猟師たち
GM(Lain) 2013.03.03 [04:50]
> 「猟師の皆様、わたくしはバーラーと申します。よろしくお願いします」
集まった猟師たちは、は、どうもご丁寧に、と頭を下げた。
なにを問われるのかと構えたふうでもあったが、相手が女性であることもあり、幾分か場の空気が和らぐ。
> 「皆様が使われている、罠や休憩の場所、隠れる場所、洞窟、木の穴など書かれた地図はございませんか?」
「いや、地図みてえなもんは――」
猟師には猟師仲間で通じるランドマーク、たとえば目立つところでは尾根の岩峰や森の中の大木などなどがあり、大概は「どこそこの近くのアレ」で通ってしまうのだという。
「あそこの近辺に罠を仕掛けたから近づくな」であるとか「あの尾根のどこそこが崩れてたから気をつけろ」とか「森のあのあたりで最近熊が出たらしい」とか、その程度で済んでしまうものであるらしい。
「ただまあ、だいたいどのあたりかは教えられますよ」
狩りの拠点とする小屋、罠を仕掛ける場所、避難場所としての小さな洞窟、水場などなど。
聞き取りながら、地図上に情報を落とし込んでゆく。
思ったとおり、それは時間のかかる作業となった。
※ ※ ※
> 「それから、大きい生き物と妖魔が現れた時期は一緒かしら?」
問われた猟師たちはうーん、と唸る。
妖魔が出ること、それ自体はさほど珍しい話ではない。
年に一度や二度はそういった話が出るからだ。
「増え始めた時期からしばらくして、でけえのを見た、ってとこですかねえ」
目撃者の話を総合すれば、だいたいそのようなところになるだろう。
妖魔が例年よりも頻繁に目撃されるようだ、という話が出たのが一月半ばかり前。
巨人が目撃されたのが一月ほど前。
巨人が目撃された頃にも、妖魔の目撃例はあった。
「そのあとはだんだん森へ入らなくなってるんで、あんまり――」
遠目に目撃する程度であればよいが、遭遇が頻繁になれば出会い頭に行き合ってしまう可能性もそれだけ高まる。
であるがゆえに、危険を避けて森に入らなくなっている、というのが近況のようだ。
> 「妖魔の中にもちょっと違う者もいましたかしら?」
「――?
ちょっと違う、っつーと・・・・・・?」
妖魔は妖魔でしょう、という答えが返ってくる。
知識のない者が、間近で見たわけでもない、となれば、情報の精度というのはだいたいその程度のものだ。
※ ※ ※
村の様子や生活のための場、特産品や収穫の時期。
そういった話――いわば世間話のようなものには、猟師たちは生き生きと答えてくれることだろう。
特産品の話ひとつ取っても今はあれが美味いいやこれもいい、もう少し遅ければあっちが、といった具合で、妖魔の話題のときとは打って変わって賑やかになる。
村の様子を問えば、やはり女子供が不安がっている様子だ、ということはほぼ全員が一致して口にする。
「収穫がぜんぶ一通り済んで、冬の入り口くらいにね、祭りをやるんですよ」
楽しみなことは、と問われた猟師はそう答えた。
森と土の恵みに感謝するための祭りであるという。
「妖魔どもさえいなきゃあ、賑やかにやれるんでしょうが――」
今はどうにもそんな雰囲気じゃあねえですからねえ。
どうしようもないことではあっても残念だ、そんな風情だった。
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■GMから
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ひとまず短レス、バーラーの聞き込み編です。
もろもろ情報が集まった、としておきましょう。
小屋は北西方向の森に2箇所、北東方向の森に1箇所あるようです。
水場は小屋周辺のほか数箇所、避難できそうな洞窟もいくつか、といったところでしょうか。
マップへの落とし込みはすみません後日で!