考えてるコト

アイリス(一葉) 2013.02.14 [22:51]

> 「ん、なにしてんのアイリス?」

 

「んー。杖を作ってんだけどねー」

 

> 「杖?」
> 「頭回るなぁ、アイリス」

 

「そそ。山登りにあると便利なんだよ。足への負担を手にも分散するイメージかな。
 ホラ、山の麓で売ってたりするの見た事ない? ボロイよなー。木なんていくらでもあるっつーのに。
 まあ山と森しかない村の生まれだかんね」

 

 そんな杖の評判はと言うと、

 

> 「アイリス、コイツは助かるわ。」
> 「アイリス様、ありがとう」

 

 中々良好。作った甲斐があるってモンだ!


 * * * * *


 ローナムに着く少し前。
 どっしりと構えたヴェンが皆に向かって大声で問い掛けた。

 

> 「お前らの見立てを教えてくれ!釈然としねぇんからな。」

 

 ......あらま、ご立腹?
 それからヴェンは自身の懸念を一通り話してから「その上でお前らの見立てを聞いてやる」と締めくくった。
 うーん、まあいい機会だから、あたしの考えも伝えておくかなあ。

 少し自分の中で整理し直してから、あたしは口を開いた。

「前提は概ね一緒かなあ。あたしは妖魔が10体から20体ぐらいの場合しか考えてないよ。
 理由は単純。それより少なければどのみち大した脅威にならないし、
 それより多ければどのみちあたしたちにできる事はほとんどない。考える意味がないっていう事だね」

「あたしたちが妖魔共に見つかるかどうかは、立ち回り次第じゃないかな。
 森の中って、思いの外見通しが悪いんだ。それに10体20体程度にとって、すげえ広いモンだよ。
 だからそもそも出くわさない可能性だって十分にある。
 あたしの理想は、巣穴なり建造物なり、拠点の形跡と生活臭を見つけて妖魔共と出くわす前に逃げる事かな」

「もちろん、ばったり出くわす可能性だってあるよ。
 で、その場合の倒す倒さないだけど、あたしは二次的な要素だと思うんだよね。
 あくまでもあたしたちの目的は騎士団の本格的な討伐の為にねぐらを見つけ出す事な訳で、
 出くわした妖魔共があたしたちの手に負えるなら倒しゃいいし、無理ならそのまま引けばいい。
 あたしらが火種になって妖魔の襲撃があるかもって言うけど、
 そんなすぐに襲撃できるだけの準備が整っているなら、お断りしても近いうちに勝手に襲ってくるよ。
 まだ襲ってこないっていう現状は、少なくとも今までは準備ができてないからに他ならないはずだかんね。
 で、焦って数不足のまま襲ってくるならあたしらだけでなんとかなるんじゃないかな。
 最初に言ったけど、妖魔共の数が不足してるなら、それは大した脅威じゃないんだ。
 あたしたちが最善を尽くした上で妖魔共が十分な数を揃えてたら、文字通り『お手上げ』じゃないかな」

「仮に妖魔共が十分な数を揃えて襲撃してきたとしよう。
 その場合に村人が逃げるか逃げないかは、村人次第だよ。あたしたちはお手伝いするだけ。
 フリクセルの書状とあたしたちの説得を以って村長や立場のある人が動かないなら何もできないよ。
 ......言い方悪いけどさ、それだけやれば責務は果たしていると思う。感情的な話は別だけどねー」

「んでその場合の撤退方法も、村の規模や作りが分からない事には考えようがないよ。
 ヴェンの言うように教会に立てこもるっていう方法もアリだと思う。大概教会は頑丈だしねー。
 でも100人も村人がいれば、それだけの数が立てこもる建物の防衛は楽じゃない。火でも付けば終わりだ。
 そもそもそういった条件の建物があるかも分からない。......今の時点じゃ何とも言えないんだよ。
 だから、どうなっても利用できる策として避難案を考えておいているだけ。少なくともあたしはね」

「狼煙はいいと思う。でも、これも最後の手段――それこそ村を放棄する段階で使うモノだと思う。
 狼煙のメリットはヴェンの言う通り即時性。だけどデメリットとして柔軟性のなさと隠蔽不可な点がある。
 つまり『決まった事しか伝えられず』『敵方にも何か合図をしている事がバレる』という事。
 妖魔共が狼煙を見て、必要以上に事を急ぐ可能性もある。襲撃にしろ、撤退にしろ、ね。
 焦って少数で襲ってきてくれたら儲けものだけど、仮に逃げて戦力を温存されたら本末転倒だし。
 戦いの駆け引きで情報を持っているかいないかの差は、どこまでも大きいモンだと思うよ」

「......あとはメンドクサイ話だけどさ、雇われ冒険者が妖魔を倒すより、
 騎士団が華々しい戦果を挙げた方が、色々と都合がいいハズなんだ。
 何だかんだいって人が暮らす為には治安維持は欠かせないなら、守られる側と守る側に信頼関係があった方がいい。
 あたしらが妖魔を見つけてその舞台をお膳立てすれば万々歳。全てが上手く収まるって考え方もある。
 そしたらミノ亭への依頼のクチにもなって、あたしたちの仕事も増える。......ケチいとは思うけどさ」

 喋りすぎて喉が渇いたから、水を一口。

「だから、今の時点ではやっぱり『できるだけ迅速に妖魔共の痕跡を探す』とするしかないと思う。
 倒すのか、追うのか、逃げるのか、それはその状況にならないと判断できない。
 それでも指針を作るなら、10体未満なら倒し、10体強なら追い、15体ぐらいいるなら即報告、ぐらいかな。
 コレに妖魔の種類の内訳とかも加わるんだから、今はそうやって広く目標を定めるしかないんじゃないかな」

「もちろんコレは全部可能性の話。だから、どうするかは皆で決めるべき。
 皆がそうするって言うならあたしがそれに反対し続ける気はないよ。コレは全部あたしの考え。

 

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PL@一葉より:
 ......長ェー。すみませんすみません。
 ヴェンさんが燻っておられるので、こちらも包み隠さず全部考えを話すべきかと思いました。

 ちょっとメタい事を言うと、アイリスは戦わないに越した事はないと言っていますが、
 シナリオ展開上相当な確率で戦わざるを得ない状況になると思っています。バスターだしね!

■天候予測
 びみょうですた!

 22:43:52 一葉@アイリス ≫ 天候予測 2d6+4 <Dice:2D6[3,3]+4=10>