初夏の旅路

GM(Lain) 2012.05.16 [02:52]

> 「へえ、マルドルさんとガラフさん、どんな感じだったんですか。
>  きっとマルドルさんは涼しい顔でゴブリンを斬って、
>  ガラフさんはドワーフなのに駆けずり回ってたんだろうなあ。
>  お礼なんて気にする人たちじゃないと思いますけど、やっぱりまた会えるとうれしいですよね」

「マルドルさんが戦っているところは見てませんが、勇敢に戦われたんじゃないかな。
 ガラフさんは・・・・・・ええ、まさに。危ないところへ駆けつけてくれて。
 お礼はともかくとして、やっぱりもう一度お会いしたいですねえ」

 恩人として、ということもあろうが、戦士として話をしたいという部分もあるのだろう。

※ ※ ※

> 「やってみれば案外、なんて事なかったりするものです。

「だと、いいんですけど」

 半信半疑の態ではあるが、それでも幾分力付けられはしたようだ。

> それと...」

「それと?」

 釣り込まれるように視線を合わせる。

> 「元が商人の時の習性と言うか職業病と言うか。
>  お客さんやそれに準ずる人へは自然と口調がね。
>  あれだ、酒場の給仕さんに接客される感じで聞いてくれればいいさ。」

「・・・・・・!」

 さっと頬に朱が差す。
 口の中で小さく、もう、と呟いたのが聞こえたかもしれない。

> 「誰だって最初は初めてだしね。
>  大丈夫、少なくとも、キミはオレより強いんだから。
>  オレ、最初に魔物に会った時はすくんで足が動かなかったんだ。
>  すぐ、慣れるよ」

 同年輩と見えるルーイの言葉は、ジゼルにどう響いたのか。

 そうですよね、と小さく口にし、

「伝令ですけど、いざとなったらちゃんと戦えますから!
 自分の身くらいなら・・・・・・あ、あとルーイさんくらいなら!」

 だから大丈夫です、と続けた。

※ ※ ※

 馬を使えば、カルナまでは4日の行程になるという。

「村ごとに潰す気で走ればその半分にはなろうが」

 着いてからいざというときの足がないのは困るだろう、とはエリクセンの弁だ。

 ローナムを出発し、勾配が徐々にきつくなる坂道の街道を並足で進む。
 初夏の日差しは強いが、木陰や山陰に入ればそう暑いものでもない。

 旅をするにはよい季節である――たとえそれが仕事であったとしても。

 従士のふたりは、ローナムで見せた素顔を、すくなくとも行軍中に見せることはない。
 彼らにとっては往復の旅程も軍務の一環、ということなのだろう。

 ジゼルは隊列の中央にいるルーイの隣の位置を保ち、周囲に目を配りながら馬を進める。
 クラエスは、多少なら土地勘がありますから、と言い、先頭に立った。

※ ※ ※

 行動中は軍務、という意識があるにせよ、宿営のために止まれば話は別だ。

 休息も食事も軽い酒も、昼間の行軍の緊張をほどよく解きほぐしてくれる。
 となれば口も滑らかになるのはある意味で当然の成り行きだ。

 クラエスもジゼルもオランの様子を聞きたがり、また彼ら自身も請われれば請われるままに子爵領の近況を話してくれることだろう。

 ジゼルはまた、ルーイの馬の扱いが気になる様子だ。
 ミラルゴの草原の出自と聞くと、あれこれと馬の扱い方を聞き出そうとする。
 普段見かけることのない魔術師であることも、興味を惹く一因であるのかもしれない。

※ ※ ※

 4日目の午後になって、一行はシルヤ川に架けられた橋を渡った。

 渓谷に架けられた吊橋は、軽い荷馬車であれば通れそうな頑丈な作りだ。

 だが、揺れる。

 橋の下は、岩を削るように流れる渓流。
 エリクセンの言葉のとおり、雪解けの水で増水しているのだろう。
 腹に響くような音を発し、白く泡立って流れている。

 渡渉は困難、というよりも不可能であるように思われた。

 幅はそう広いものではないが、おそらく渡る前に流される。
 そして、雪解け水――氷のように冷たい水。
 流されて命が助かれば幸運な部類と言ってよい筈だ。

 揺れる吊橋の上で馬を御しきれなくなったら、というのを想像してしまったのだろう。

 ジゼルが不安そうに冒険者たちを見回す。
 ジゼルよりは幾分か馬の扱いに慣れているクラエスも憮然とした表情だ。

 ここを渡ってしまえば、カルナまではほんの1刻か1刻半、その程度であるはずだが――。

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■GMから

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 ローナム出立から旅程をすっ飛ばしてシルヤ川の吊橋に到着いたしました。
 道中は適当に描写してやってください(まるなげ)。

 ・吊橋で女子が怖がってるんでなんとかしてあげてください

 なんか皆さんレス早くてリアル日程的に余裕が出そうな気がしてきたので余分なイベントを挟んでみるテスト。


>魔音さん

 カルナの現地指揮者は いません 。

 といいますか、まあ、普通に山中の寒村なので普通に村長がいるわけです。
 兵隊さんは今のところカルナにはおりません。

 村長をはじめ、村人は協力を要請すれば危険のない範囲で協力してくれる程度には友好的ですが、自発的にやってくれるのは宿とごはんの手配くらいです。
 その他のことは要するに「何をしていいのかよくわからない」という状態ですので、冒険者側からある程度具体的にお願いする必要がありますね。