ふたたびの別れ

GM(Lain) 2013.04.02 [07:43]

 北西へ向かっていた4人が山道の分岐点まで戻ったとき、そこに人の気配はなかった。
 無理からぬ話であろう――東の山道をそのまま下りたならばともかく、北東へ向かった3人は道を外れ、森に入っている。
 回り道にもなろうし、森の中を進むのはそれだけで余分な時間がかかる。

 少なくともあと四半刻、どうかすれば半刻ほどは合流が遅れることとなろう。

 無論、合流できるのは双方無事であることが必須の条件ではある。

 だが、それを疑う者はいなかった。

※ ※ ※

 合流がわずかとはいえまだ先であるならば、その間にも為すべきことはある。

 ヴェンは村へ走った。
 従士ふたりに急を報せるためだ。

 戸を叩くヴェンの大声に、家の者まで起き出してきたのはご愛嬌、といったところか。

「どうしました、なにか出ましたか」

 ボリスが顔を見せる。
 既に革鎧を着込んでおり、夜中に起こされたにも関わらず眠気のあるところを見せないあたりは流石と言えた。

> 「村に妖魔が10体。巨人が2、3体こちらに向かっている。あと2時間ぐらいで来ると思う。」

「巨人、ですか――」

 わずかに遅れて現れたクラエスが顔をしかめた。
 一体ならばまだしも、複数の巨人に妖魔の群れとなれば村を壊滅させるには十分すぎる脅威である。

> 「俺らは、こいつらを撃退するつもりだが、相手が相手だからな。村の撤退の最終判断はお願いするぜ」

「わかりました。どうか無事で戻ってください。
 俺たちはすぐに避難の準備にかかります」

 頷き合ったふたりは、声を落として冒険者たちに言った。

「1刻です。最低1刻あれば村人に死人を出さずに済みます」
「どうしても無理なときは無茶せんでください。命はひとつっきりっきゃねえんだ」

 頼みましたよ、と、そこだけは村人たちにも聞こえるような声で言い、ふたりはヴェンを見送った。

 冒険者たちには冒険者たちの、従士たちには従士たちの、これから戦いが始まるのだ。

※ ※ ※

 合流を果たした冒険者たちは、戦力を二分することを決めた。

 東側、オーガーとダークエルフには練達の3人。
 西側、妖魔どもには野伏の技をもつ4人。

 冒険者たちは二手に分かれ、ふたたび東西に散る。
 迎撃すると決めたからには、勝てる時と場所を選んで仕掛けねばならない。

 東は渡渉点。
 西は森林線。

 準備のための時間は、刻々と少なくなってゆく。

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■GMから

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 なお、次の記事からふたたび二手に分かれます。

 ・現在時刻:午前1時半(明かり発見から4時間半)
 ・尾根を下りつつあるなにかがA地点に到達するまで:約1時間半
 ・現在の冒険者の位置:A地点

 ・A地点 → 村 の移動所要時間:15分(ヴェンが伝令済)

 ・A地点 → 渡渉点 の移動所要時間:30分
 ・A地点 → 森林線 の移動所要時間:30分

 ――というわけで、迎撃予定地点へ到達後、敵が来るまでには30分しか残っておりません。
 迎撃予定地点への敵の到達時刻がA地点到達の30分前(午前2時半)、冒険者の到達時刻が現時点の30分後(午前2時)です。

 ただし、東側はいくばくかの遅延が予想されます(達成値15の時間稼ぎ用トラップとかありますしね!)。
 陽動として焚いた火も併せて、それなりの時間は稼げていることでしょう。具体的にはたぶん30分くらいです。

 東側の1時間、西側の30分をどのように使うか、それぞれのカテゴリに書き込みをお願いいたします。


■所要時間とその低減
 行動にかかる時間はおおむね次のとおりです。

 ・カモフラージュなど、身を隠すことを試みる:10分
 ・簡易な罠を作成・設置する:ひとつにつき10分(※)
 ・複雑な罠を作成・設置する:ひとつにつき20分(※)
 ・薪を集めて火をつける:充分な大きさ・明るさのものひとつにつき10分

 一度探索した場所については、それぞれ所要時間が5分ずつ少なくなります。
 身を隠すのに適した場所、充分な量の薪が得られそうな場所、罠の設置に適した場所などの情報を得ているため、とご理解ください。
 探索したか否かの判定は、パーティ全体について行います。
 自分が足を運んでおらずとも、誰かが行き、情報の交換を行っていれば問題ない、ということですね。


■明かりについて
 カモフラージュを除き、これらの作業には明かりが必要です。
 複数人で手分けして罠を設置するなどした場合は、それぞれに手許を照らせる程度の明かりが必要となりますのでご注意くださいませ。

 誰が・どのような明かりを持つのか、それを作業後どのように扱うのか、戦闘時はどのようにして明かりを確保するのか、これらを含めて明示をお願いいたします。


■補足
※罠の設置について
 罠の種類と設置について補足しておきます。
 罠ひとつ、とは、たとえば草を1か所結ぶのにかかる時間が10分、という意味ではありません。
 敵のうち誰かひとりがそれなりの確率でひっかかりそうな数の罠を、適切な場所を選んで設置するのにかかる時間が10分、という程度の意味合いです。

 簡易な罠は発見されやすく(被発見判定に修正+1)、効果も高くはありません(転倒または固定値の小さなダメージ)が、数を仕掛けることができます。
 複雑な罠は発見されにくく(被発見判定に修正-1)、効果もそれなりにあります(転倒+小ダメージ、r0+該当する技能レベル+器用度ボーナス、クリティカル値10の魔法扱いダメージなど)が、仕掛けるのに時間がかかります。