修道士のこたえ

GM(Lain) 2012.07.27 [23:04]

 ふたりの修道士は訝しみつつも一行の話を最後まで聞いた。

「――なるほど」

 跪いたセクトールの肩を、年嵩の修道士が穏やかに叩く。

「まずは頭を上げ、お立ちください。
 戦神の神官様がそのような振る舞いをなされては――」

「ご事情、重々承りました。
 わたくしはカミル、こちらはローラント」

 年嵩の修道士はそう名乗り、ミルへ視線を送って続ける。

「そちらの女性の仰るとおり、賢者殿がひとり、研究に必要な調査であるとのことで裁可を得、ちょうど今日の昼過ぎにこの奥へ向かわれました。
 わたくしにはかれがそのような重大事を引き起こした咎人であるようには見えませんでしたが、しかしあなたがたの仰ることも筋道が通っているように思われます」

 いったん言葉を切り、全員の顔を見回した。

「――でありますから、わたくしは急ぎ院長へ裁可を求め、あなたがたの面会を取り次ぎましょう。
 おひとりかふたり、事情の説明のためにご同道願えますでしょうか。
 残る皆様はコンラートとともにこちらでお待ちくださいますよう」

 あなたがたをお通しする権限はわたくしには無いのです、とカミルはいくらか申し訳なさそうな表情だ。

「しかしいずれにせよこの先から戻るにはここを通るほかありません。
 そしてこの先にかれの他に人はおりません。
 かれが咎人であり、逃亡を企てたにせよ、あなたがたとコンラートに見咎められずにここを通ることはできますまい」

 事情をお話しすれば院長も裁可を下されましょうから、それまでどうか、とカミルは提案した。
 このあたりがおそらく、カミルにとっての落としどころ、ということなのだろう。

「――ああ、馬はこの先、降りて曳いてゆかれるか、でなければここへ繋いでゆかれるがよろしいかと。
 夕闇の中で湿地帯に踏み込まれるのは危険でありましょう」

 おそらくは純粋に親切心で忠告を付け加え、ではどなたが、とカミルはふたたび全員の顔を見回した。

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■GMから

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>みなさま
 交渉にあたっての発言や匂わせたニュアンスはおおむね意図した通りに伝わったようです。
 そのうえで、「どうせ袋小路だから犯人逃げられないんだし自分には裁可の権限もないから、ちょっと院長のところまで一緒に来て事情を説明して」と言われております。
 カミルの口ぶりから察するに、多少の時間は必要でしょうが、言われたとおりにすれば裁可は下りるものと判断できるでしょう。

 メタ的に申し上げますが、原則としてカミルからこれ以上の譲歩は引き出せません
 カミル自身が言うとおり、これ以上譲歩する(=院長を通さずに通行の許可を出す)権限がないからです。
 また、今からすべての事情を説明しても結果が変わらないことはGMとして明確にしておきます。

 ここで取りうる選択肢は基本的にみっつ、1ないし2名を院長のもとへ説明に送るか、カミルの提案を拒否して強行するか、このまま辞去するか、です。
 前提をひっくり返すようなファンタスティックな提案などがあればまた別であるかもしれませんが!

 次回進行は29日または30を予定しております。
 進行までに意見がまとまらなかった場合はカミルの提案に従ったものとしてお話を進めます。
 この場合、カミルに同行する2名はライナスとエリーズになるでしょう。


>いあさん
◆烏の観察
 動き回る烏が十羽以上いて、その中に不自然な動きをしているものがいるかどうかがどの程度の観察で識別できるか、というあたりを考えていただければ、ちょっと見た程度だとなかなかわかんないよね、というふうにご理解いただけるかと思います。
 まず個体の識別が難しく、また個々の動きをある程度の時間追わなければ不自然な部分というのは浮かんできません。
 相手の集団が自由に飛び回っているとなれば猶更ですよね。

 というわけで、短時間の観察からは識別不可能、とジャッジいたします。

◆召喚についての判定
 ポイントはソコジャナイのでスルーで!
 すみません!

 なにが引っかかっていたかはいずれ近いうちに判明いたしますのでっ!


>ハインツさん
 うふふふふ。

 指摘の際は敢えて触れませんでしたが、技能持ち(=奇跡を行使可能)な神官って神官の中でも圧倒的少数派、というか端的に言えば神様に選ばれた存在なわけです。
 つまり、その信仰と神の声を聞くことについては誇りを持っていて当然であり、己の信仰を隠す/偽るというのは基本的にやっちゃいけないことなわけですよね。
 加えてマイリーの教義的に、それは正々堂々たる行いであるかどうか、というところに重大な疑問が生じるところです。

 修正していただいたのでぶっちゃけますが、あのまま突っ張られたらGMからの注意が飛ぶところでありました。
 注意 → 警告 → 技能喪失 の3ステップの1段目です。

 プリースト技能は冒険者技能としても重宝されますし交渉の際の信用上も大きなプラスになることがありますが、本質的には「そのような信仰をもつ者の生き方」であり、ときにPCの行動を縛るものであるとGMは考えております。

 データ的な側面のみならず、そういった面へも視線を向けていただければよりキャラクターが深まるのではないでしょうか。