司書は語る

GM(Lain) 2012.07.06 [02:46]

> 「えー、こほん
>  問題ありません、セーロフ導師、完璧かつ完全に、解決してみせますよって」

 ミルの切った大見得にもセーロフは反応らしい反応をしない。
 ただ黙って頷いたのみだ――結果で(結果のみで!)判断する、ということだろう。

 ライナスは微妙に表情を動かした。
 とは言ってもまだ監察室長の前とあって、目だけで笑った、という程度なのだが。

※ ※ ※

> 「ああいう場所は苦手です」
> 「ええまったく!」

「気が合いますね」

 ライナスは今度こそ遠慮のない笑顔を浮かべた。

「まあ、苦手でない人のほうが珍しいでしょう、あそこは」

 いるだけで肩が凝ります、と首を回してみせる。

> 「んー、んじゃ、魔術師以外に持ち出しがヤバい情報があればあらかじめ
>  そうでなければ、早速仲間を集めましょうや

「そうですね・・・・・・いや、同行していただける方には聞いておいていただいたほうがいいでしょう。
 口の堅い冒険者、という条件で人を募ればよいと思います」

 数瞬だけ思案するような表情を見せて、ライナスはそのように答えた。

>  酒はいけるクチですか?
>  ウチのねぐらにしとる宿がありますんで、そっちで詰めましょう」

「酒なら嗜む程度には――いや、仕事の話をする前に出来上がってしまっても困ります」

 困ったように笑いつつ、宿の件についてはあっさりと了承した。

> 「あ、セーロフさんはウチのことなんか言うとりました?」

「いいえ、特には――ああ、こういった仕事は象牙の塔の住人よりも冒険者魔術師のほうが適任だろう、とは言っていましたが」

 実際のところ、特にこれといった話はなかったようだ。
 まあ、事実何かあったにせよ、それを部下でもないライナスの前で漏らすような性質ではない。

 賢者の学院を出たところで、ああそうだ、と思い出したようにライナスがミルを振り返った。

「私のことはライナスと呼んでください。
 あなたはどうお呼びすれば?」

※ ※ ※

> 「ひさしぶりやなぁ」

 挨拶するミルを見て、ライナスはああお知り合いですか、と安堵した様子だ。
 ご主人の紹介なら間違いもないでしょうが、と言いつつ、やはり間接的にではあってもそれなりに知った顔がいるというのは心強いものなのだろう。

※ ※ ※

> その依頼、引き受けましょう
> 「喜んでお引き受けさせて頂きます。」

 セクトールとマークの返答に、ライナスはふたたび安堵したようだ。

「ありがとうございます」

 頭を下げて一礼し(ミルの見たところ、セーロフへの礼よりも余程丁寧だった)、緊張気味だった表情をやや緩める。

> だがその前に幾つか聞きたいことがあります。
> 「私からもいくらかご質問させて頂きます。

 何なりと、とライナスは頷いた。

> 「グラーニンのプロフィールについてお聞かせ下さい。
>  出身地、年齢、性格等。周囲の評判もお聞きでしたら是非。」

「オラン出身、34歳。性格や評判は――研究には打ち込んでいたようですが、今のところそれ以上は」

> 「昨日、目撃された時グラーニンは徒歩だったのでしょうか。」

「はい、徒歩で市門を出たようです」

 まあ、宿場町なりで馬を借りることはできましょうが、と付け加える。

> 「魔術師、賢者として以外の何か特技は持っていたでしょうか。」
> 「冒険者としての活動経験はあったのでしょうか。」

 特技というのは、たとえば冒険者としての心得のようなものでしょうか、と確認し、

「そういったものであれば、ない、と考えていただいてよいと思います」

 戦士としての技を身に付けるにも長時間の鍛錬が必要で、そういったことに手を出すような生活をしてはいなかったようだ。
 冒険者としての活動も、少なくとも確認される限りでは、ない、という。

「ただ、占星術と儀式魔術については、専門に研究していたこともあってかなり詳しい筈です。
 そういったものをどれだけ警戒すべきかは判断しかねますが――」

 ――特技といえばこれも特技ですね。

> 「その魔術儀式、ですか。最短でどれくらいかかるものなのでしょう。」

「そのあたりはなんとも――。
 一般論ですが、儀式というのは基本的に、通常術者に扱い得ない魔力を、時間をかけ、場を整えることで扱うようにするための手続き、なのです。
 ですから、場の整え方や扱おうする魔力の大きさ、術の強力さでいかようにも時間は変化しえます。
 最悪の場合として上位魔神の召喚を考えるのであれば、どう場を整えても一晩二晩で終わるような儀式にはならないでしょうが」

 だが、禁書を持ち出していることを考えれば、それとて絶対というものではない。

> 「あなたはグラーニンの顔をご存知でしょうか。それと人相書き等はあるでしょうか。」
> 「グラーニンはあなたの顔を知っているのでしょうか。」

「グラーニンはわたしの顔を知らない筈です――仕事柄、あまり他人とは接しないもので。
 実のところ、こんなに長く他人様と話すのはほんとうに久々ですよ」

 普段は未整理の禁書の山が相手の仕事なんです、とライナスは笑った。

「ああ、そう、あちらの顔の話でしたね。
 人相書きがこちらに――」

 地図を脇へ避け、人相書きを机上に広げる。
 短髪に痩身、どことなく眠たげにも見える表情の男性だ。

「髪はくすんだ金、目の色は紺青、背丈は私よりやや低いくらい、と聞いています。
 市門で見かけられた折は、濃緑色のローブを羽織っていたとか」

> 一つ目は、ライナスのここ最近の状況です。例えば愛想悪くなったとか、新調した杖を持っていたとか

「私の――?
 ああ、グラーニンの、ですか。
 そういった話にまではまだ踏み込めていません。
 杖を新調する、といったことであれば見た目に解るでしょうが、研究室なり知人なりに当たらねばなりませんね」

 昨日の今日のことゆえ、調査もまだ充分でないのです、とライナスは申し訳なさそうに言う。

「どうしても足取りの追跡が優先、ということになりますから」

> 2つ目はその禁書から何が呼び出されるか?

「魔神、です。
 第3階梯の魔力であれば、数人がかりでようやく下位魔神を召喚しうる程度でしょう。
 しかし下位とはいえ魔神は魔神、恐るべき敵であることに間違いはありません。
 それも実行するにはしかるべき儀式が必要になります。
 導師や高導師級の実力者であれば、たとえば単独で儀式を行うことや、より高位の魔神を召喚することも不可能ではないでしょう」

> 3つ目はもしグラーニンに使い魔がいれば、その特徴を教えてくれないか?

「今のところ、使い魔を連れていたという情報はありません。
 これも研究室なり知人なりに当たらねば詳しいことは解らないと思います」

 言葉を切り、ライナスは全員の顔を見回した。

「そのあたりを調べてから出るか、まずは先を急ぐか、というところも含めて、学院は皆さんにお任せするつもりでいます。
 いずれにせよ出立の準備に少々時間が要るでしょうが、私はその時間をプレヴァール街道の近辺の予備調査に充てるつもりです。
 資料を揃えて纏めるにも多少の時間は必要ですのでね。
 ですから、さきほど訊かれたようなお話であれば、皆さんに直接当たっていただくのがよいのではないかと――ああ、もちろん、必要なところへの繋ぎは私が取りますが」

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■GMから

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>みなさま

 さくっとレスであります。
 だいたい拾えているでしょうか・・・?


>いあさん

・セーロフの評判
 だいたい描写した監察室の評判とイコールです。
 職務には忠実かつ謹厳ですが、それはつまり手心ナシということでして以下略。

・ライナスの評判
 わかりません!
 まあ、普段表になかなか出ない仕事をしている平魔術師ですので・・・w
 だいたい見たまま、という感じかなあとは思います。

・禁書持ち出しに関するうわさ話
 今回の一件に関しては、まだ噂が流れていません。
 緘口令でも布かれているのでしょうか。
 今回の件でなければ、たまに、未遂で捕まってギアス喰らった、みたいな噂が流れることがあります。


>悪根さん

 一般人的な教義の認識ですが、これはルールブックに書いてある程度の知識であれば任意に持っているものとしていただいて構いません。
 まあ、ホンモノの一般人だともう少し知識が少ないでしょうが、マークは冒険者で、神官と接する機会も多いので、ということでひとつ!


■聞き込みについて
 ライナスが説明したように、昨日の今日ということで情報がまだ集まっていないようです。
 研究室などで聞き込みをするのであれば、ライナスがアポイントを取ってくれますが、聞き込みそのものにはそれなりに時間がかかることでしょう。

 顔を出していた研究室(占星術・儀式魔術の2箇所あります)、知人、その他噂等で情報を集めるのに、1箇所につきだいたい半日程度かかると思ってください。
 もちろん、手分けして半日に収めてしまうことも可能ですし、先を急ぐ(=時間をかけての情報収集を行わない)ことも可能です。

 というわけで、急ぎ追跡するか/情報を集めるか、情報を集めるのであればどこでどのような情報を集めるか、というあたりを決めてくださいませ!