訳ないが、
>  村長殿と話をする時間を許していただけぬか」

 マルドルが声をかけた村人は、待っててくださいと一言を残して村の中心部の方へ駆け去った。

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■GMから

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 やや中途半端な切り方ですが、村の様子の描写などを。
 村長との会見は別途レスいたします。

 いや全部まとめようと思ったら予想を超えて長くなったものでっ