山村にて
GM(Lain) 2011.02.15 [03:26]
引き抜かれた2本の矢には、これといって特徴がない。
矢柄は途中で折れ、矢羽根の部分は見当たらない。
矢尻のついた先端部を調べれば、それなりにしっかりした作りと解る。
矢尻は骨に当たって少々傷がついてはいるが、革鎧程度であれば十分に射抜ける強度がありそうだ。
金属鎧が相手となれば、射手の腕前と当たり所によるだろうか。
いずれにせよ、実戦向きの矢であることは、弓矢を多少なりとも扱ったことのある者になら理解できる。
※ ※ ※
妖魔の屍骸を埋葬したら、ここでこれ以上することはない。
一行は街道に戻り、シリルへと向かった。
※ ※ ※
シリルに到着したのは、昼をやや過ぎた頃。
村長の家を村人に聞き、出向いて書状を見せれば、好意的な扱いを受けることができる。
雪の中をお疲れ様でした、まずは、さあ、暖かいところへ。
そんな言葉をかけて、村長は一行を炉のある部屋へ案内してくれる。
暖かいスープのひとつも振る舞われることだろう。
※ ※ ※
人心地ついたところで切り出した話に、村長は少なからず驚いた。
「ゴブリン?」
妖魔の類はそうそう見ることはない、たまに見てもコボルドがせいぜいで、奴らは矢の
ひとつも射掛けてやれば逃げていく臆病者だからさほどの心配もしていない。
村長はそう語る。
しかしゴブリンとなれば話は別だ。訓練を受けた兵士でもなければなかなか歯が立たない。
「いる、と気付いておれば、この村からも領主様にお願いしたでしょうなあ」
群れに襲われれば、村の側に犠牲が出ないでは済まない。
そうなる前に兵士なり冒険者なりを差し向けてもらう、というのが、一般的な村での
ゴブリンへの対処になる。この村も例外ではない。
川の上流から、という言葉を聞いて、村長は考えこむ。
ややあって。
「もう長いこと、使われていない砦がありますな」
100年以上も放置されたままの廃砦が、エフライム川の上流にある。
「歩けば丸1日、今の季節ではもう少しかかるでしょうか」
荒れ果ててはいるものの、エフライム川沿いには砦へ向かう道があり、
夏場は山に入る猟師がその道を使うこともあるのだという。
「とはいえ、砦には、近づく者もありませんが」
だから、ゴブリンどもが棲んでいても不思議ではない。
それだけ離れていれば、そうそう襲われるでもないだろう。なにか特別な事情でもない限りは。
「しかし、矢ですか――」
奴らにも縄張り争いじみたものがあるんでしょうかねえ。
村長は、そう言って首を傾げた。
※ ※ ※
「ええ、街道筋の妖魔どもの話でしたな」
ふたたび少し考え、ボリスとカールを呼んできてくれ、と家人に呼ばわる。
夏場、そのあたりをよく廻っている狩人なのです、と説明した。
※ ※ ※
しばらくして、のそりとふたりの狩人が入ってきた。
事情を説明され、冒険者たちに挨拶をする。
「ああ、街道筋ならそのあたりでさぁね」
場所を聞かされたふたりは、そう請け合った。
崖があり、自然の洞窟がいくつかあるのだという。
隠れて棲むにはいい場所なのだそうだ。
「しかし群れってぇと」
群れごと棲めそうな場所というのはごく限られる。
「棲めそうなのは、俺ら、1箇所しか知らんですねえ」
あそこだろ、あああそこだな、と頷きあう。
中の広い洞窟が1箇所だけある、とボリスは言った。
「村からだと、そうですねえ。いまの季節だと1刻じゃ着きませんが、
それでも2刻はかからんと――1刻半? まあ、ええ、そのくらいでさ」
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■GMから
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遅くなりましたサーセン!
もろもろの調査とシリルでの基本的な提示情報についてレスでございます。
◆矢について
品質等は普通のもの、街で買えるレベルのものとお考えください。
特に粗雑なつくり、ということはありません。
◆センス・オーラ
異常は感じられません。
屍骸はふつうの屍骸です。
周囲の精霊力にも、とりたてて異常はありません。
◆ゴブの棲家について
おおよその時間と道程は教えてもらえます。
レンジャーさんが1ゾロ振ったりしなければ大丈夫なんじゃないでしょうか。
今から(一息入れて話聞いて、で多少時間が経ってるので)出ると夕方くらいに現地着、な感じです。
◆ゴブについて
すくなくともここ最近、村近辺で見られたことはありません。
群れを発見した場合は危ないので領主に通報する、とのことです。
廃砦については、棲んでるかもしれないけどそう手出ししやすい距離じゃない、という認識ですね。