始まりはそんな風に

アイリス(一葉) 2013.02.08 [07:39]

 秋の陽気。
 それは暖色の界間にすっと引いた寒色のラインをが主張する存在感に似ている。
 元の色より、より清々しく。周りの色も、より晴れやかに。
 今後の下り坂の時節の前触れだとしても、今のそれが心地良いことに偽りはない。

 さて、あたしは冒険者だ。
 この時期は本格的な冬で身動きが取れなくなる前にせっせと動く人で慌ただしくなる。冒険者自体は別に仕事の時期は関係ないけれど、もちろん動く人が多ければその分雑事も増える訳だから、雑事を糧とする冒険者の仕事も増えるという寸法だ。
 かくいうあたしも金がないので、それなりの報酬でそれなりに安全な仕事を探していた。
 ......新しい絵の具が買えないんだ。油壷もヘタってきているんだ。

 そんなとある日の、昼前のこと。
 いつものようにミノ亭で見飽きた依頼書をぼけっと眺めながらもあまり身が入らず、何度目か分からない先日描き上げた温泉の風景画の自己講評を脳内でし始めていた折、ジョージおやっさんが声を掛けてきた。

> 「よおお前ら、手が空いてるならこんな依頼はどうだ」

 依頼書には『妖魔の拠点の捜索依頼。報酬はひとり800ガメル。前金2割、路銀支給。』との文字。
 居合わせたのはあたしを含めて六人。
 面識があるのは先日山賊退治を一緒した豪傑漢のヴェンだけだけど、どう見てもあたしより手練れ揃い。

> 「お前らにゃぴったりの――ミルやセクトール、エリーズには軽すぎる仕事かもしれんが、数が要るって話だからなあ。
>  まあ、ちっと安いが、こっちの、」
> 「――監察室絡みの案件よりは、お前さんたちにゃ合ってると思うんだがね」

「......うへえ」

 そう言っておやっさんがひらひらさせる別の依頼書。
 監察室? なにそれ絶対やらねえぞ。面倒事は嫌いなんだ。自分から首を突っ込むなんて、正気の沙汰じゃない。

> 「で、どうだ。
>  ――ひとまずは話だけでも、聞いてきちゃくれねえか?」
> 「聞くも何も俺はなんだってやるぜ! 任せてときな!!!」

 と、勇ましいのはヴェン。あはは変わってねえー。

「あー。了解おやっさん。手が要るんっしょ? ならやれることはやらせてもらうよ」

 おやっさんから見ても周りの手練れ達から見れば軽い依頼のようだし、悪くはない条件だろう。

> 「俺はヴェン。まだ、駆け出しの冒険者だが、戦士としての腕は誰にも劣るとは思わないぜ」
> 「ミルさん、バーラーさん。今回もよろしくお願いします。
>  お二方、始めまして。エリーズ・モーティマーと申します。
>  現在マーファ神殿で読師を務めております。
>  今度、祓魔師として昇階するよていです。
>  御用があれば何時でもお尋ねください」

 二人に続いて、居合わせた皆に向かって自己紹介だけは済ませておく。

「ああ、ええと。アイリス・リトルトンです。野外活動と弓なら少しは。あと何でか、ヴェーナー様の奇跡も多少。
 ......駆け出しなんで、お手柔らかにお願いしまーす」


 * * * * *


 依頼人に会うべく指定された場所は、貴族サマのお屋敷。気のりはしないけど仕方ない。
 あたしからすれば一等地も二等地も関係ない。どっちも天上地だ。
 家に門衛が居る事も、部屋が何部屋もある事も、大きな暖炉も、設えられた調度品も、全部が別世界のようだ。
 ......落ち着かねえけど、こればっかりは仕方ない。
 そわそわ待っているうちに現れたのは病弱そうなおじさんだった。フリクセル=セレンソンと名乗ったその人は、あたしたちに椅子を勧め、使用人に指示して早速円卓に地図を広げさせた。

> 「わたくしわ、バーラーと申します。」

「ええっと、申し遅れました。私はアイリス・リトルトン。野外活動は慣れていますのでそれであればお力になれるかと」

 バーラーに続いて名乗る。どうも遅れがちなのは落ち着かない雰囲気のせい。きっとそう。

> 「よい日柄ですが、さすがに少々寒くなりましたね。
>  暖かい飲み物でも持ってこさせましょうか」

 フリクセルは一度腰を下ろしてから思い出したようにそう言った。余裕がないな。と穿った見方をするのは捻くれ過ぎだろうか。

「ありがとうございます。あー、フリクセル様。それであればあたしは白湯を頂ければ」

 ありがたく頂戴しておこう。貴族サマへの応対方法? 知らないよ!


 * * * * *


 依頼の内容は要約すると、以下のような内容だった。
 いわく、フラナリー街道沿いで妖魔が活発に出没している。
 いわく、直接的な被害はないが目撃数が多い。
 いわく、今の段階で騎士団を投入をするには情報が足りない。
 いわく、妖魔の巣を探して欲しい。
 うん。筋は通っている。そういった大事の前の小事のような仕事はまさに冒険者向きだろう。倒さなくても良い、というのも非常にあたし好み。主に危険度的な意味合いで。
 ほぶごぶりんとかおーがーとか、よく知らないけどゴブリンみたいなもんでしょ。多分。

> 「お引き受けいただけましょうか?」
> 「その話、乗った!!やらせて貰うぜ!」
> 「俺はヴェン。 報酬、よろしく頼むぜ フリクセルの旦那!」
> 「少しでもお役に立てるよう、がんばりますわ」

 ヴェン、さすがである。あたしみたいに相手サマのご機嫌をちょろちょろ窺う小物とはこの差だ。
 バーラーも乗り気のようだ。気後れしないうちにあたしも意思表明をしておく。

「はい、あたしも受けさせて頂こうと思います」


 それで不躾ですが質問をいくつかよろしいでしょうか、と前置いてあたしはフリクセルに問い掛けた。

「ヴェンと同じになりますが、騎士団を動かすのは相応の準備が必要で、それ今日明日という訳にもいかないはず。
 できるだけ早くが好ましいとは思っていますが、あたしたちが情報を持ってくるまで
 待って頂けるのはどれくらいまでか、おおよその日にちはお伺いできますでしょうか」
「例年現れる妖魔共の目的は、単純な強奪やそれに準じるものでしょうか」
「もしフラナリー街道沿いに蛮族が好む特産品などがあれば、知っておきたくあります」
「フラナリー街道及び、街道沿いには常備兵力などはありますでしょうか」
「例年見かけぬ場所、との事ですが、例年見かける場所と今年見かけた例外場所の分布と、
 その地点におおよそ何があるかをお聞かせ願えないでしょうか」
「例年の情報で構いません。今までに現れた妖魔の種類と、数の傾向はどれくらいでしょうか」

 ああもちろん現地で聞いた方がいいと言うのであればそれに従います。と付け加えて。

 


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PL@一葉より:
 それでは皆様、これからよろしくお願いいたします。
 前半はフレーバーです。わっしょいわっしょい。
 アイリスのイメージは「所々雑な小娘」です。特に親しみを持つほど雑になる傾向があります。
 ですが、呼び捨てとか言葉使いとかお嫌であれば言って下さい。指摘頂ければやめますので。

■内容補足
 アイリスは依頼を受けます。とりあえず質問をいくつかさせて頂きました。
 内容は要約すると、
  ・最悪、何日中ぐらいまでに依頼を終わらせればいいですか?(期限のお尻)
  ・例年の妖魔はいわゆる烏合の衆ですか?
  ・良質の麦が取れるとか、フラナリー街道沿いに蛮族が好みそうな要素はありますか?
  ・フラナリー街道沿いに常備兵力(村の自警団レベルでも)はありますか?
  ・例年出る場所と例外場所の、具体的な違いを分かる範囲で知りたいです。
  ・いつも出る妖魔の種類と数が知りたいです。
 というような感じです。

■買い物
 路銀支給との事なので、アイリスは買い物はありません。というかお金無(ry
 もし前金の融通や魔晶石の貸与が欲しい方がいれば仰って下さい。ご協力します!

■妖魔共について
 とりあえず妖魔という事で名前は出ていませんがゴブリンちゃんと、
 ホブゴブリンちゃんとオーガーちゃんを知識判定してみましたがあえなくゴブのみとなりました。

 07:26:55 一葉@アイリス ≫ ほぶごぶ 2d6 <Dice:2D6[6,1]=7>
 07:27:04 一葉@アイリス ≫ おーがー 2d6 <Dice:2D6[3,6]=9>
 07:28:09 一葉@アイリス ≫ ごぶ 2d6 <Dice:2D6[5,6]=11>