あれやこれやと事情聞き

ミル(いあ) 2013.02.10 [18:15]

ウチが監察の仕事をうっちゃらかしてこっちの依頼を請け負ったとき
ジョージはんが解ったかんじで笑うた

>「そうか?
> さすがに払いはいいんだがなあ、そうかこっちにしてくれるか」

「あんまいじめんといてやぁ、ジョージはん
 ウチゃ、ただでさえ目ぇつけられてんだから」

> 「聞くも何も俺はなんだってやるぜ! 任せときな!!!」
ヴェンが景気よく宣言した

>「いいねえ、そうやって勢いがあるのは実にいいねえ。
> 若手ってな、そうじゃねえとなあ」

「せやなぁ、若さってぇのは、ああやないと
 って、ウチかて若いわ!」

このへんのくだりは、なんや何かに対しての義理とでも言おうか
笑いの神様がノリツッコミをウチに強いる

>「ああ、頼むぜ。
> 依頼人が結構な上客でよ、あんまり仲介を断りたくねえんだ。
> 店にしても冒険者にしても、金払いのいい依頼人ってのは財産だろ?」

「うんうん
 金払いの悪い客はあかん
 顧客は財産やさかいな」

しかし地図で示された場所は、いろいろとなんやかやと、めんどっちぃ場所でもある
戦争に、妖魔の森
まぜこぜの大迷惑地帯

>「近頃なにかと物騒なんだよ、あの辺はな」

「ま、そのへんはおいおいやるさ
 喧嘩の火花くらいは引き受けよう」

そんな軽口を煙と一緒にはき出す
駆け出しの頃よか、少しゆとりがでてきた最近のことである



フリクセル氏は、なんや体の具合が芳しくないわしい
それでもバーラーの手をやんわり断ったあたりはさすがに上流階級といったところか

>「期日は――そうですね、ひとまず現地に着いてから1週間、としましょう。
> その間探して見つからない、となればその付近には巣がないとしてよいでしょうから」

それが、依頼のうちわけであるらしい

「うーんと、そんじゃ七日目で巣をめっけたとして、その討伐は目的ではない?
 ウチらで追加日数かけて潰しすのと、委細場所報告のみにするんと、どっちがええおすやろか?」

巣穴の捜索のみに目的が絞られるなら、そうしたい
火の粉払いや救出なんかみたく小人数特化が冒険者
『討伐』は、騎士団の本分やろう

このへんを分けとかんと、ウチらが全滅したらまた探索者を依頼せんといかんし

>「目撃された場所や巣となりうる場所、伏撃に適した場所――そういった細かな場所までを示すには、この地図では少々大きすぎますね。
> しかしおおよそ――」

手が添えられたのはシリルという地名
村の北か、村民も危ない思いしとんのやろな

>「この付近で、例年よりも特に多い、との報を得ております。
> 場所としては街道の北側、エストン山脈の主稜に近い側、とお考えください。
> より詳しくは、現地に近い街でお聞きになるのがよいでしょう。
> ここ、フラナリー街道の南端、ローナムに騎士がおります」

「ふむ......騎士様ね......」

唇に人差し指を当てて、ウチは半ばひとりごちた

ウチらの近しい同類には、依頼事をほっぽって情報だけ聞いてそれを売り買いするやつもおる
なんにせ、相手も騎士様
ウチらの風体から身分が怪しまれると面倒や

>「案内役、と申されますと――たとえば、村人にその近辺の案内を、といった意味合いでしょうか。
> であれば、そのご要望にはお応えいたしかねます。
> 村に住むものたちの安全を守ることが目的の依頼でありますゆえ。

なるほど、確かに
しかしまあ、最低限の情報提供と宿の手配があるのはありがたい話や

それに、交渉相手が騎士様となると、この人の紹介状でもなけりゃ、ウチらみたいな風体もバラバラな冒険者はうさんくさいもんやろう
身元証明ができるのはありがたい

最近になって妖魔がだんだん図に乗ってきよる、てなことをフリクセル氏は語る
ゴブリンシャーマンが出るってのは恐ろしいな
しかし想定してんのと数が違った
20とか、しかも......

「オーガまで?」

それにゴブリンシャーマンが複数で、まとめてかかって来たらちょぃ怖い
ゴブリンシャーマンかて、ぼっちなら封じ込めもできるやろけど

いよいよ大群を見たら、討伐そのものは騎士団願いの、ウチらは野外隠密に徹するのがよさそやな
まあ、小人数で見かけたらロードやろうがシャーマンやろうがボコるけど

あー、野伏って大事やんなぁ
今回は二人
まずもって安心できるか
ウチは屋内や洞窟専門やからなぁ

その他、いくつかの興味深い話と、ことを仕損じたときの恐ろしいケツマツも、フリクセル氏は語る

「村の全滅、か」

そいつはいただけんなあ
やっぱこの仕事、結構責任大きいな
ま、監察の仕事かつがされるよかなんぼかマシやけど

「フラナリー街道沿いの戦力について、ですが、ローナムにはわが騎士団の一隊が常駐しており、またフラナリー街道の北端はベルトーニ辺境伯領にほど近い場所にあります。

ベルトーニ、という名前に、ウチは覚えがあった
以前、ギルドの権力争いの仕事やったとき、依頼人やった人の名や

>「手に負えぬ妖魔の群れに行き当たった場合の判断はお任せいたします。
> ここであれこれと私が言うよりも、実地にそれを見るあなた方の判断を、私は信頼します。
> ただ、その場合は、群れが向かうと思われる村に必ずその旨の報を入れ、村人の避難を促していただけますよう」

「それはお任せを」

このへんはまあ、当然というかなんというか
山間の村では、ウチはけっこう楽しい思いをさせてもらったこともあるし、村人一番にいこう

「するってぇと、現地についたら、まずは村々の場所と待避ルートの作成せんとあかんかな?」

野伏せ二人に目を合わせる
そちらは専門に任せよう

「おし、んじゃウチらにお任せくださいな
 心配せんと......てのはまあ無理かもしれへんけど、あんまし思い詰めんでくださいな」

体の弱そうな人やから、心労のが心配

しかしゴブリンの集団かぁ

「セクト、ヴェン、お願いや、山道導いて」

二人には責任負わすことになるけど、ウチとしても、魔法が及ぶ限りでは手助けもできるかぎり

「おし、んじゃ明朝あたり出発かな?」

旅の仲間を顧みる
ウチはどんな顔してるやろ
みんなの顔は、とても頼もしい

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旅支度は、ミニギターと+1スモシ、R+5の剣、魔法発動体指輪です
保存食などはフリクセル氏の手配に任せます

明け方の出発をパーティに提案します