ローナムにて
アイリス(一葉) 2013.02.19 [00:52]
手を振ったあたしに、クラエスという従士が反応した。
多分だけど、エリクセンの手前バレないようにしながらもそうしたっつー事は、お人好しか、伊達男か。
一方のボリスの微妙な顔。真面目か、堅物か。
なかなか面白そうじゃんか。
* * * * *
エリクセンとの質疑応答は続く。
まず、直近二週間に大事がない事に一安心する。
だがローナムにおいても妖魔の出現場所の傾向に目安は付けられていないようだった。
情報が足りないのか、散見し過ぎているのか。何にしろ現地での話に期待する他はない。
> 「――かく言う私も、貴公らの歳の頃に、斥候に出て敵を見誤ったことがある」
> 「あれ以来、情報の確度というものに対して随分と慎重な考え方をするようになったものだ」
「分かります分かります。村では『猪が出たぞ!』って隣村から逃げてきた豚だったなんて事もあったので」
しみじみと分かったような顔で頷いておく。
ちなみにこのどーでもいー昔話はウソである。同意しておく事で相手の共感を得るという姑息な話法だ。
他の雇われ冒険者間との協力についても問題なし。一振りの短剣を受け取る。
しかし上手くすれば捜索範囲を絞れるだろうとはいえ、全組がラデクより先、フリーダー川方面へと送られているようだった。
正直に言えば、この時点で彼らとの連携はかなり困難とあたしは判断した。
> 「それからもうひとり。
> 冒険者の募集に応じてくれた者があるそうだ――そうだ、というのは、
> 今日準備をして明日ここへ来る予定になっているからなのだが。
> よろしければ貴公らに同道させ、ラデクでの捜索に当たって貰うこととしたい。
> ルーンマスターだと聞いているが、貴公らに不都合はおありかな?」
> 「ほう、ルーンマスターですか
> そりゃありがたい」
「ございません。助かりますー」
あるはずもなく。強いて言うなら、馴染める人がいいなあぐらい。
あたしらの中でも筆頭格のルーンマスターであるミルが同意するぐらいだから間違いなく助かる話だ。
> 「挨拶には手土産が必要ではないかと思うのだが。
> ――ああ、度を過ごすなと私が言っていたと、そう伝えていただきたい。
> 彼らふたりであれば言うまでもないことだろうが」
> 「訪ねるも呼び出すも、ご随意にされたがよかろう」
> 「よろしければ・・これしか御座いませんが」
そして従士に会っておきたいという件については、まさかの手土産を頂いてしまう始末。
一瞬報酬から天引きかとも思ったけど、きっと好意。うん好意。甘えよう。いいお酒みたいだし。
バーラーはチョコレートを取りだしてみせる。......それ、アリじゃないかな。
「ではありがたく。感謝します。
ねえバーラー。余ってるなら渡してみたら喜ばれるんじゃない? 一緒に行ってみない?」
贈り物をもらって嫌がるヤツなんて、そうそういないっしょ。
あとヴェンが酒瓶を見てる気がするんだ。後で一緒に行く? とジェスチャーで誘っておく。
とりあえず、湯浴みでもすっかー。
考えをまとめながら湯につかってぶくぶくするのも悪くない悪くない。
うんそうだ。ぶくぶくしてこよう。
ミルとエリーズも従士ん所行くか聞いておこう。
セクトールは、エリーズが行くならエリーズから誘うだろう。ばくはつしろ。
* * * * *
> 「俺はもうアイリスが言うようにバレないように巣穴を見つけるのが良いと思ってる。」
> 「セクトール、ミル、アイリスはどうする?」
> 「せやな......まずは、村人の避難体制を作るのが第一や思う
> 村をすぐ去れとは言わへんけど、わーっ、ときたらきゃーと逃げまどう、じゃぁあんまりや
> それかに、巣穴探しになるか
> 狼煙は、村人の避難合図にも使おう
> そっから先はアイリスと一緒
> 巣穴を見つけて、報告
>
> 問題は、遺跡なんかがあった場合やなぁ
> 入らへんとおるかもわからんし
> その場合は、見つけたらすぐ避難実施と騎士団応援頼もう
> もっとも、ウチらが無事生きて帰ることができるのんが大事なとこやけど」
「村人の避難ねえ。荷馬荷車の類にはできるだけ老人女子供を乗せ、
荷物はできるだけ持たず、持つとしても金品の類といくらかの種籾とかに制限させて、
『ローナムの騎士エリクセン殿を頼れ』つって一筆状況をしたためた羊皮紙でも渡すぐらいかなあ」
「狼煙については、やっぱり期待しない方がいいと思うんだ。
あくまでも『襲われたよ!』っていう表明ぐらいにしかならない気がする。
狼煙の伝達に伝令要員を使うのは上手くないハズだよ。
だって騎士が到着するには向こうに即情報が伝わっても結局2,3日かかるらしいから、
2,3日が4,5日になっても間に合わないっていう事実に変わりはないんじゃないかな」
「ボリスとクラエスの配置は、あたしは二人ともラデクでいいと思う。
シリルに一人置いておいて役に立つ可能性は、狼煙での情報連絡を使った際に1日稼げるぐらいかな。
それよりラデクに2人居てもらって、2回細かい情報を送れる機会を設ける、
もしくは最悪の避難民誘導に少しでも多くの人出を用意した方がいいと思うんだ」
「あとは野営でも言ったけど、ラデク行って情報集めて巣穴探す、としかあたしからは言えない。
ミルの言うように遺跡でもあった日には困ったモンだけど、
人里近くに未発見の遺跡なんぞそうそうないだろうし、
あったとしてもやっぱり妖魔がいるか痕跡探して痕跡あったら即報告でいいと思う。
今持ってるピースで考えられるのはこんなぐらいじゃないかな。何かあったら言ってくれれば考えるよ」
そう、あたしの見立てではまだ「はじまり」の段階に過ぎないと思うんだ。
起承転結で言えば起。ラデク到着っていう承に入らないと、これ以上は現時点では断定できない。
* * * * *
その後、行くと言った皆で従士ボリスとクラエスを訪ねる事にした。
ドアをノックしてとんとーん。
「もしー、エリクセン様から紹介頂いた冒険者のアイリスと言いますがー。
ボリスさんとクラエスさんおられますー? ちょっとお話しませんかー?」
ドアが開いてどちらかの顔が見えたら、イタズラに笑って酒瓶を掲げて見せるのだ。
反応から人となりもいくらか見えるに違いない。
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PL@一葉より:
色々ダラダラと。現時点で私からエリクセンさんに話す内容はなくなりました。
> 杖
LainGM許可ありがとうございます!
戦闘で使うなんてもってのほかです! ゼロダメージ与えてボキィッと折れるはずw
> シモンさん
私個人としては「不利益を考慮した上でのロールプレイ」は面白いのでドンとこいです!
生死に関わりそうになったらアイリスは止めるでしょうが、それまでは止めもしません!
あとは他の皆さん次第という事で。
> 従士さんこんにちは
来たい方はどうぞ来て下さいませ!
> 今後
移動になったらやはり次の事を能動的に注意します。
・妖魔ないし怪しい姿を目撃しないか。
・道の整備状況。
・川の大きさや流れなどの規模。橋の作り。
・森の深さ。
・山の険しさ。
・シリル(ないしラデク)の人口などの規模。
・シリルで時間があれば、例年と今年の妖魔出現状況の聞き込み。
・シリルに雇われ冒険者たちがいれば、接触と情報交換。