そのはじまり
GM(Lain) 2011.02.01 [00:08]
おだやかな冬のある日、ミノタウロス亭。
ジョージは新しい依頼が書かれた羊皮紙を持って思案顔だ。
店内を見回し、ややあって駆け出し冒険者に声をかける。
「よお、暇してるならこんな依頼はどうだ」
妖魔退治の依頼。
報酬はひとり500ガメル。
路銀支給。
手にした羊皮紙を見れば、そこに書いてある依頼の内容はまさに駆け出し向きと知れる。
「期限まではもうすこし日があるんだが、ま、早く行って悪いこたぁねぇやな」
お前らは早く仕事にありつける、依頼人は満足する、紹介が早いとなりゃ店の評判も上々。
「――いいことずくめ、だろ?」
※ ※ ※
依頼人に指定された場所はオランの街中にある貴族の屋敷。
一等地、というには少々、街の中心地から外れている。
門衛に来意を告げれば、冒険者たちは屋敷の一室に通される。
部屋の一隅には大きな暖炉、中央にこれも大きな円卓。
待っているのは屋敷の主人にして依頼人、アンセルム子爵。
40を過ぎたばかりだというが、痩せた身体からは壮年の男性がもつある種の力強さを感じない。
色白の細面に白いものの交じる金褐色の髪、柔和そうな藍色の瞳。
幅の狭い肩から上掛けを羽織り、時折乾いた咳をする。
身体が弱いのか、病なのか、あるいはその両方であるのかもしれない。
「フリクセル=セレンソンです」
穏やかな声でそう名乗り、かれは冒険者たちに椅子を勧めた。
「どうぞ、かけてください」
控えていた使用人に頷くと、使用人は円卓に地図を広げる。
椅子に腰を落ち着けてから、かれは思い出したように問うた。
「外は寒かったでしょう。
あたたかい飲み物でも持ってこさせましょうか」
冒険者たちが注文を述べれば、使用人がそれを聞くことだろう。
全員の注文を聞き、一礼して、使用人は部屋を出ていった。
※ ※ ※
「さて、本題ですが」
フリクセルは切り出す。
「宿のご主人から、おおよそのところは聞いていますね?」
言いながら、彼は一枚の地図を円卓の中央へ滑らせた。
アンセルム、と記された街の印の北あたりを指差す。
「場所はこのあたりです。
オランから歩いて2週間ほどになりますね」
蛇の街道を北上しプリシスに至る道程の半ばあたり。
アンセルムは、ミード湖のほとりの小さな都市。
妖魔が出没するのはその北だという。
「街道を行き来する商人から、アンセルムの近くで妖魔に襲われたとの訴えが届いています。それも一度ならず。
幸いなことにまだ人命が失われるに至ってはいませんが、放置すれば、いずれは」
「――そのようなわけなのです。
あなたがたにお願いしたいのは、その妖魔どもの討伐です。
条件は提示したとおり。
妖魔の種族は確認されているところでコボルドとゴブリン。
ですが、上位種が率いている可能性も否定できません。
討伐の依頼を、お請けいただけますか?」
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■GMから
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導入です。
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買い物をしたい方はこのカテゴリの間、つまりオランにいる間は通常材質・通常品質の武器および通常のアイテムに限り自由に買い物をしていただいて結構です。
買ったものはキャラクターシートに反映させ、GMにその旨伝えてください。
オランを離れて現地入りしたあとは、特に武器などは手に入らなくなるとお考えくださいね。