ローナムへ
GM(Lain) 2013.02.13 [00:31]
話に一区切りがついたところで、フリクセルは使用人に、では、と目配せをする。差し出されたトレイの上には金貨銀貨の入った小袋と、そして一通の書状。
『この書状を持つ者のローナムまでの旅程について、宿泊および酒食等、必要な便宜を図るよう。所要の費用はアンセルム子爵家宛請求されたい』
書状には、署名とともにそのように記してある。
小袋には前金――報酬の2割に相当する額、960ガメルが入っている。
「お持ちください。
ああ、ローナムへは、およそ半月のうちに冒険者が着く予定である旨を伝えてありますので、どうかそのように」
蛇の街道の半ほどにあるローナムへは、オランから2週間ほどの道程だ。
今すぐとは言わぬまでも、数日内には発たねば間に合わなくなるだろう。
翌朝、オランの北市門が開かれると同時に、冒険者たちは北へと発った。
※ ※ ※
ローナムへの行程は平穏なものだった。
寒くなりはじめる時期ではあるが、マントでも羽織ってしまえばさして気にする必要もない。
色づき始めた森を抜け、つづら折の山道を歩き、予定通り2週間の旅を終え、一行はローナムに到着する。
ローナムを治める代官の邸宅で三人を迎えた騎士は、エリクセンと名乗った。
「遠いところをよく参られた」
厳つい顔をほころばせて歓迎の意を表する。
「オランからの冒険者には幾度も世話になっている。
この度も貴公らの助力を得ることができるのは喜ばしい限りだ」
「さて、方々、ひとまず荷を下ろして一息入れてこられては如何か。
色々と話すべきこともあろうが、旅装のままで立ち話、というようなものでもあるまい」
※ ※ ※
四半刻ほどの後、一行は邸内の一室に集まった。
六人とエリクセンのほか、ふたりの従士が呼ばれている。
「捜索を行って貰う場所についてだが」
前置きなく、単刀直入に本題を切り出す。
「まずはこれを」
地図を二枚、テーブルの上に広げた。
一枚は先日、セレンソン邸で見たものだ。
「こちらはすでに見ておられよう。
このシリルの先あたり、ここが目立って目撃の報の多い場所だ。
貴公らの来着に先立ち、ここローナムでも冒険者を募っていくつかの村へ派遣している。
ローナムから遠ければそれだけ時間もかかるゆえ、わずかであっても早く情報を得たかったのでな」
このあたりの村になる。
そう言いながら、北へ向かった街道が一度折れ、東へと向かうあたりを指でなぞる。
そのようなわけで、と彼はもう一枚の地図を示した。
「貴公らに担当して貰うのはここ、ということになる」
中心部に村を示す印があり、その傍らにラデクと書いてある字が読める。
南にも同様に村。こちらはシリル――さきの地図にも載っていた村だ。
「細々とした部分について私が口を挟む道理ではないが、まずはラデクを拠点に動かれるがよかろうと思う。
詳しい情報が必要であれば、ラデクで協力を得られるよう手配する。無論、泊まる場所も必要だろうから、そちらも。
シリルまではここから徒歩で3日半、ラデクまでは更に1日。
食糧その他の消耗品については後ほど手に渡るようにしよう。
この地図も写本を用意したゆえ、その写本をお持ちいただく。もう少々縮尺の大きなものも合わせてな。
それから、」
一旦言葉を切ってふたりの従士を振り返り、
「ここローナムとの連絡要員としてこのふたりを貴公らに同道させたい。
なにかあればローナムへ走らせてほしいのだ。
名はボリスとクラエス」
目顔で促すと、ふたりは一歩進み出て冒険者たちに挨拶をした。
「ふたりとも一通りの訓練は受けているゆえ、己の身を守ることはできよう。
馬もそれなりに乗りこなすし、妖魔と矛を交えた経験もある。
急報や伝令の要があれば、遠慮なく使って貰いたい」
ではお前たちは出る支度を整えるよう、とエリクセンは従士ふたりに命じ、ふたりは一礼して退出した。
ふたりの背中を視線で追って、騎士は冒険者たちに向き直る。
「私からはこのくらいだ。
出立は明朝としたいが、貴公らに不都合はおありかな?
無論、話すべきことや用意すべきものがあれば可能な限り承ろう。
なければ明日からは山道だ。部屋を用意させたゆえ、せめて今日はゆるりと休まれたがよかろう」
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■GMから
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ローナムへ移動いたしました。
オランでの買い物はまだ可能ですので、もし買い忘れたものなどあれば今のうちにどうぞ!
>みなさま
ローナムの子爵代官邸で、予定通り騎士・エリクセンと会うことができました。
エリクセンは基本的に協力を惜しまない方向のようです。
ここまでで、道中必要な食糧・現地での宿を含む協力要請は取り付けることができております。
また、注文のあった地図と伝令要員は確保された模様です。
ほかになにかあればエリクセンに注文なり質問なりをどうぞ!
なければ更に翌日に時間を進めます。