出立
GM(Lain) 2012.05.22 [23:06]
> 「最悪の想定はできるところまでやっておいた方が、いよいよと
> なって神々に責任を押しつけるとき、気迫がこもるというものです」
バルカの台詞にジゼルは目を丸くし、クラエスはあーあ、という表情で小さく笑った。
> 「もしもの時は、生き残るよう最善を尽くしましょう。少しでも粘れば、
> いくらでも活路は見出されるでしょうから」
ジゼルははい、と頷いた。
クラエスはやや考え込み、こう答える――
「生き残れるよう、また生き残らせることができるよう、最善を尽くすつもりです」
その顔は、兵士の表情をしていた。
※ ※ ※
> 「狼煙が見えれば我々は急いで戻ります。
> それが必要な事態にはまだならないと私は見てはいますが。」
「はい、もし村が襲われるようなことがあれば、すぐに烽火を上げます」
ふたりは答える。
武器を持つことの出来る村人と力を合わせても、妖魔の数によっては支えきれない場合はあろう。
無理をせず、急を報せることを優先する、というのはひとつの判断と言えた。
> 「妖魔にその気と準備があるならとっくに来ているはずですからね。
> まぁ、夜間の見張りは交代でしっかりとしておくよう指導してあげて下さい。」
その助言にはやはりふたりして頷き、そのようにします、と答える。
それはそうと、とジゼルがマークに問うた。
「皆さんは、夜の間は戻られないのですか?」
妖魔がいるであろう森でたった3人、野営する、ということを案じている様子だ。
※ ※ ※
> 「避難場所には、2日分くらいの水と食料の蓄えがあるといいですね。
> あと、可能であれば......」
見る者が見れば些か過保護にも思えるような助言にも、クラエスとジゼルはいちいち頷き、それらを心に留めている様子だ。
そんなやりとりは結局、出立の直前まで続いた。
「ご武運を」
クラエスは短くそう言い、ほら、とジゼルを促す。
「あの」
3人の顔をかわるがわる見回し、言葉を選びかねて口をつぐむ。
「どうか――ご無事で」
押し出すようにそう言い、手を伸ばしかけて――そのまま手を引き戻した。
※ ※ ※
村からしばらく、四半刻程度であれば、どの方向へ歩いてもさほど歩くに難くはない。
日常的に薪や焚きつけを採る場所であるし、また最近まで放牧も行われていたからだろうか、下草は少なく、潅木や落ちた枝、折れた木なども取り除かれている。
そこから先、村から離れるほどに、山は徐々にその深さを増す。
藪あり倒木ありと障害物の多い林の中は、たしかに騎馬での移動など不可能だろう。
下草を、時には落葉や枝を踏みしだいて3人は北へ向かう。
カルナの直近、北にあるという洞窟までは1刻ほどの道のりである筈だ。
※ ※ ※
小休止を挟みつつ、苦労の多い行軍を続けること1刻ばかり。
ともあれ、妖魔どもに遭遇することもなく、一行は洞窟を視程に収める位置までどうにか辿り着いた。
動くものはない――少なくとも、見える場所には、ない。
静かな山の中である。
動くものがあれば、たとえそれが犬猫ほどの大きさであれ、何がしかの気配は伝わるであろう、その程度には静かな山の中である。
いま少し近付いてみるならば、洞窟にいま住むものはないと確信できることだろう。
だが、今いないことと、痕跡が残っていないことは別の話だ。
誰かが何かを――たとえば足跡を――残していないとは限らない。
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■GMから
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>みなさま
基本的に行動は昼間、ということにすると、朝6時から夕方6時までの12時間(=6刻)が行動時間です。
Bへ通常移動、了解です。
カルナからBまでは特に支障なく移動できました。
ここまで、敵との遭遇はありません。
ひとまず、2回判定をどうぞ。
冒険者Lv+知力Bを基準に1回、レンジャーLv+知力Bを基準に1回です。