それから
GM(Lain) 2012.08.20 [05:32]
――結論から言えば、後始末は、ライナスが怖れたほどの難事には至らなかった。一行から事情を聞いた修道院長はすぐに神殿跡を清めるべきと判断し、実際に人手を出してそのとおりにした。
人と馬の遺骸を片付けて修道院の側まで運び、魔法陣を洗い消し、儀式を行って神殿跡にふたたび地母神の恩寵あれと祈りを捧げる。
これらはすべてその晩のうちに行われた。
朝を待って、遺骸は埋葬されることとなるだろう。
院長は、魔神召喚の儀式がおおむね未然に防がれたことについて冒険者たちに礼を述べ、次いで賢者の学院への報告は已む無しとして、ほかで口外することはお控え願いたい、と要望を口にした。
禁域、聖地でそのようなことがあったと知れ渡っては、何かと困ることも多いということなのだろう。
※ ※ ※
オランへの旅程は、往路よりもゆったりと馬を進められることだろう。
為すべきことは既に為し、あとはオランへ戻って報告をするだけのことだ。
重要な物件を運んでいるということもあり、警戒を怠るわけにはいかないが、少なくとも時間に追われ、何が起きるか解らないままに歩を進めねばならないという状況からは解放される。
ライナスも、どうにか肩の荷を下ろせた、といった風情だった。
※ ※ ※
一週間をやや超える復路を無事に辿ってオランに戻ったのは、出立からおよそ半月ののち。
季節は、もうすっかり盛夏の様相だ。
ライナスは禁書を学院へ戻して報告をせねばなりません、と言って学院へ出向いた。
ミルが同行するにせよしないにせよ、セーロフはほとんど無感動に――依頼をしたときと同じように――淡々と報告を受けることだろう。
「監察室長として、君の協力に感謝する。
今後もその実力を学院のために役立ててくれたまえ」
それが、セーロフの言葉であった。
「実はもうひとつありまして――」
微妙な表情をしたライナスが、集まった冒険者たちにそう告げた。
「我々に興味があれば連絡してほしい、監察室は君を歓迎する、と――これはマークさんに。
ええ、監察室長からの伝言です」
充分と言えない情報から、グラーニンが向かった先を割り出そうとしたマークの推論のくだりを話したところ、セーロフは殊更に興味を示したのだという。
「で、そのマークという男に伝えてくれ、と」
目をつけられたというわけじゃないのに妙な緊張をさせられますよねこういう話は。
ライナスはそう言って苦笑した。
※ ※ ※
依頼人の評価と依頼人への評価はさておいて、依頼人から得られた報酬にはまた別の評価がある。
誰かが言ったように、銀貨に色はついていないし金貨に名前は書かれていない。
誰から受け取ろうと、彼が何を言おうと、100枚の金貨には5000ガメル分の価値がある。
「そんなわけで、これが受け取ってきた報酬です」
ミノタウロス亭のテーブルに、ライナスは重そうな小袋を置いた。
4人で分けるならば1250ガメル、25枚ずつになるだろう。
「お疲れ様でした――いろいろと助けられることばかりで」
ようやく終わった、といった風情で、ライナスはそう述べた。
「学院にも困りごとというのはあるんです――なかなか表に出ないだけで」
だから、また何かお願いすることになるやもしれません。
「そのときは是非、あなた方のような冒険者に当たりたいものです」
まあ、面倒な困りごとが多いから、冒険者にとってはハズレの仕事になるかもしれませんが。
屈託のない表情で言い、ああでも払いは確かですよ、と思い出したようにフォローを入れた。
報酬を手渡したライナスは、暮れ始めた街を学院へと戻ってゆく。
セーロフへの報告は報告として、彼は彼の勤務する部署への報告もあるのだろう。
彼にとっての冒険は終わり、また書物と格闘する日常が始まる。
そして、たぶん、ひとつの依頼を終えた冒険者たちにも――。
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■GMから
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さて、これにて〆でございます!
■報酬&経験点配分
・報酬:ひとり1250ガメル
・経験点:以下のとおり
基本経験点:1000点
モンスター経験点:(5+3*3)*10/4=35
ボーナス:マークに200点
1ゾロ経験点:自己申告による
ミル:1035点+1ゾロ分
セクトール:1035点+1ゾロ分
エリーズ:1035点+1ゾロ分
マーク:1235点+1ゾロ分
■解放について
報酬&経験点の受領確認、および〆のレスをいただいた時点で当該PCを解放いたします。
募集板にもその旨書き込んでおきますねー。
■感想やネタバレなど
これはのちほどPL相談所あたりで。
皆さんも感想などいただけると有難いです。
まだ感想やご挨拶などは別途書かせていただきますが、ひとまずシナリオはここで〆とさせていただきます。
おつかれさまでしたー!