手と髪・脚と肋

GM(Lain) 2012.05.24 [18:33]

> 「大丈夫、絶対帰る。約束するよ。
>  あくまでも、万が一、ってことだからさ。
>  オレだって死にたくないもの」

「絶対に、絶対ですよ」

 半信半疑の態ながら、ジゼルは納得した様子だ。

 そして思わず掴んでしまった手に気付いたか、あ、と小さく声を上げる。

 俯き、恥ずかしそうに――そして心なしか名残惜しそうに、手を離す。

 手がほどけ、強く握られた痛みが去る。

 剣を扱う手。
 すこし硬くなった指先。
 その感触だけがルーイの手に残った。

> 「行ってくる」

 言葉と一緒に髪に伸ばされた手を、ジゼルは避けなかった。

 そのかわり、身を縮めるようにして視線を逸らす。
 切り揃えられた髪が指先からこぼれ、細い首筋が顕になった。

「――気をつけて」

 小さな声で言い、ジゼルはルーイに背を向けた。
 視線は、最後まで合わせないままだった。

※ ※ ※

 マークは獣の骨を仔細に検分する。

 大きさや形、わずかに残った毛皮から、たとえ一部分の骨であっても、おおよそ何の骨であるかは判別がつくものだ。
 特に、注意深い、手慣れた冒険者であれば。

 マークが蓄えた知識は期待を裏切らなかった。

 骨は2種類、片方は狸、もう片方は鹿の骨と知れる。
 狸のほうは左右の後ろ足、鹿は左の脇腹だろう。

 少なくとも鹿はこの場で解体されたわけではなさそうだ――2匹のゴブリンには少々重い荷であるし、解体を行ったような痕跡もない。
 おそらく、どこかで解体されたものをここへ持ち込んで食べた、ということだろう。

 それが意味するものが何であるかは、いまだ定かではないが。

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■GMから

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 ぷちれす。
 +20%あざとい描写(当社従来品比:感じ方は人により異なります)。


>たいまんさん

> 最新の足跡がどちらに向かっているのかまでは分からない、ということですね?

 はい、微妙なところですが現段階ではわからない、とします。
 半刻の追加調査でなにかわかるかもしれません。


>悪根さん

> 獣の骨が元は何だったか判別はつくでしょうか?

 その達成値ならば判別できたと言わざるを得ません・・・!

 というわけで、狸と鹿を食っていたようだと判明しました。

 大きさ的に、狸はこの場で解体されたとしても不自然ではありませんが、鹿がここで解体されたとするには不自然さが残ります。
 また、獣の骨は他に残されていませんでした。