等価交換

GM(Lain) 2011.04.06 [21:40]

> 「さよーならー」

 リャッテにこたえて、見送る村人が手を振った。
 これから山へ入るという炭焼職人。
 晴れ間を見つけて遊んでいる小さな子供たち。

 害はなかったとはいえ、妖魔が近くに出ると聞いて、不安に思っていたのだろう。
 だが、いまはどの顔も晴れやかだ。

 これもまた、冒険者たちのなしたことのひとつ。

> 「子爵様、あれから、お加減は、いかが、です、か・・・?」

「気遣いをありがとうございます」

 フリクセルは微笑んで答える。

「冬の旅は少々身に堪えましたが、今は落ち着いています。
 こちらの方がオランよりもだいぶ寒いのですがね。
 故郷というのはそういうものなのかもしれませんが」

 フリクセルは、ゼーレンの報告を頷きつつ聞く。

 最後まで聞き終えて、いま一度深く頷いた。

「詳しいお話を、ありがとうございます。
 おかげでおおよそのところは掴むことができました。
 砦の一件、たしかに今回の依頼とは関わりがないようですが――」

> なんだったらアレですよ。スルーしてきた砦を調べるお仕事もしますから、また呼んでください!」

 リャッテの言葉に、にこりと笑って頷く。

「調べてみる必要があるかもしれませんね」

 穏やかな表情は変わらないが、眼差しは真剣だ。
 なにかを考えている様子でもある。

>  もしよろしければ、紹介していただくことはできませんでしょうか?

>  職人の方に新しい客を紹介したとなれば、子爵様の人望も上がるというもの。
>  おまけに職人の方も儲けられる。よい話ではないでしょうか」

 ゼーレンの言葉を聞いていたフリクセルは、聞き終えて笑い出した。

「いや、失礼、冒険者であるだけでなく商いを心得ておられる。
 頼もしい。まことに頼もしい」

 楽しげにそう言いながら、羊皮紙に手早くなにかを書き付けてゆく。
 一通。二通。
 三通目を書き終えて、ふたたび冒険者たちに視線を戻した。

「では、ひとつ頼みごとがあります。
 皆さんが王都へ戻る折に、手紙を届けてほしいのです。この三通を」

「一通はわがオラン別邸へ。
 一通は『ジョージの角なしミノタウロス亭』へ。
 一通はベルトーニ辺境伯の邸宅へ」

「お引き受けいただけるのであれば、職人への書状を添えましょう」

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■GMから

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 手紙の配達を引き受けていただければざーっとダイジェストしてシナリオを〆ます。


 あ、ベルトーニ辺境伯というのはこの方です。