吊り橋ゆらゆら

ルーイ(たいまん) 2012.05.16 [12:29]

自分の身なら守れる、というジゼルに笑いかける。


「そうそう。
 自分の身を守れればいいんだ。
 それが、キミの仕事」


オレたちが全滅しようがどうなろうが、情報をエリクセンさんに伝えること。

 

* * *

 

街道とはいっても、完全な山道だ。
ライトもなかなか大変そう。
さすがに兵隊さんというだけあって、クラエスさんもジゼルも、顔つきが違う。
馬を並べて警戒してくれている、横顔を見る。

この辺もゴブリンの目撃情報はあるんだろうか。

 

* * *

 

夜は、焚火を囲んで話が弾む。
ティンダーで火を点けてみたりして。


オレは、自分の魔法に誇りがあるから、火口箱は持たない。
魔法で出来ることは魔法でやる。
そうやって、魔術を冴えさせてきたんだ。


「バルカさんもマークさんも、どうして冒険者に?
 オレは、魔術を極めるのに一番の近道だと思ってるからです。
 呪文書は作った。
 あとは、それを使いこなすだけの研鑽が必要なんですけど。
 机にかじりついてっていうのは、オレにはちょっと違ったんですよね。
 何より、色々なものを見るっていうのは、わくわくします。
 あー、お湯がうまいなあ」


沸かしたお湯をすすりながら、他愛もない話し。
山行で飲むお湯は、砂漠で飲む水の次にうまいと思うんだ。
どうでもいいけど。

「オレには国がないから、愛国心とかは分からないけど。
 守るべきものを守るための職業って、立派ですよね。
 クラエスさんもジゼルも。
 大切なひとがいるんでしょう?」


オレには、誰もいない。
とうさんはどこの誰だかも知らないし、かあさんは死んじゃった。
だから、出会ったひとにはみんな元気でいてほしいと思うけど。
守るべきもの、っていうのとは、違う気がするんだよな。
銀月のみんなは、それになるんだろうか。


* * *


「馬の扱いかあ。
 信頼すること、心を砕くこと、かなあ。
 こっちが相棒だと思って接すれば、馬もそうしてくれるよ。
 世話をひとに任せてるようじゃ、ダメ」


ライトに餌をやって、ブラッシングしながらジゼルに言う。


「でも、その辺は騎士のひとたちとは感覚が違うかもね」


そう言って、笑った。


「魔法に興味あるの?
 ちょっと面白いのがあるんだ」


手を休めて、杖を片手に詠唱する。


 『音よ、大気の振動よ、魔力の導きに従いてその発するを転じよ。【リプレイス・サウンド】』


「音だけ、場所を移動するんだ」


ジゼルの後ろに音を発生させる。
オレの口はただぱくぱく動くだけ。


「面白いよね」

 

そして、すぐに解呪した。
そのままだと、おかしな状況のままでジゼルが混乱しそうだから。

魔法が、多くのひとから忌み嫌われているのは知ってる。
ジゼルが、今のをどう思うかは分からないけど。
それで距離を置かれても、まあしょうがないかな、とも思う。

冒険者のひとたちはそういうことは気にしない。


それもあって、オレは冒険者をやっているんだ。

 

* * *

 

渓流を眼下に望む。
流れは速い。
冷たそうだ。
流されたら死ぬかな。


「吊り橋かあ。えーと、ここはシルヤ川か。
 クラエスさん、この川に架けられている橋って、ここだけですか?」


見張りもいないみたいだ。
ここが唯一の橋だとしたら、これが落ちたら大変だ。
とりあえず橋を吊っている柱を見るけど、大丈夫なんだかそうじゃないんだかさっぱり分からない。

 

「騎乗者が不安になると、乗馬に伝染するから。
 馬を信頼して、ささっと渡っちゃいましょう。
 間違って落ちても、オレが助けます。
 便利な魔法があるんです」


落下制御さえかければ、渓流に落ちないようにすることは出来るはずだ。

 

 

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PLより:

9割5分フレーバー!(キリッ

・橋は他にもありますか?
・見張りというか監視する人はいない?
 監視を付けた方がいい気がします。
・妖魔の気配や橋の様子についてはマークとバルカにお任せします!(ダイス3だった)
・とっとと渡っちゃおうZE!という意見です。
・フラグっぽいものを建設。
・リプレイスサウンドでジゼルの女子力を試す(ぉ


のろしは、悪根さんの案でいいと思いますー。
(というかのろしの使い方をよく知らない罠)

 

ダイチャ転載

13:15:26 たいまん@るーい 橋の点検 2d Dice:2D6[2,1]=3