第一層
GM(Lain) 2011.12.14 [22:46]
> 「わ、わかりました、ヴェロニカ『さま』...」
「んー?」
笑みを含んだ声で、ヴェロニカは聞き返す。
> 「よろしく頼みます、...ヴェロにか」
> 「ニカ」
うふふ、と笑みを浮かべて聞いていたヴェロニカが、最後の一言に目を丸くした。
「な、なにそれっ」
意外な切り返しに、ややうろたえた様子ではある。
だが、それもわずかな間のこと。何度か口の中でタリカの呼びかけを繰り返し、ああこれ悪くないじゃん、とふたたび破顔した。
「なあに?
わたしは『リカ』って呼べばいいの?」
※ ※ ※
タリカは精霊使いの目――その場に存在する精霊の働きを読み取る目で、遺跡内部の様子を検める。
松明に火蜥蜴、水袋からは水の精霊の気配。
ほか、松明が作り出す光のなかには光の精霊、遺跡の暗がりには闇の精霊。
ふたりの冒険者の心に宿る精神の精霊たち。
タリカが連れてきた土の精霊。
この場に働く精霊力に、異常は感じられない。
※ ※ ※
しばしの思案の末、タリカはまず階段の敵を掃討することに決めた――もう一方の怪物、すなわち歪んだ扉の部屋にいたそれがジャイアントスラッグと知ったからである。
重量級の魔物にかかずらうくらいならば、次へ続く階段の敵を倒してからゆっくり考えればそれでいい。
積極策といえる決断だが、ヴェロニカもこの判断を受け入れた。
「正体わかんないのはヤなもんだけど、ナメクジと喧嘩するよりは気が利いてるよね」
早速、腰に巻いたスリングを引き抜きながら続ける。
「んで、どうしようか?」
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■GMから:
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ヴェロニカのレスなど。戦闘前です。
奇襲は不可能ですが、弓で先制攻撃は可能ですね。
先制したのち、ふつうに戦うということで承りました。
あとは狙われた方が防御専念、狙われていない方が強打、という扱いとしますね。
これからちょっと戦闘処理してきまーす!
タリカ(がるふぉ) 2011.12.13 [23:04]
GM(Lain) 2011.12.11 [19:04]
――気がつくと君たちは、先ほどと同じような魔法陣のそばにいる。
だが、別の場所だ。コンラートはおらず、魔法装置もない。
広間の形も異なっている。入口の広間より幾分広いようだ。
魔法陣は強い光を発している――ここに足を踏み入れれば、もとの魔法陣へ帰れるのだろう。
石造りの壁や床、天井の色調は薄闇の中に沈み、魔法陣の放つ光を冷たく受け止めている。
床も壁も天井の石材も、少なからず劣化しているようだ。
ところどころにヒビが入り、表面のツヤは失われ、くすんだ表情を見せている。
床には水の流れたような痕跡があり、一層劣化が進んでいるようだ。
しかしこれは、むしろ入口の保存状態が良すぎると見るべきなのだろう。
いま目の前にある現状、この状態こそが、500年を超える歳月を忠実に表しているように思われた。
広間の空気は澱んで黴臭い。
どことなく埃っぽさを感じさせもする。
広間にも、広間から続く通路にも、魔法陣の発するそれ以外の明かりはない。
ここから動くのであれば、暗闇を見通す能力でもない限り、明かりを持つのが無難だろう。
「・・・・・・うぇ」
タリカの隣で、ヴェロニカが顔をしかめた。
「キモチ悪いよねー、あの魔法陣っての。
飛び上がってんだか落ちてんだかわかんなくってさー」
胃の辺りをしきりに手でさすっている。
「食べたごはんとか、落ち着かなくなんない?」
でもまあそれはそれとして、と、彼女はあっさりと気分を切り替えたようだ。
「遺跡だね!」
にっと笑う。
「んじゃまずはヤバくなさそうなとこまで見てみよっか。話はそれからだね。
あたし先行くからさあ、タリカは後ろからフォローおねがーい」
ああそれと、と先に行きかけて振り返り、タリカの眼前に人差し指を突きつける。
「ここ出るまで『様』禁止ね。
ふたりで一緒に遺跡ヤろうってパートナーに『様』とか敬語とか要らないよ。
あたしら、どっちが上でも下でもないよね?
だったらタメ口でやろ。あたしはタリカって呼ぶ。あんたはヴェロニカって呼んで」
※ ※ ※
(1):広間と通路
◆描写
魔法陣のある広間と、それに続く通路だ。
魔法陣は強い光を放っている――おそらくそれは転送の魔法陣であり、確かに起動状態にあるのだろう。
床の魔法陣から発せられる光が、ぼんやりと広間を照らしている。
石畳の床も、壁の石組みも、くすんでひび割れ、放棄されてからの歳月を思わせる荒れようだ。
ざっと見るところ、目ぼしいものは見当たらない。
だが、探せば何か出てくるかもしれない。
◆判定
この部屋を探索するならば、ターンを消費してシーフ技能による捜索判定(シーフLv+知力B)を行うこと。
(2):鉄扉の部屋
◆描写
この部屋は頑丈そうな鉄の扉で閉ざされている。
扉には鍵穴とノブがある――鍵を開ければ中の様子を確かめられるだろう。
◆判定
鍵を開けようとする者は、ターンを消費して鍵開けのための判定を行い、これとは別に2d6を2回振ること。
鍵開けに先立って(聞き耳などで)内部の情報を得たければ、別途ターンを消費して聞き耳の判定を行ってもよい。
(3):歪んだ扉の部屋
◆描写
隣の部屋と同様、この部屋にも鉄製の扉がある――だが、この部屋の扉は半開きになったままの状態だ。
さらに調べてみれば、原因は扉を保持する枠が歪んでしまっていることだとわかるだろう。
地震か、はたまた別の要因であるのか、そこまでは解らない。
部屋の内部にはなにか魔物が一体、いるようだ。
部屋に入るなり攻撃を仕掛けるなりすれば、戦闘になることは疑いようがない。
◆判定
望むのであれば怪物判定を行ってもよい。この判定はターンを消費しない。
また、この判定は平目でも行うことができる。
※ヴェロニカは怪物判定に失敗しました:ヴェロニカ 怪物判定@部屋3 2d6+3
Dice:2D6[1,1]+3=5
部屋へ進入、または魔物に攻撃を行うのであれば戦闘となる。
その場合は戦闘の方針を提示すること。
戦闘は1ターンを消費する。
なお、味方が接敵中の敵への射撃は原則として誤射の危険性がある。
このような場合、攻撃判定に先立って1d6を振ること。
出目が1,2,3のいずれかであれば命中判定を行ってよい。
出目が4,5のいずれかであった場合、攻撃の機会を失う。
出目が6であった場合、味方に命中する。ただちにダメージを決定すること。
単体攻撃魔法は原則として誤射が生じない。
(4):階段
◆描写
この部屋には扉がない。短い通路がそのまま部屋に繋がっている。
階段の下には1体の魔物がおり、その向こうには、上へと向かう階段が見えている。
魔物を倒せば上の層へ進むことができるだろう。
◆判定
望むのであれば怪物判定を行ってもよい。この判定はターンを消費しない。
また、この判定は平目でも行うことができる。
※ヴェロニカは怪物判定に失敗しました:ヴェロニカ 怪物判定@部屋4 2d6+3
Dice:2D6[4,1]+3=8
部屋へ進入、または魔物に攻撃を行うのであれば戦闘となる。
その場合は戦闘の方針を提示すること。
戦闘は1ターンを消費する。
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■GMから:
やばいヴェロニカがたのしい。ただのNPCなのにっ。
この記事への返信は「100_第一層」カテゴリにチェックを入れて投稿してください。
ターン1は第1層の情報開示です。
ターン2の行動を決定してください。
提示したいずれかの場所へ移動し、移動した先でGMが提示した判定を行うなど、自由に行動してください。
自己申告で判定を試みることもできます。GMは状況に応じてこれを拾い、行動の結果として反映させます。
戦闘を行う場合は、行動のパターンを申告してください。
行動はパーティでまとまって行っても構いませんし、分散しても構いません。
明かりについては、誰が何を持っているかを確定させておいてください。
開錠判定や捜索判定(およびそれに付随するダイスロール)などはヴェロニカの分のダイスを振ってしまっていただいて差し支えありません。
よろしくおねがいしまーす!
GM(Lain) 2011.12.11 [19:01]
――一刻後。
オラン市の北門に現れたヴェロニカは、旅装に変じていた。
ショートカットの赤毛は後ろでまとめ、フードのついた上着を羽織り、背負い袋と小さな盾を背負い、小剣を腰に佩いている。
「お待たせ!」
あらためて準備するほどのものもないから楽なもんだったよ、と彼女は言う。
「モノもカネも無さすぎると困るけど、ほどほどに無いくらいがちょうどいいかな」
荷物をまとめれば両肩に全部背負えるくらいが身軽でいい、ということらしい。
> 「さぁ、ヴェロニカ様、参りましょうか」
「おし、うん、行こう!」
かくして、奇妙な二人の遺跡行がはじまった。
※ ※ ※
オランから蛇の街道を北に2日。側道へ入り、さらに半日。
エストン山脈の南のはずれ、険しい山の中腹にその遺跡はある。
遺跡の前に建てられた小屋の外、木製の椅子に腰掛けて、魔術師風の若者が暇そうに魔術書のページをめくっていた。
君たちに気付くと開いていたページに栞を挟んで立ち上がる。
名を聞けば、彼はコンラートと名乗るだろう。
「冒険者の方ですか?遺跡へ?
ああはいはい、じゃ書類見せてください」
「――はい、確認しました。
中へどうぞ」
遺跡の地上部はありふれた小さなものだ。
聞けば、どうやら古代王国期の魔術師の住処だったようだ、と教えてくれる。
「ここのね、地下なんですよ。
地上はとっくに調べつくしてて、研究者の現地調査がたまにあるくらいだったんですが。
しばらく前に地震で崩れて、それで地下があることが解りましてね」
石組みの頑丈そうな床が割れ、地下にぽっかりと空洞が覗いている。
降りやすいようにという配慮か、梯子が掛けられている。
降りた先はひんやりとした石造りの遺跡だ。
壁も床も天井も、磨かれた黒い御影石。壁の天井近く、ところどころに設置された魔術灯が無機質な白い光を放っている。
通路の突き当たり、金属製の扉の前で立ち止まり、扉の脇の金属板に指で魔法文字を描いてゆく。
――と、金属板が光り、重そうな扉が音もなく開いた。
開いた扉の先、そこは円形の広間。
床に魔法陣が描かれ、ぼんやりと光を発している。
脇には床と同じ材質の台座、その上に石盤。魔法装置のようだ。
魔術師であればそれが転送の魔法陣であると解るだろう。それが『生きて』いることも。
「この魔法陣が入口です。
ここから転送によって遺跡へ入ることになりますが、魔晶石はお持ちですね?」
「――結構です。
どうやら転送先がそのたびごとに異なるようで、どこへ飛ぶかは飛んでみなければわかりません。
飛ぶ先も魔法陣が生きていなければならないので、飛んだ途端に石の中、ということはないようです。ご安心を」
「帰るとき、ですか?
あちら側からは魔晶石を使わずに戻ってこられます。少なくとも今まで戻ってきた方は皆そう言っていました」
「それと、遺跡自体に何らかの魔法的な防御結界が施されているようです。
転送の際に結界を中和する魔力が働くため、ある程度の時間は問題が無いようですが、それを過ぎると強制的に遺跡から弾き出されることがわかっています。
時間はまちまちですね。おおよそ半日から1日程度、なのですが、詳しいことはなんとも」
「さて、準備はよろしいですか?」
君たちの返事を確認して、コンラートは魔法装置の前に立った。
受け取った魔晶石を魔法装置に嵌め込み、指を石盤に滑らせて魔法装置を起動させる。
魔法陣がその輝きを急速に増した。
魔法文字が床から浮き上がり、回転し、組み換えられ、空中に新たな魔法陣を形成する。
落下とも浮遊ともつかない感覚。
ふっと周囲の光景が消え――